建物は仕上がってしまうと見えなくなってしまいますが、重要な部分が多くあります。建物の骨組みである躯体や構造といった部分は工事が完了してしまうと見えなくなります。しかしこの部分は建物の強度や耐久性、安全性を保つために必要な部分です。
そんな躯体部分を表した図面に躯体図面というものがあります。そんなあまり見る機会のない躯体図面とはどういった図面か?その読み方や書き方について詳しく解説していきます。
1.躯体図とは?種類のまとめ
躯体図面は、建物の骨組みを表した図面です。
(出典:パイオニア・オフィス)
躯体は建物の構造体のことをいい、建築基準法上の主要構造部と呼ばれる部分のことを意味します。具体的な部分としては、下記の通りです。
・壁
部屋を区切るための構造物です。構造とは関係ないですが、間仕切り壁という壁もあるため、意味を正しく理解しておきましょう。
・柱
建物の重さを支えるために設置される縦方向に作用する構造物です。1つの建物に多くの本数が設置され、必要な箇所に必要な数を設置する必要があります。
・床
建物の下部の平面的な構造物です。具体的な人が歩くための部分です。
・梁
建物の天井や屋根、2階以上の床を支えるための構造物です。
そのサイズはさまざまで、各種計算に基づいてそのサイズが決定されます。
・屋根
建物の最上部に位置する構造物であり、雨、風、日光から建物の保護を行うものです。
仕上げ材としては、瓦、ガルバリウム鋼板、カラーベストなどがあります。
・階段
1階と2階などの上下階をつなぐための構造物です。
これらを図面上に表したものが躯体図面となってきます。さらに躯体図面にはいくつかの種類の図面があります。
まずひとつ目は 床伏図です。
床伏図は各階の床の躯体を表した図面のことをいいます。
1階床伏図、2階床伏図、小屋伏図といった形で、床から下を見た状態での躯体の状況を図面に表していきます。床伏図の目的は、構造部材の配置やサイズ感を理解するための図面です。構造部分をよりわかりやすく表現するため、建物内部の家具や建具、間仕切り壁といった室内に見える部材については省いて図面に落とし込みを行います。
次に天井の状況を表した図面の見上図という図面があります。
床から天井を見上げた状態を表した図面であり、こちらも床伏図同様に各階の図面が存在します。
見上図の目的としては、天井の躯体を視覚化しその構造を理解することにあります。伏図で得られない情報が得られる図面となっています。天井に設置される設備の位置やバランスを把握するためにも用いられます。構造図としての役割以上に内観の見栄えについても影響を与える図面であるといえます。
次は躯体断面図です。
こちらは躯体の断面や軸組を表した図面であり、床伏図や見上図のように平面的な図面でなく、高さ関係の情報の落とし込みが必要です。
最後に軸組図です。躯体断面図と同じように、建物骨組みを立面的に表した図面です。
柱や梁の位置や形状を描きます。
軸組図の目的としては、建物の骨組みを視覚化し、構造を理解することにあります。形状や構造、強度なども示した重要な図面です。
上記のように建物の重要な部分で骨組みを表す図面であるため、その種類やどこの部分を表しているのかよく理解しておきましょう。
躯体図は建物の根本的な構造を表したもので確かな知識が必要な図面のひとつといえます。
2.躯体図の読み方:符号、凡例と専門用語
ここからは、躯体図の読み方について解説していきます。建物を作るための各種工事の施工は、躯体図を確認しながら行います。
そのため躯体図に記載されている内容は施工業者にも理解できるものでなければいけません。
そんな躯体図では、平面での図面の中に高さに対しての情報の落とし込みを行うために、躯体記号、符号を用いて表現を行います
躯体符号の種類としていくつかのものがあります。
・梁記号
(出典:躯体図の描き方HPより)
梁記号は、横長の楕円を4つに区分けして梁の情報を記載します。梁の幅、高さ、種類、梁天端と基準線との差異などを表記します。
これによって使われている梁がどのようなものかがはっきりとわかります。
・スラブの記号
(出典:躯体図の描き方HPより)
スラブとは床のことを意味する言葉です。そのためスラブの記号では床に関する情報を記載していきます。
四角の記号にスラブの種類とスラブ天端と基準線との距離を記載します。
・開口の記号
丸い記号を3等分した形に、開口に関する情報を記載していきます。開口の寸法、開口の高さなどの寸法を記載します。
建具の種類についてもここで説明していきます。
3.躯体図の書き方
ここからは躯体図の書き方について解説していきます。躯体図では、書き方も大事ですが必要な情報を盛り込んだ図面に仕上げていく必要があります。
手順はあくまで参考の手順であるため、最終的に躯体図の中に必要とされる情報を盛り込んだものになるように意識して図面作成を行いましょう。
1.通り芯を記載
建物の中心線を図面上に書いていきます。壁を書くときの基準にもなってくるため、寸法の間違いがないように気を付けましょう。
2.壁や梁などの躯体の記載
基準線をもとにして、壁や梁などの躯体部分を書き込んでいきます。
壁や梁の幅に注意して書く必要があります。この厚みや位置などは、施工の際に設備業者などが配線や配管を行う際に確認する部分であり、そのサイズによって施工方法が変わる場合もあるため重要となってきます。
3.柱の位置を記載
躯体の一部である柱の位置をかいていきます。
柱の位置は、梁などと同様に配線、配管に影響ある部分であるため、位置やサイズ間違いがないように記載していきましょう。
4.記号、符号、凡例の記載
躯体図の中の梁やスラブなどのサイズや基準高さなどについての記号または符号、使用している凡例の記載を行います。
記号や符号ごとに何を表しているのかが明確になるように記載していきましょう。
5.寸法などの記入
最後に寸法などの情報を記載していきます。
図面の仕上げとして寸法の記載を行ってきます。この寸法が間違ってしまうとせっかくの躯体図の役目を果たすことができなくなるため、間違いないように記載していきましょう。
おススメの図面作成ツールEdrawMax
ここからは操作性が高く、記号や符号作成に便利で躯体図作成におススメの図面作成ツール:EdrawMaxについて紹介します。
EdrawMax(エドラマックス)はWondershareが提供している作図や製図業務に特化したソフトウェアです。さまざまな業界で導入されており、図面作成だけでなくチャートや組織図などの作成も可能となっています。
ここからは、躯体図作成に適したEdrawMaxの機能についていくつか紹介していきます。
まず他のCADソフトのデータをインポート可能な点です。
躯体図は元請け側が作成し、配線、配管の経路を検討する際には、電気水道業者との図面データのやりとりが行われます。その際に、CADソフトの違いに関係なく、図面の追加修正が可能となってきます。
次に活用可能な機能としては、既存の図面テンプレートが豊富なことです。
参考として使用することもでき、凡例や記号のみを使用することもできるので、図面作成の時間を短縮が可能です。躯体図である天井伏図のテンプレートも既存であるため、参考に使用する際にも最適です。
図面のテンプレートだけでなく、記号や基本図面のテンプレートの種類が豊富なため、躯体図作成の際の記号、符号、凡例などの作成に非常に役立ちます。
躯体図は骨組みを表現した図面であり、情報量の多い図面といえます。部材の寸法などをわかりやすく表現するため、符号の表示は非常に重要です。
EdrawMaxの機能を上手く使用することで、わかりやすい躯体図面の作成が可能となってきます。直感的な操作性で複雑な図面作成にも対応しており、躯体図の作成などの作成にも十分対応できます。
まとめ
今回の記事では、躯体図とはどのような図面であり、その読み方や書き方について解説していきました。躯体図は建物の骨組みを表した図面であり、施工の際に使用するとても重要な図面です。
そんな躯体図には特定の場所をより詳しく示すためいくつかの種類があります。それぞれの用途に合わせて適した場面で使用することが求められます。
躯体図で使用される記号や符号には、材料や施工に必要な情報が盛り込まれているものであり、記入の間違いがないように注意することが必要です。仕上がってしまえば見えなくなる部分を表した図面ですが、重要な図面のひとつです。そんな躯体図を今回の記事を参考にぜひ作成してみてください。