1.リレーとは?
リレーとは、入力信号に応じて別の回路を開閉する部品です。電気信号が入力されると、接点や電流の信号で他の回路の動作を制御します。使用する目的は、高電圧・高電流の電気の制御や、回路の絶縁です。
まず、低電圧の制御信号を使用して高電圧・高電流の回路を制御するために利用されます。これにより、直接的に高電圧を扱うことなく、別の回路のスイッチングを行うことが可能です。大型モーターの制御信号や、ヒーターのON/OFF制御回路等に活用されます。
また、電気回路を絶縁したい場合にも使用されます。電源回路の故障が、LANを代表とした通信インターフェイスなどに波及しないように使用することが多いです。リレーを使用することにより、1カ所の回路故障が他部品の故障に波及することを防ぎます。
2.リレーの種類
リレーは大きく分けるとメカニカルリレーとソリッドステートリレーの2種類に分類できます。
2.1 メカニカルリレー
メカニカルリレーは物理的な接点を使用して回路を開閉するリレーです。コイルや接点及びバネなどの機械的部品が組み込まれており、コイルに電流が流れて発生した磁場によって接点が物理的に引き寄せられて閉路します。逆にコイルの電流が停止すると、バネの力によって接点が元の位置に戻り、開路します。
機械的な接点を使用するため、リレーを大型化するほど大きい電流や高電圧を扱うことが可能です。また、設計が単純でコストが低く、古くから使用されているために信頼性も高いです。ただし、物理的に部品が動き、使用するたびに摩耗が進むため、開閉回数による寿命が存在します。スイッチングの速度も限られており、高速な動作には向いていません。
2.2 ソリッドステートリレー
ソリッドステートリレーは可動部を使用せずに半導体を用いて回路を開閉するリレーです。フォトカプラやトランジスタなどの半導体を用いて、回路を絶縁しつつも開閉する仕組みです。
スイッチングが非常に速く、ほぼ瞬時に動作する点が特徴です。また、可動部がないため動作音もなく、静音動作が可能です。頻繁に動作させても摩耗することがないため、動作回数による寿命を気にする必要がなく、耐久性に優れています。ただし、半導体素子の制約によって高電圧・大電流の回路を取り扱うことが困難です。初期費用もメカニカルリレーよりも高く、高温環境では故障の原因となります。
以下に表にまとめます。
メカニカルリレー |
ソリッドステートリレー |
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動作原理 |
ばねやコイルによる機械的動作 |
半導体素子によるスイッチング |
利点 |
・大電流や高電圧を取扱い可能 ・安価で信頼性が高い |
・スイッチングが高速 ・可動部がないため、静音 ・摩耗がないため、動作回数による寿命が存在しない |
欠点 |
・開閉回数により摩耗が進むため、動作回数による寿命が存在する ・高速開閉に不向き |
・大電流や高電圧を取り扱うことが困難 ・初期費用が高い ・熱に弱く、高温環境では故障のリスクがある。 |
3.リレー記号一覧
リレー記号には様々な種類が存在します。本記事では新JISで使用される正式なリレー記号を、下記にて一覧として紹介します。
記号 | 動作 | 使用場面 | |
A接点リレー | A接点リレーはノーマルオープンリレーとも呼ばれ、リレーの初期状態では開路しています。コイルに電流が流れてリレーが動作すると、接点が閉じ、閉路します。動作の様子から、メイク接点リレーとも呼ばれます。 | ・モーター等の運転制御 ・スタート制御 |
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B接点リレー | B接点リレーはノーマルクローズリレーとも呼ばれ、リレーの初期状態から閉路しています。コイルに電流が流れてリレーが動作すると、接点が開き、開路します。動作様子から、ブレーク接点リレーとも呼ばれます。 | ・モーター等の停止制御 ・緊急停止システム ・異常警報システム |
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C接点リレー | C接点リレーは、ノーマルオープン端子とノーマルクローズ端子が切り替わる接点リレーです。コモン端子と呼ばれる共通端子とノーマルオープン端子、ノーマルクローズ端子で構成されます。通常時はコモン端子とノーマルクローズ端子に導通がありますが、コイルに電流が流れるとこれらが開路し、コモン端子とノーマルオープン端子が閉路します。 | ・非常用電源の切替制御 ・冷暖房の切替制御 |
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サーマルリレー | サーマルリレーは大電流が流れた際に動作するリレーです。電流が流れることで内部のバイメタル素子が過熱して変形し、接点を動作させます。電気回路における過負荷保護を目的として利用されることが多く、主にモーターなどの保護に使用されます。過電流が流れた場合にサーマルリレーで回路を自動的に切断することによって、機器が過熱し損傷するのを防ぎます。 | ・モーター等の保護回路 ・照明回路の過電流保護 |
4.リレー記号の使い方
電気回路を設計する際、特に展開接続図などを作成する場面では、リレー記号が多く登場します。電気回路を描く際にはAutoCADやjWCADなどのCADソフトを使用する技術者も多いですが、中でもEdrawMaxは初心者から習熟者まで、幅広いユーザーにお勧めできる製品です。本記事ではリレー記号の使い方について、EdrawMaxを使用して説明します。
4.1 素材をダウンロードする
EdrawMaxはdxfやpdfなどの様々なファイルに対応しており、インターネット上でダウンロードしたファイルをインポートして使用することが可能です。 上部のタブのファイルからインポートを選択することで、ダウンロードした素材を簡単に貼り付けることができます。インポートする際は、VisioやCAD及びSVGなどのファイルから選択してインポートすることが可能です。
4.2 素材をEdrawMaxで開く
EdrawMaxには図形記号やテンプレートが豊富に用意されています。外部からダウンロードした素材だけでなく、プリセットされている図形から配置することも可能です。左側のタブの『図形』や『テンプレート』を選択すると検索窓が表示されるため、リレーなどと検索するだけで簡単に図面記号を開くことができます。
4.3 EdrawMaxでリレー 記号を配置する
プリセットされているリレー記号を配置したい場合は、使用したいリレー記号をクリックするだけで簡単に作業領域にドロップすることができます。必要に応じて、リレー記号の位置を調整したり、回路内で配線を接続したりします。配線接続にはコネクタツールが便利です。
4.4 特定の記号を描画機能で作成し、ライブラリに保存して次回使う
EdrawMaxにプリセットされていない特殊なリレー記号を使用する際は、図形を組み合わせて独自に作成しなければならないこともあります。EdrawMaxではこれらをライブラリーに保存して次回使用することが可能です。
上部の図形セッションから新規ライブラリを選択することで、新たにライブラリを作成することができます。ここに図形をドラックすることで、簡単にライブラリに保存することが可能です。また、他のCADソフトなどで作成した記号も、インポートすることでライブラリ保存することができます。
5.リレー記号に関するよくある質問
5.1 リレー記号に関連する国際規格は?
リレー記号に関する国際規格は、IECやANSIに記述があります。中でも広く活用されるのがIEC_60617です。
IEC_60617は電気回路図の図記号に関する国際規格です。電気機器や回路図の標準的な図記号を定義しており、リレー記号もその一部として規定されています。IEC_60617ではリレーやスイッチ及び接点などの図記号が標準化されており、リレーの種類や動作に応じた図記号を使用することが推奨されています。
ANSIにもリレーに関する規格を定められており、特にANSI_86規格はリレーやその機能を定義する際に使用される記号やコードに関する記載があります。主にアメリカ合衆国内で使用されていますが、国際的にも広く採用されています。
5.2 リレー記号でコイル部分はどのように描かれていますか?
リレーのコイル部分について、新JISでは上記のような四角記号で表記されることが多いです。四角の中に付番されます。付番にはリレーであることが分かりやすいようにRY○○やR○○などの番号が使用されます。
5.3 タイマーリレーの記号は普通のリレー記号とどう違いますか?
タイマーリレーは上記のような記号が使用されることが多いです。普通のリレー記号とは異なり、接点部分にキノコのようなパーツが描画されています。上記の記号はオンディレイタイマーリレーを指します。このキノコの傘が外向きに開いている場合、オフディレイタイマーリレーとして描画されます。
5.4 リレー記号に使われる接点の種類にはどんなものがありますか?
リレー記号には主にA接点とB接点、C接点が使用されます。A接点は通常時に開で、コイル導通時に閉します。B接点は通常時に閉で、コイル導通時に開します。C接点は1つのコモン端子と通常時閉端子および通常時開端子を有し、コイル導通時にコモンと導通する接点が切り替わるリレーです。リレーの一覧項目に詳しく記載しています。