図面でねじを書く際の基本を知ることは、正確な設計を行う上で重要です。
本記事では、初心者の方にもわかりやすく、ねじの基本から具体的な書き方まで詳しく解説します。
1.ねじ図面の基本事項
ねじ図面を書く際には、いくつかの基本要素を知っておく必要があります。これらの要素は、機械製図において正確な設計と製造のために重要です。
以下に、主な基本要素について詳しく説明します。
1.1 規格
ねじの規格は、互換性と品質を保証するために寸法や形状、材料を標準化したものです。日本では主にJIS規格が使用されていますが、現在はISO規格への統合が進んでいます。
ねじは大きく3種類に分類されます。
・メートルねじ:ミリ単位で表され、世界中で広く使用されています。
メートル並目ねじ・・・一般的な締結用途に使用
メートル細目ねじ・・・細かい調整や振動に強い締結が必要な場合に使用
(引用元:Reツール 工具お役立ち情報)
・インチねじ:インチ単位で規定され、主に英米の機械や部品に使用されています。
ユニファイ並目ねじ・・・標準的なピッチで一般的な用途に使用
ユニファイ細目ねじ・・・精密な締結や高い耐振動性が必要な場合に使用
(引用元:ネジクル ネジの百科事典)
・管用ねじ:液体やガスの密閉性を保つための配管設計に使用されています。
管用テーパーねじ・・・先端に向かって細くなり、高い密閉性を実現
管用平行ねじ・・・Oリングやシール材と組み合わせて使用
(引用元:POT OF GREEN 便利ネタ)
これらの規格を理解しておくことで、適切なねじの選択と使用が可能となり、製品の安全性と信頼性が向上します。
1.2 寸法
ねじの寸法は、締結を正確に行うために重要な要素となります。
主な寸法には以下があります。
・外径
ねじ山の頂点間の直径とねじのサイズを表す基本的な寸法です。
例:呼び径M10は外径10mmになります。
・内径
ねじ山の谷間の直径やねじ穴を表す重要な寸法です。
・ピッチ
隣り合うねじ山間の距離のことで、ピッチが大きいほどねじ山の間隔が広く、少ない回転で締め込みができる分、保持力が弱くなります。ピッチは、並目ねじと細目ねじで異なります。
・ねじ長さ
ねじ頭からねじ山端までの全長となり、締付や固定する材料の厚さに応じてねじの長さを選定します。
これらの寸法を理解し適切に選定することで、ねじの機能を最大限に発揮させ、安全性の高い締結が可能になります。特に、外径とピッチは規格化されており、用途に応じた適切な組み合わせを選ぶことが重要です。
(引用元:イラストAC)
1.3 表示方法と記号
ねじの表示方法として、一般的には「ねじの(呼び径)×(長さ)」で表記します。例えば呼び径10mmで長さ20mmのメートルねじの場合、「M10×20」と表します。
ねじの記号には、以下のようなものがあります。
・メートルねじ(M)
・インチねじ(UNC、UNF)
・管用テーパねじ(R、Rc)
・管用平行ねじ(G)
・アメリカ管用ねじ(NPT)
それぞれの規格や用途によって使い分けて、適切に選定して使用します。
(引用元:EdrawMax)
2.ねじ図面を書く際のポイント
機械製図の中でねじ図面を正確に書くには、以下のポイントに注意が必要になります。
ねじ図面の主なポイント
・ねじの種類と規格
メートルねじ、インチねじなど、適切な規格(JIS、ISO)を記入する。
・主要寸法を正確に記入
ねじ径(例:M6、M8など)、ピッチ(並目・細目)、ねじの長さの情報を正確に記入することで、組立時のトラブルを防ぐことができる。
・公差を指定
高精度が要求される部品の場合、JISやISO規格に基づく公差等級を明確に記入する。
・おねじとめねじを区別
おねじとめねじを正確に作成し、それぞれに必要な寸法や仕様を記入する。
・表面処理を指定
耐食性や摩耗防止などのため、メッキやコーティングなどの表面処理を記入する。
よくあるミスとその回避方法
・規格や寸法の記入ミス
ねじ規格表などを参照し、チェックを徹底する
・公差の指定漏れ
組み立て不良の原因となるため、規格に従い、公差等級を正確に記入する。
・表面処理の指定忘れ
ねじの腐食などにつながる可能性があるため、使用環境に応じた適切な表面処理を記入する。
これらのポイントに注意し適切に指示することで、ねじ図面の精度が上がり、製品の品質と信頼性を確保することができます。
3.ねじ図面の書き方
ここではねじ図面の平面図を参考例に「EdrawMax」を使用し、図面を作成しながら解説していきます。下のボタンから無料ダウンロードして自分のねじ図面を書きましょう。
ねじ図面を作成する際は、まず用途に合わせてねじの種類と規格を決定していきます。今回の例では、JIS規格に基づくメートル並目ねじを選定し、頭の形状は六角形とします。
これにより、図面の基本的な方向性が決まります。
次に、図面作成手順になります。
3.1 正面図を書く
部品図の作成と同様に基準線や中心線を引いてから、ねじの平面図を書きます。必要に応じて上面図や側面図も作成しましょう。
3.2 主要寸法の記入
ねじ径、ピッチ、長さの寸法を記入します。正確に記入することで、製造時や組立時の誤差を最小限に抑えられます。
3.3 公差の指定
精密さが要求される場合は、公差等級を指示します。これにより、許容される寸法のばらつきの範囲を抑えて、品質管理の向上につながります。
3.4 表面処理の記入
ねじが使用される環境に応じて、適切な表面処理を指示します。
例えば
- メッキ処理(亜鉛メッキ、ニッケルメッキなど)
- コーティング(フッ素コーティングなど)
- 熱処理(焼入れ、焼き戻しなど)
これらの処理は、ねじの耐食性や耐久性などを向上させることができます。
図面作成の際は、必要な要素の漏れがなく、正確に記入することが重要です。特に、ねじの規格や寸法、公差、表面処理などの情報は、製品の品質や性能に直接影響を与えるため、細心の注意を払って記入する必要があります。
また、図面を見る人が誤解なく理解できるよう、明確で簡潔な表現を心がけましょう。必要に応じて注記を追加し、特殊な要求や注意点があれば記入することで、製造プロセスでのミスを防ぐことにつながります。
正確で詳細なねじ図面を作成することで、製造の効率化や品質の向上につながり、最終的には製品の信頼性を高めることができます。
4.おすすめの部品図作成ツールEdrawMax
「EdrawMax」は、ねじ図面を含む平面図などを作成できる便利なツールです。
このツールは、初心者でも簡単で直感的に操作できるため、少し複雑な図面の作成もスムーズにできます。従来のCADソフトは高度な操作スキルが必要で、学習コストも高いですが、EdrawMaxはそうしたハードルを下げてくれます。また、CADと比べて低コストで利用できるため、予算を抑えて活用できる点が大きな魅力です。
EdrawMaxは、280種類以上のテンプレートを搭載しており、機械部品図だけでなく、フローチャートや住宅の間取り図など、さまざまな用途に対応可能です。
機械製図に必要な記号やパーツも豊富に揃っており、それらを組み合わせるだけで簡単に図面を作成することができます。また、複数の業界に対応しているため、エンジニアやデザイナー、建築士など、専門知識がない方でも比較的容易に使用できます。
EdrawMaxは、作成した「ねじ図面」などの部品をライブラリに保存しておくことで、次回以降も簡単に使用することができます。
是非活用してください。
下記ガイド参照
まとめ
この記事では、ねじ図面の基本から作成方法まで、初心者にもわかりやすく解説しました。
ねじは、部品の締付、固定、取付と製品を作る上で必ず使用するものです。図面上で正しく表現するため、JISやISO等の規格に基づき、種類、呼び径、長さ、ピッチ等の寸法、公差、表面処理を正確に記入する必要があります。
その作成には、世界中で利用されている「EdrawMax」というドローイングソフトがおすすめです。このソフトは、ねじ図面だけでなく、さまざまな業務の効率化に使える便利な作図ツールで、豊富なテンプレートや機能が揃っています。
操作も直感的で簡単できるため、初心者でもすぐに使いこなせるのが魅力です。「EdrawMax」は無料でダウンロードできますので、気軽に試してみてください。