電子回路で抵抗器は非常に重要な部品です。しかし、抵抗器を正しく理解し使いこなすためには、抵抗記号やその規格についてもしっかりと学ぶ必要があります。本記事では、抵抗記号の種類や意味、そしてそれらがどのような規格に基づいているのかを詳しく解説します。具体的には、固定抵抗器、可変抵抗器、半固定抵抗器の記号や役割、そして国際規格にどのように準拠しているのかを説明します。これにより、抵抗器の理解が深まり、電子回路の設計や解析がスムーズに行えます。ぜひこの記事を読んで、抵抗器の知識を深めてください。
1. 抵抗記号とは?
図面に表示されている抵抗記号を理解するためには、記号の規格や抵抗器について知る必要があります。ここでは、記号の規格の歴史や抵抗器の役割などを解説します。
1.1 抵抗記号は国際規格に準拠した記号
従来、抵抗器の図記号はJIS C 0301に基づき、ギザギザの線状で図示されていました。しかし、現在は国際規格IEC 60617に基づくJIS C 0617により、長方形の箱状の図記号が用いられています。新旧の図記号が混在すると混乱を招きやすく、旧記号では受注や施工の障害になる可能性があります。
新しく作成する図面では新記号で統一されていますが、廃止された旧記号で描かれた図面が依然として使われています。2004年度から高校教科書も新しい図記号を採用していますが、旧記号も理解しておくことが必要です。
1.2 抵抗器とオームの法則
抵抗器は電子回路の基本部品の一つであり、オームの法則に基づいて動作します。オームの法則とは「電気回路の2点間の電位差は、その2点間に流れる電流に比例する」という法則です。これを数式で表すと、電圧(V) = 電流(I) × 抵抗(R) です。この比例係数Rが電気抵抗です。
抵抗器は、回路に流れる電流を一定に保ったり必要に応じて変化させたりするための部品です。また、電圧を下げたり分けたりする役割も果たします。抵抗器により、LEDのようなデリケートな部品に適切な電圧と電流を供給できます。たとえば、LEDに直接電池をつなぐと過電流で破壊する可能性がありますが、抵抗器を挟むことで適切な電流を流しLEDを正常に動作させます。
電子回路を設計する際には、オームの法則を活用して適切な抵抗値を選定することが求められます。電気エネルギーを熱に変換して電流を調整し、回路の安全性と効率を保つ重要な役割を果たします。そのため、抵抗器は電気回路に欠かせない重要な部品です。
1.3 抵抗器の役割
抵抗器は、電子回路内で以下の主要な役割を果たします。オームの法則により、抵抗値が大きいほど電流は流れにくく、小さいほど流れやすくなります。抵抗器の代表的な役割を3つ紹介します。
- 電流制御
- 分圧
- 電流検出
電流制御では、抵抗器は回路内の電流を制御し、過剰な電流が流れないようにします。たとえば、LED回路では、抵抗器を使用して電流を適切な範囲に抑えることで、LEDの焼損を防ぎます。
分圧は、2つ以上の抵抗器を直列に接続すると、各抵抗器にかかる電圧が比例して分配されます。これにより、必要な電圧を得られます。
電流検出とは、抵抗器に流れる電流により、その両端に電圧が発生します。この電圧を測定することで、回路に流れる電流を確認できます。
これらの他にも、バイアス供給やダンピング抵抗など、さまざまな用途で使用されます。抵抗器は、さまざまな役割を持つ電子回路に不可欠な部品です。
2. 抵抗記号の種類と意味
回路図に使用される抵抗記号は国際規格に準拠したJIS C 0617に改正され、現在では新規号に統一されました。しかし、すべての図面が新しい記号に変更されたわけではなく、これまでの記号もまだ使われています。
現在の回路図では、長方形の記号が主流ですが、用途や設計によっては旧記号も依然として使用されています。ここでは、よく使用される抵抗記号を解説します。
2.1 固定抵抗器
固定抵抗器は一定の抵抗値を持つ抵抗器です。従来はギザギザの線で表されていましたが、現在ではJIS C 0617に基づき長方形の記号が使われています。新記号に統一されてからしばらく年月が経過していますが、いまだに旧記号も使用されています。
2.2 可変抵抗器
可変抵抗器は抵抗値を調整できる抵抗器で、記号には矢印が加えられています。音量調整など、値を頻繁に変える用途に使用されます。全体の抵抗値が変わるものと、タップの位置で抵抗値が変わるものの2種類があります。
2.3 半固定抵抗器
半固定抵抗器は、回路の動作を調整するために使用される抵抗器です。記号は「T」の縦棒が伸びたような形で表され、微調整が必要な場合に用いられます。トリマとも呼ばれることがあります。
3. 抵抗記号の規格
抵抗器の抵抗値や許容差の表示は、以下の規格に基づいて標準化されています。
- JIS C 5062:抵抗器及びコンデンサの表示記号(IEC 60062)
- JIS C 5063:抵抗器及びコンデンサの標準数列(IEC 60063)
ここでは2つの規格について解説します。
3.1 抵抗器の表示記号
抵抗器やコンデンサの仕様は外観からはわかりにくいため、部品には記号や色が印刷されています。抵抗器のカラーコードやコンデンサの静電容量を示す記号が代表的です。これらの記号はJISにより規定されており、国際規格との整合性が図られています。
3.2 抵抗値の標準数列
抵抗値は整数ではなく、例えば2.2Ωや4.7Ωのような中途半端な値で表示されます。これは、標準数列(E系列)に準じているためです。たとえば、E24は1から10までを等比級数(10の24乗根)で分割したものです。これにより、抵抗値は実際の使用において比や割合で使いやすくなっています。
3.3 その他の関連規格
JIS C 5101の電子機器用固定コンデンサ通則やJIS C 5201の電子機器用固定抵抗器通則があります。
これらの規格により、抵抗器やコンデンサの表示方法が統一され、使用時の誤解を防ぎます。抵抗器の表示記号や標準数列の知識を持つことは、電子部品の選定や回路設計において重要です。
4. 豊富な抵抗記号を搭載するEdrawMax
数ある電気図面を作成できるソフトウェアの中でも、EdrawMaxは抵抗記号が充実しており操作性に優れています。ここでは、EdrawMaxの画面を表示しながら特徴を紹介します。
4.1 登録されている豊富な抵抗記号
EdrawMaxは、インストール時にあらかじめ登録されている抵抗記号が豊富にあります。以下の画像は、抵抗記号を検索した結果です。
抵抗記号だけでも、11種類と「抵抗器とコンデンサー」カテゴリーに34種類の記号が表示されました。
もし抵抗記号がなければ、自分で記号を作成しなくてはいけません。図面作成に使う時間を記号を準備する時間にあてることになり、余計な手間と時間がかかってしまいます。使用するソフトで抵抗記号が豊富に用意されていることが、使い勝手のよいソフトを選ぶ1つの基準です。
4.2 マウス操作で簡単操作
使いたい抵抗記号を図面上に配置するには、左のメニューからダブルクリックするかドラッグ&ドロップするだけです。配置した抵抗記号は、サイズの変更や回転など自由にカスタマイズできます。いずれの操作もマウスのみで完了し、図面作成に慣れていない方でも簡単に操作可能です。
4.3 テンプレートが豊富で図面作成を時短
EdrawMaxにはテンプレートが豊富に存在します。抵抗記号を使った電気図面を作成する場合は、似ている図面をテンプレートから検索できます。たとえば以下の画面は、ユーザーコミュニティのテンプレートから抵抗器を検索した結果です。
比較的簡易な電気図面もテンプレートが存在し、作成したい図面と似ているものがあれば時間短縮できます。
5. まとめ
抵抗器は電子回路において非常に重要な部品であり、抵抗記号は正確な電気回路図に欠かせません。国際規格に基づく新旧の記号の違いや、それぞれの抵抗器の役割と機能を理解することで、電子回路の設計やメンテナンスがより効率的に行えます。
抵抗器は電流制御、分圧、電流検出などの基本的な役割があります。役割がわかれば、より精度の高い効率的な回路設計が可能です。
EdrawMaxのようなソフトウェアを使用することで、豊富な抵抗記号を簡単に利用でき、効率的に電気図面を作成できます。EdrawMaxは無料でダウンロードでき、すぐに利用可能です。抵抗器についてこれから勉強する方は、簡単に作成できるEdrawMaxをぜひ試してみてください。