配管図面は、水道、電気、ガス、空調などの設備工事で用いる図面のひとつです。
本体工事のように仕上がってしまうと見えなくなる部分であるため、正確で他の工事に支障がないように経計画、設計する必要があります。そんな配管図面ですが、建築工事でよく見る平面図や 立面図と違ってあまり見る機会のない図面です。
そこで今回の記事では、配管図面とはどのような図面で、その種類や読み方について詳しく解説していきます。
1.配管図とは
配管図面とは具体的に水道や電気、ガスなどの給排水管や電気配線の経路などを平面図に記載した図面です。
これらの配管は、床下や天井などの完成時には隠れてしまう部分に設置するため、図面が正確でなければ、正確な施工ができません。
配管図面作成の決まりに基づいて、誰が見てもわかる図面作成が必要です。
水道配管図であれば、給水配管と排水配管の色や記号が違うだけで、間違った施工につながりますので、重要な役割を果たす図面といえます。
2.配管図の種類
配管図面には、アイソメ図、アクソメ図、配管系統図と呼ばれる3種類があります。
それぞれに特徴があり、適切な箇所で使用することでより伝わりやすい図面となっていきます。
ここからはこの3種類の図面について詳しく解説していきます。
・アイソメ図
(引用:LPGCad R1 HP)
アイソメ図とは、アイソメトリック図の略称です。立体を斜め上から見た状態を図面にしたものであり、等角投影法と呼ばれる立体の表現方法です。
立体のX、Y、Z軸それぞれ120°の等間隔で投影し、実寸法で図面作成を行うため、寸法が伝わりやすい特徴があります。
真上から平面図などとは違い、立体的に見える図面であるため、全体イメージの把握が行いやすい図面といえます。
・アクソメ図
アクソメ図とは、アクソノメトリック図の略称です。アイソメ図と似たような用語ですが、こちらは軸測投影図法と呼ばれる立体の表現方法です。
平面図を水平線に対して幅と奥行を30°と60°になるように傾けて、高さ情報を落とし込みます。
平面図からアクソメ図を作成することは比較的容易に作成が可能です。図面の全体イメージを把握するのに役立つ図面です。
アクソメ図は便利な反面デメリットがあります。奥行が長すぎると違和感が目立ちやすく、遠近法が効かないので、スケールについては注意が必要です。
・配管系統図
(引用:Apiste HP)
配管系統図は、建物の配管経路や流れ、位置関係、構成などを表した図面です。
平面図では表記されない部分の情報が入った図面となってきます。
水道配管では、給水、給湯、排水などの種類を分類することが必要で、電気配線では配線の経路や機器の種類などを明確にしなければいけません。
そのため記号を用いたりして図面作成をすることで、伝わりやすい図面に仕上がります。
上記の3種類の図面は多くの情報やイメージの共有に必要な図面であり、実際の工事に必要不可欠なものです。図面作成のルールや凡例などに沿って正確でわかりやすい図面作成が必須といえます。
3.配管図の読み方:符号、凡例と専門用語
配管図は、具体的にバルブや配管の種類さサイズなどの情報を詳しく図面に記載していきます。
そうすることによって、取り合いや納まりといった現場で発生することの事前検討が可能となり、現場をスムーズに進められます。
さらに配管図から配管の長さや必要な部材の数量が明確になるため、積算の根拠にも役に立ちます。
そんな配管図には、あらかじめ決められた符号や凡例、専門用語があります。ここからはそんな配管図の読み方について解説していきます。
1.配管図で使用される記号
配管図で記載される配管の種類を表すためには記号が決められており、統一されたものを使用して誰にでもわかる図面作成が重要です。
- 排水用塩ビライニング鋼管・・・DVL
- ステンレス鋼管・・・SUS
- 鋳鉄管・・・CI
- 鉛管・・・L
- 銅管・・・CU
- ビニル管・・・V
- ポリエチレン管・・・P
- コンクリート管・・・C
上記は配管の種類を記号で表したものです。図面を簡潔にわかりやすいものにするため、このような記号を用いて配管図を作成します。
2.配管の状況を表す記号
配管は実線で表現され、配管の状況を表すために実線の組み合わせをしていきます。
点や三角などのさまざまな記号や表記を組み合わせて、配管状況を表現していきます。
一目で配管状況を把握するため、それぞれがどのような状況であるか理解しておく必要があります。
3.配管継手
配管を接続する際に用いる継手についても線や図形を用いて表現していきます。
継手は配管の長さが長い場合や、配管の流れる方向を変える際などに使用します。
継手の種類は豊富にあるため、用語と記号を正しく理解する必要があります。
(引用:公共建設設備工事標準図|一般共通事項|国土交通省)
4.配管の呼び径について
配管で使用するパイプ類には、サイズやパイプの種類でVP〇〇といった形で表記していきます。
mm以外ではインチで長さを表記する場合もあるため注意が必要です。
建築工事でよく使用されるパイプのサイズですと、50mm~100mmの塩ビのパイプが使用されるので、VP50やVP100といった形で表記されます。
水道工事の場合を主に解説していきましたが、電気工事の場合ではまた違った表記や記号がでてくるため、工事の種類によっても書きわけていく必要もあります。
4.配管図の書き方:記法
符号や記号、専門用語が理解できたら、実際に配管図を作成していくことが可能です。
ここでは水道配管図を作成する場合の注意点や手順について紹介していきます。
まず水道配管図を作成するための注意点としては、
- 指定された書式やサイズ、スケールを守ること
- 図面に記載すべき情報は全て記載すること
基本的な部分ですが、注意して図面作成に取り掛かりましょう。
次に住宅で使用する場合の水道配管図作成の流れについてです。
1.配管の位置や長さを実線で記入する
住宅では、給水、給湯、排水の配管経路を記入する必要が出てきます。
その際にどれがどの配管なのかを明確にするため、線種や色を変えてわかりやすくします。
2.分岐などの継手箇所がある場合は記号を用いて記入する
分岐や継手となる部分には所定の記号でどんな材料を使うのかわかるようにします。
これによって材料の準備や積算が効率的に行えます。
3.排水桝などの位置、接続配管を記入する
水道配管を屋外に設置する場合には、雨水桝、排水桝の設置を行います。
これは点検やメンテナンスに用いるために設置するものであり、配管の合流や分岐にも利用されます。
4.水道メーター、止水栓などの記入
給水配管は道路の下に給水本管から敷地内に分岐して給水配管を引っ張っているため、その止水栓と水道メーターの設置個所についても記入していきます。
5.凡例の作成をする
水道配管図作成の際に使用した記号などを凡例にて表にまとめて、わかりやすくします。
凡例を作成することで、図面作成者と図面閲覧者とで認識が共有できるようにします。
上記が水道配管図作成の流れの例です。
この他にも決められた書き方や記載すべき内容は、案件ごとにかわってきますので、事前の確認が必要です。
5.おススメの配管図作成ツールEdrawMax
ここからは建築図面の中でも各種工事に必須で専門知識が必要となる配管図作成におススメの図面作成ツール:EdrawMaxについて紹介します。
EdrawMax(エドラマックス)はWondershare(ワンダーシェアー)が提供するさまざまなクリエイティブソフトのひとつで、作図や製図業務に特化したソフトウェアです。
配管図で多く使用する、記号や符号についても豊富なテンプレートの中から選択でき、修正を加えることで特定の記号を作成することが可能です。まずは下のボタンから無料ダウンロードしましょう。
簡易的な配管、配線図は既存のテンプレートを利用することで図面作成を効率的に行えます。
- 他のCADデータをインポートすることも可能であるため、他社製品で作成された図面を取り込み図面の修正や追加を行うことも可能です。
- 配管図をより見やすくするために、配管を表した線の色や種類の変更が可能です。
- 細かい線や図形を使用することが多い配管図ですが、直感的な操作性であるため、より細かく精度の高い図面の作成が可能です。
水道、電気、ガス、などと専門的な図面となる配管図ですが、EdrawMaxの機能を使いこなすことで、複雑な図面作成を効率的に行うことが可能となるでしょう。
まとめ
今回の記事では、配管図とはどういったもので、その書き方などについて解説していきました。
配管図といっても、水道、電気、ガス、空調と工事の種類によって配管の表現の仕方や記号の種類も変わってきます。
図面の精度によって、工事の進行にも影響与えるため重要な図面といえます。配管図はだれが見ても理解でき、どの部材をどこに配置し使用しているのかを明確にしたものでなければいけません。
今回の記事を参考に配管図の正しい書き方を理解して、工事現場で喜ばれる図面作成を目指していきましょう。