電気回路の業界において、トランジスタという部品が登場することがあります。トランジスタは電子基板や制御回路において数多く使用されており、図面上に記載された記号によって仕様や機能が異なる場合が多いです。本記事では、そのトランジスタ記号について詳細に説明します。
1.トランジスタとは?基本概念を解説
1.1 トランジスタの定義
トランジスタとは、入力した信号を増幅またはデジタル信号として出力する半導体部品です。
入力された電気信号や光信号を、デジタル接点信号に変換して出力する役割も果たします。シリコンやゲルマニウムなどの半導体材料で構成されており、電気信号の導通・遮断を制御することが可能です。1947年に発明されて以来、コンピュータやオーディオ機器など、様々な電子機器に欠かせない部品として利用され続けています。
1.2トランジスタの構造
トランジスタの多くは3つの端子を有し、これらを通じて信号を入出力します。特性が異なる半導体材料を組み合わせてトランジスタを構成します。一定条件を満たすことで端子間の電流を制御することが可能であり、この特性を利用することでスイッチ機器として広く製品化されています。
1.3トランジスタの種類
トランジスタには使用する半導体構成の違いにより、いくつかの種類に分類されます。以下はその一例です。
1.3.1 バイポーラトランジスタ(BJT:Bipolar Junction Transistor)
バイポーラトランジスタはP型半導体とN型半導体を接合したスイッチング部品です。P型またはN型の半導体を異種半導体で挟んだ構造を有します。エミッタとコレクタ及びベースの3端子を有し、間に挟まれた半導体にベース端子が配置されます。ベース端子に電流が流れると、エミッタとコレクタ間に電流が流れる仕組みです。古くから利用されているトランジスタで、安価かつ構造が簡単な点が特徴です。
1.3.2フィールド効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)
フィールド効果トランジスタは、電界を利用して電流を制御するトランジスタです。ゲートとドレイン及びソースの3端子で構成されており、ゲートに電圧を印加することでドレインとソースを導通させることが可能です。FETはさらにJFETとMOSFETの2種類に分類されます。
1.3.3 フォトトランジスタ
フォトトランジスタは受光することで電流の導通・遮断を制御できるトランジスタです。受光することで端子間を導通させることが可能であり、光信号を電気信号に変換することができます。フォトダイオードと組み合わせて、電気回路の絶縁用途としても広く利用されています。
2.トランジスタ記号の一覧
トランジスタは種類に応じて、それぞれ図面上での記号が異なります。回路図を作成する場合はこれらの記号を使い分ける必要がありますが、EdrawMaxには記号がプリセットされており、簡単に配置することができます。以下にはEdrawMaxに掲載されているトランジスタ記号の一部を紹介します。
2.1 接合型フィールド効果トランジスタ(JET)
上記が接合型フィールド効果トランジスタ(JET)です。左記がN型チャネルで、右記がP型チャネルです。上部がドレイン端子、下部がソース端子であり、ゲート端子に電圧を印加することでドレイン-ソース間が導通します。N型チャネルはプラス電圧をゲート端子に印加することでONします。対して、P型チャネルはマイナス電圧をゲート端子に印加することでONします。
2.2 枯渇型MOSFET
上記が枯渇型MOSFETです。MOSFETは酸化シリコン膜を使用したFETであり、ゲート電圧を調整することで大電流を導通できるため、スイッチング用途としては現在MOSEFTが主流です。
左記がN型チャネルで、右記がP型チャネルです。JFETと同様にN型がプラス電圧を、P型がマイナス電圧を印加することで動作します。枯渇型MOSEFTは通常時にドレインとソース端子間が導通しており、電圧を印加することで遮断することができます。
2.3エンハンスメント型MOSFET
上記がエンハンスメント型MOSFETです。左記がN型、右記がP型チャネルです。エンハンスメント型の場合は通常時にドレイン-ソース端子間が開放しており、ゲート端子に電圧を印加した際に導通する仕組みです。一般用途のスイッチングにはエンハンスメント型のMOSFETを使用されることが多いです。
2.4 IGBT
上記がIGBTです。IGBTは入力側にMOSを、出力側にバイポーラトランジスタを組み込んだ素子です。スイッチングの際の損失が少なく、電力伝送の効率が高い点が特徴です。大電流・大電圧も取り扱うことが可能なため、インバータやパワーコンディショナなどのパワーエレクトロニクス装置に広く利用されます。
2.5 フォトトランジスタ
上記がフォトトランジスタです。フォトトランジスタは光を受信して電気の導通・遮断を制御するトランジスタです。光電センサーやメディアコンバータなどの光通信装置などに広く利用されます。
3.トランジスタ記号の矢印と矢印の向き
トランジスタには種類に応じてそれぞれ矢印記号が記載されています。それぞれ矢印の向きや位置が決まっています。
バイポーラトランジスタにはNPN型とPNP型の2種類が存在します。NPNトランジスタにはベースからエミッタ方向に向かって矢印が描かれており、矢印方向に向かって電流が流れることを示しています。一方、PNPトランジスタにはエミッタからベース方向に矢印が描かれており、この流れに沿って電流が流れます。
フィールド効果トランジスタではNチャネルとPチャネルの2種類が存在します。矢印はどちらもP型半導体からN型半導体へ向かう方向へ記載されています。したがって、ゲートからソースへ記載された場合はPチャネル、ソースからゲートに記載されている場合はNチャネルです。
上記の通り、矢印と向きはトランジスタが動作する電流・電圧の向きを示します。入力信号がどのように出力に影響を与えるかを記載しています。
4.トランジスタに関するよくある質問
トランジスタには下記のような疑問点が多く取り上げられています。
4.1 PNPとNPNの覚え方
PNPとNPNはバイポーラトランジスタの種類です。
PNPはN型半導体をP型半導体で挟んだ構造です。N型半導体にベース端子が取り付けられ、エミッタ端子からベース端子方向へ電流が流れます。PNPトランジスタを用いた出力方式をソース出力とも呼ばれますが、ヨーロッパなどの国々ではソース出力が主流です。
NPNはP型半導体をN型半導体で挟んだ構造です。P型半導体にベース端子が取り付けられ、ベース端子からエミッタ端子方向に電流が流れます。NPNトランジスタを用いた出力はシンク出力と呼ばれ、アメリカや日本では主流です。
NPN型が日本で広く利用されることはNiPpoNのNPNなどと覚えます。
4.2トランジスタが過熱する原因と対策
トランジスタは動作する際に内部抵抗によって熱を持ちます。特に大電流を扱う場合や、周囲温度が高い場合に発熱量が多くなります。発熱によって素子の温度が高くなると、故障の原因となります。
したがって、トランジスタに流れる電流が許容値を超えないように、抵抗や制限素子を使用して電流を制御することが重要です。放熱器や冷却ファンを使用して、トランジスタからの熱を放散するのも効果的です。
5.豊富な半導体記号を掲載するEdrawMax
EdrawMaxは、効率性に図面を作成できる強力なツールです。特に電気回路図や技術図面の作成において多くの利点を有します。
まず、EdrawMaxには豊富な回路記号とテンプレートが搭載されており、ユーザーはこれを利用することで簡単に電気図面を作成できます。本記事のトランジスタなどの半導体記号も多数プリセットされています。ドラッグアンドドロップ機能を活用することで直感的に回路素子を配置することができ、必要な素子を迅速に追加可能です。これにより、図面作成のスピードが大幅に向上し、初心者でも効果的に作業を進めることができます。
さらに、EdrawMaxはCADソフトウェアよりも軽量で操作が容易です。DWGやDXFファイルの導入が可能で、他のCADプログラムとの交換性も高いため、異なるプラットフォームからの図面でもスムーズに作業ができます。特に小規模なプロジェクトやコストを抑えたいユーザーにとって、EdrawMaxは非常に手ごろな価格で利用できる代替手段です。商業的なCADソフトに比べて必要な機能を備えつつも、軽快な動作を実現している点が魅力的です。
図面管理においても、EdrawMaxは多様なエクスポート可能なファイル形式に対応しており、PDFや画像形式などに出力することができます。作成した図面を関係者と簡単に共有できるため、チーム作業の円滑化にも寄与します。また、図面のバージョン管理も容易で、変更履歴から過去バージョンに簡単に戻ることができます。自身で作成した回路記号やテンプレートを登録する機能も備わっており、効率性が一層高まります。
最後に、EdrawMaxは人気のAI機能を搭載しており、ユーザーはさらに効率的に作業を進めることが可能です。この機能は特に複雑な図面を扱う際に有用で、ユーザーの負担を軽減し、より創造的な作業に集中できるようになります。