1.アース記号とは?
アース記号とは、接地極を意味する記号です。
接地極は電気機器の金属部分などを地面に直接接続することで、漏電した電気などを地中に流して安全を確保する電極です。アースは電気回路の基本であり、安全を図るために確実に施工しなければなりません。交流において150V以上または直流において300V以上の回路は、アースが義務付けられています。また、近年では100Vの家庭用電源でも、水廻りなどでは接地極付きのコンセントが一般的です。
アースをしないと、電気機器が故障して内部回路が漏電した場合、漏電電流が機器の金属部分に流れ、触れることで感電する危険があります。アースがあればその電流が地面に流れ、感電リスクを最小限に抑えることが可能です。また、アースされていない箇所で漏電した場合、機器内部で発熱やスパークを引き起こすことがあります。これが引火源となり、火災の原因となる可能性があります。アースはこうした危険を防ぐために重要な役割を果たします。
2.アースの種類
アースは用途や接地抵抗に応じて4つの種類に分類されます。
2.1 A種接地
A種接地は高圧以上の電圧を使用する電気機器の筐体などに施設するアースです。接地抵抗が10Ω以下と低い値で定められており、大型の鉄板等を地面に埋めて抵抗を低減させることが多いです。高圧以外にも、重油などの危険物貯蔵タンクや建屋の避雷針に対してもA種接地を施します。直径2.6mm以上の太い配線を使用することが義務付けられています。
2.2 B種接地
B種接地とは、電圧を高圧から低圧へ変圧するトランスの低圧側に施すアースです。
トランスは電圧を変換する装置ですが、高圧側と低圧側は絶縁油や樹脂等を使用して接触しないように絶縁しています。この絶縁物が劣化して故障した場合、高電圧側の電圧が低電圧側の回路に流れ込む危険があります。この際に、感電による人身災害や機器の故障および火災などが発生することを防ぐため、B種接地を施して保護します。
B種接地は他の機器接地とは独立して施設し、接地抵抗も変圧器の容量等に応じて低く保つように定められています。
2.3 C種接地
C種接地は300V以上の電圧の機器に施すアースです。AC400Vで使用するモーターや、3相交流用インバータではC種接地を用います。接地抵抗は10Ω以下と、A種同様に低い抵抗値を維持するように定められています。
2.4 D種接地
D種接地は300V以下の回路に使用するアースです。主に家庭用コンセントや照明を対象に施設し、日常生活における感電や漏電火災のリスクを低減することが目的です。接地抵抗は100Ω以下と、他のアースに比べて低い値でも認められています。したがって、鉄板等ではなく、棒状の接地極を埋設して施設することもあります。
以下に表にまとめます。
名称 |
用途 |
接地抵抗 |
A種接地 |
高圧以上の電気機器または避雷針など |
10Ω以下 |
B種接地 |
変圧器の低圧側 |
変圧器容量等により算定 |
C種接地 |
300V以上の電気機器 |
10Ω以下 |
D種接地 |
300V以下の電気機器 |
100Ω以下 |
3.アース記号一覧
アース記号は規格や機能に応じていくつかの種類が存在します。本記事では多くの回路図面で使用されるアース記号を、下記にて一覧として紹介します。
4.アース記号の使い方
電気機器にとってアースはなくてはならない存在であり、電気工事の設計などではアース記号を使用する機会も多いです。これらの回路を描く際にはAutoCADやjWCADなどのCADソフトを使用する技術者も多いですが、EdrawMaxは初心者から習熟者まで、幅広いユーザーにお勧めできる製品です。本記事ではアース記号の使い方について、EdrawMaxを使用して説明します。
4.1 素材をダウンロードする
EdrawMaxでは、様々な種類の図面素材をインポートして使用することが可能です。アース記号だけでなく、電気工事で使用する回路記号を様々な形式でインポートすることができます。dxfなどのCADデータだけでなく、pdfなどの画像データにも対応しています。インターネット上でダウンロードしたファイルをインポートして、簡単に貼り付けることが可能です。
4.2 EdrawMaxで素材を開く
EdrawMaxは電気回路で使用可能な図形記号や、テンプレートとなる回路例が豊富に用意されている点も特徴の一つです。ダウンロードしたり、他ソフトで作成した素材だけでなく、プリセットされている図形からも有用な記号を配置することができます。左側のタブの『図形』や『テンプレート』を選択すると検索窓が表示されるため、簡単に検索して記号などを配置することが可能です。
4.3 EdrawMaxでヒューズ記号を配置する
プリセットされている接地・アース記号を配置したい場合は、使用したい記号をクリックするだけで簡単に作業領域にドロップすることが可能です。必要に応じて、記号の位置を調整したり、回路内で配線を接続したりします。配線接続にはコネクタツールが便利です。
また、アースについての情報を記載したい場合は文字入力ツールで簡単に情報を追記することが可能です。
4.4 特定の記号を描画機能で作成し、ライブラリに保存して次回使う
特殊な記号を使用する電気回路を作成する場合は、EdrawMaxにプリセットされていない可能性もあります。EdrawMaxではこれらをライブラリーに保存し、次回の使用を簡単にすることもできます。
上部の図形セッションから新規ライブラリを選択することで、新たにライブラリを作成することができます。ここに図形をドラックすることで、簡単にライブラリに保存することが可能です。また、他のCADソフトなどで作成した記号も、インポートすることでライブラリ保存することができます。
5.アース記号に関するよくある質問
5.1 アース記号を正しく使用するためのポイントは?
アース記号には先述した通りにいくつか種類があり、それぞれ異なる用途があります。例えば、電気工事用のアース記号や信号回路用のアース記号または制御盤用記号など、使用するアースの目的に応じて適切な記号を選ぶ必要があります。誤った記号を使用すると、目的や用途が誤解される可能性があるため、用途に合った記号を使用することが重要です。
また、図面上で他の記号や線と混同されないように明確に表示する必要もあります。記号が小さすぎたり、周囲の要素と混同されやすい位置に配置されていると、意図が伝わりづらくなる恐れがあります。十分にスペースを取ることや、適切なサイズで表示することが重要です。
5.2 グランドとアースの違いは?
グランド(GND)とアース(接地)は電気回路や電子機器において使い方や意味には若干の違いがあります。
グランドは、電気回路内で「基準電位」として使われることが多いです。回路内の電位差を測るために、0V(基準電位)として使用される点を指します。例えば、電子機器内部の共通の接地点として、すべての回路の電位を基準とするためにグランドが用いられます。接地せずに電気機器を使用した場合、基準電位が対地間で50Vなどの電圧が発生する場合も多いです。
アースは、電気回路の一部が物理的に地面に接続されている状態を指します。機器や回路が地面と電気的に接続され、漏洩電流が地面に流れることによって、装置や使用者を電気から保護します。家電製品や工場機器にとって、アース接地は安全上重要な概念の一つです。