機械図面は、設計や製造における重要な役割を果たします。正確な図面は、製品の品質や効率に直結し、製造現場でのコミュニケーションツールとしても活用されます。本記事では、機械図面の基礎から専門用語、ツールまでを解説します。
1.機械図面の種類と用途
機械図面には様々な種類があり、それぞれに特定の用途があります。代表的なものとして、次の3つが挙げられます。
1.1組立図
組立図は、製品の全体像を示す図面で、部品の配置や組み立て方法を視覚的に表現します。製造工程において、各部品がどのように組み立てられるかを確認するために使用されます。製品の設計段階で重要な役割を果たし、製造現場での組み立て指示にも活用されます。
1.2部品図
部品図は、個々の部品の詳細を示す図面です。材料、寸法、加工方法などの情報が記載されており、製造に必要なすべてのデータが網羅されています。部品の正確な製作をサポートし、誤差を最小限に抑えることができます。
1.3工程図
工程図は、製造工程全体の流れを視覚化した図面で、製品がどの順序で製作されるかを示します。これにより、作業効率を向上させるとともに、品質管理をしやすくする役割も果たします。
(引用元:日本テクノカーボン株式会社)
これらの図面は、製造プロセスの各段階で欠かせないものであり、適切に使用することで作業の効率化と精度向上が期待できます。
2.機械製図に関する専門用語と記号
機械製図には、製図を正確に行うための専門用語や記号が数多く存在します。これらを理解することで、より正確な図面を作成することができます。
2.1 寸法記号
寸法記号は、部品の長さや幅、高さを示すために使用されます。例えば「Ø」は直径を意味し、円形の部品の寸法を示す際に用います。また、「R」は半径を示し、アークや曲線の寸法を表す際に使われます。
2.2面取り(C面、R面)
面取りとは、角やエッジを削って丸みを持たせる加工です。「C面」は角を斜めに削る加工で、「R面」は角を滑らかな曲線にする加工を指します。これにより、部品の取り扱いがしやすくなり、また製品の美観も向上します。
2.3穴の記号
穴加工に関する記号も多く使用されます。「Φ」は穴径を示し、貫通穴や止まり穴の種類に応じて表記が変わります。貫通穴の場合は「THRU」と記載されることが一般的です。
2.4公差記号
公差は、許容される寸法の誤差を示す重要な要素です。「±」記号は、部品の寸法がどの範囲で変動しても許容されるかを表します。これにより、製品が設計通りに作られるよう、品質の基準が保たれます。
2.5その他の製図記号
製図には他にも「溶接記号」や「表面粗さ記号」などが存在します。これらは、図面から部品の加工方法や仕上げ状態を読み取るために欠かせない要素です。特に表面粗さ記号は、仕上げの品質や機能に大きく影響を与えるため、正確に理解しておく必要があります。
製図記号は、図面を正確に読み取るための重要な情報源です。これらの記号を正しく理解し、活用することで、設計や製造の精度を高めることができます。
3.図面を書く時のルールと注意点
機械図面を正確に描くためには、いくつかの基本的なルールと注意点を守ることが重要です。今回は幾何公差について図面を作成しながら解説していきます。以下の手順とポイントを守ることが大切です。
3.1基準の設定
最初に、幾何公差の基準を設定します。部品のどの面や軸を基準とするかを示すもので、幾何公差を適用する際の基準になります。通常、基準はアルファベットで「A」「B」「C」などとして表示されます。例えば、部品の底面を基準A、側面を基準Bとすることで、他の面や形状の公差を設定する基準を決めます。
3.2幾何公差の選定
次に、部品の設計要件に基づき、適切な幾何公差を選定します。これは、部品の重要な機能や組み立て精度を保つために欠かせません。例えば、平行度や垂直度、位置度など、部品の特定の部分に応じて異なる幾何公差が使われます。
3.3幾何公差の記入
幾何公差は「公差枠」という特定の形式で図面に記入します。公差枠には、選定した幾何公差の記号と、その許容範囲、基準となるデータムを明示します。
例えば、部品の側面が基準Aに対して0.02mm以内の平行度を持つ場合、公差枠には平行記号、公差0.02、基準面Aと記載します。これにより、部品が基準Aに対してどれだけ正確に製造されるべきかが図面に反映されます。
3.4公差枠の配置
幾何公差の記入が完了したら、その公差枠を図面の適切な位置に配置します。通常、公差が適用される部品の近くに配置し、どの部分に対して公差が適用されるかを明確にします。
3.5確認と最適化
最後に、図面全体を見直し、公差の過剰設定がないか確認します。過剰な公差はコスト増加につながるため、必要最低限の範囲で設定することが重要です。
このように、基準を正しく設定し、適切な幾何公差を選んで図面に反映することが、精度の高い製造を実現する鍵となります。
4.図面を書くためのツール4選
図面を書くためのツールには、さまざまな種類がありますが、ここでは初心者からプロまでおすすめできる4つのツールを紹介します。
4.1 AutoCAD(オートキャド)
AutoCADは、2Dおよび3Dの機械製図に対応している業界標準のCADソフトウェアです。直感的な操作性と豊富な機能を持ち、精密な図面作成が可能です。
価格:サブスクリプション制(年間約70,000円〜)
公式サイト:https://www.autodesk.co.jp/products/autocad/overview
4.2 EdrawMax(エドラマックス)
そこで、おすすめなのが図面作成ツール「EdrawMax」です。「EdrawMax」は、様々な業界で活用できる作図ツールです。
価格:買い切りタイプ19,600円
公式サイト:https://www.edrawsoft.com/edraw-max/
このソフトウェアは、CADに比べて安価で難しい操作もなく、マウス操作で直感的に図面を作成できるところが魅力的です。また、図面作成だけにとどまらず、幅広い用途に対応しています。
プロセスを視覚化するフローチャートや、プロジェクト管理に欠かせないガントチャート、さらには建築業界で必要とされる住宅図面、製造業で使用される機械製図など、280種類以上の専門的な図面テンプレートがあります。
「EdrawMax」の優れている点は、これらの複雑な図面を簡単な操作で作成できることです。使い方が分かりやすいので、難しい知識がなくても、豊富な記号や素材、テンプレートが搭載されており、簡単に見やすい図を書くことができます。
4.3 Fusion 360
Fusion 360は、クラウドベースの3D CADツールで、チームでの共同作業が可能です。設計からシミュレーションまで統合されており、使いやすさが魅力です。
価格:サブスクリプション制(年間約90,000円〜)
公式サイト:https://www.autodesk.co.jp/products/fusion-360/overview
4.4DraftSight(ドラフトサイト)
2D図面作成に特化したツールで、コストパフォーマンスが高いのが特徴です。初心者でも扱いやすく、AutoCADとの互換性もあります。
価格:サブスクリプション制(年間約35,000円〜)
公式サイト:https://www.draftsight.com/
まとめ
機械図面を正確に描くためには、専門用語やルールの理解が不可欠です。ツール選びも重要で、自分に合ったツールを選ぶことで、作業の効率が大幅に向上します。「EdrawMax」は、図面をはじめとする様々な作図に広く使えるおすすめのドローイングソフトウェアです。世界中で利用されており、豊富な素材と機能、直感的な操作性を備えているため、効率的な作図を実現できます。無料でダウンロードできますので、ぜひ一度試してみることをおすすめします。