建築工事で使用する数多くの図面があります。よく見る図面では、平面図、立面図、配置図などがありますが、その他にも用途や目的が明確になっている図面があります。
そんな図面のひとつに天井伏図という図面があります。伏図は見ている視点によって種類がありますが、天井伏図は天井面を見上げた図面です。そんな天井伏図の読み方や書き方について詳しく解説していきます。
1.天井伏図とは
(出典:株式会社シェルパ)
天井伏図は建物の各階の天井を見上げた状態を示した図面です。「テンプレ」と呼ばれることもあります。天井に設置されている設備機器などの情報を把握するために必要な図面です。
具体的に図面に表示される情報については以下のとおりです。
・天井仕上げ材
天井の仕上げ材で用いられる材料として、クロスだけでなく化粧石膏ボードやケイカル版といった材料を使用する場合もあります。これらの材料は1枚のサイズが決まっているため、割付を検討する必要があります。
天井仕上げ材の割付などの情報は天井伏図に落とし込むことが必要です。
・照明器具などの設備機器
天井に設置する照明器具や火災警報器などの設備機器の位置についても天井伏図に落とし込みます。照明器具の配置はお部屋の明るさやインテリアにも影響を与えるため、照明計画に天井伏図は利用されます。
さらに火災警報器などの天井に設置する設備の位置についても、バランスを考慮して設置箇所を検討する必要があります。
・給排気口の配置
空調や換気システムを設けている場合は、給排気口の天井や壁、床に設置する必要があります。天井に設置する場合には、その位置を天井伏図に表記し、他の器具と干渉しないように配置していきましょう。
・天井点検口の配置
天井裏に設置されている配線や配管やその他のトラブルの際に、天井に入れる入口の天井点検口の設置位置も天井伏図に表記します。他の設備との干渉や入口に適した箇所に設置を行いましょう。
天井伏図は天井の仕上げや利便性を向上させるために重要な図面です。設計の意図を組み込んだ、精度の高い図面を作成することで、施工もスムーズに進む図面となることでしょう。
2.天井伏図の読み方:符号、凡例と専門用語
ここまで、天井伏図がどのような図面であるか解説していきましたが、ここからは天井伏図の読み方について解説していきます。天井伏図は、平面図や他の種類の伏図とは違い、見上げた状態を表す図面です。
そのため、天井面の情報を漏れなく表記していくことが重要です。さらに天井伏図を読むためには、理解しておくべきポイントがあります。
・寸法
天井伏図は正確な寸法を持った図面でなければいけません。天井の高さや、仕上げ材料の割付、設備機器の配置など、寸法が正確でなければバランスが崩れてしまうので、適切で正確な寸法を理解しておきましょう。
・設備機器の配置
天井伏図で表される設備機器は、特定の記号を用いて表現される。特に照明器具などは、シーリングライト、ペンダントライト、ダウンライトと種類が豊富にあります。
種類がわかるように図面では表記しておく必要があります。その他の設備機器でも給排気口の設置箇所についても、どちらが給気でどちらが排気かを文字や記号で明確に分類して表記していきます。
・仕上げ材の表現
天井の仕上げ材については、材料によって表現を変えることでより分かりやすい天井伏図に仕上がります。割付が必要な材料は割付がわかるように図面表記していき実際の仕上がりをイメージした図面に仕上げていきましょう。
・記号や符号
天井伏図では特に多くの電気設備機器の記号が使用されます。スイッチ、コンセントからはじまり、その種類までわかるように表記していきます。
丸に線がついたような記号で、似たような形状の記号が数多くあるため、文字がなければ理解することが困難です。そのため凡例などを用いて記号類の形状と名称をまとめておくことで、誰でもわかる図面に仕上がっていきます。
3.天井伏図の書き方
天井伏図を作成する際には、各工事業者にも閲覧や図面への追記をしてもらって作成すると、記入漏れなどが少なく、バランスのよい図面に仕上がっていきます。
ここでは、木造住宅を想定した天井伏図の書き方について解説していきます。
・建物の壁位置や天井高さ、段差等を記入
平面図などをを天井伏図を作成する階の外形を作成していきます。同時に天井高さや段差などの高さ関係についても記入していきます。天井伏図の枠を作るようなイメージで行います。
・電気設備関係の情報を記入
照明器具などの電気設備機器の配置の落とし込みを行います。
・空調、防災設備関係の情報を記入
エアコンや換気設備などの空調設備機器と、防災設備の火災警報器などの位置や情報の落とし込みを行います。
・建築工事で設置する材料の記入
天井点検口などの建築工事の方で関係する材料の記載を行います。各種設備機器に干渉しない位置の設置を行いましょう。天井仕上げ材の割付についてもここで記入していきましょう。
・寸法、凡例などの記入
最後に図面の各種寸法の情報や、使用している記号をまとめた凡例の作成を行います。寸法に数字が多く出てくるため、間違いが発生しやすい場所であるため、正確な情報を表記するように気をつけましょう。
上記の手順で天井伏図を作成していけば、施工上必要な部分のミスは少なく、バランスのよい設備も配置され、見栄えのよい図面に仕上がりやすいです。
4.おススメの伏図作成ツールEdrawMax
ここからは天井の仕上がりに影響を与える、読み方や書き方にもルールがある天井伏図作成におススメの図面作成ツール:EdrawMaxについて紹介します。
EdrawMax(エドラマックス)はWondershare(ワンダーシェアー)が提供している作図や製図業務に特化したソフトウェアです。図面作成だけでなく、チャートなどの作成も容易に行えるため、図面だけでなくプレゼン資料の作成なども可能です。
そんな伏図作成ツールEdrawMaxの天井伏図作成に適した機能について紹介していきます。
・DWG/DXFのCADデータのインポートが可能
他社CADソフトで作成した図面データをインポートが可能であるため、施工者や発注者から送られてきた図面データについても修正を行うことが可能です。
・豊富な図面テンプレートから図面作成が可能
ベースとなる図面のテンプレートが豊富にあるため、図面の作成が容易に行えます。種類が多いので、天井伏図に近いものを利用することで、図面作成時間の効率化がはかれます。
・豊富な種類の記号を使用可能
利用できる記号の種類が多く、照明記号など天井伏図にそのまま利用できる記号も存在します。適切に利用することで記号を作成する手間を削減できます。
上記であげた機能を利用することで、天井伏図を効率的に作成することが可能となるでしょう。機能は限定されてしまいますが、フリー版は無料ダウンロード可能となっています。まずは試しに利用して使用感を確かめてみてください。
感覚的な作図操作が可能で、すぐにでも図面作成を行えます。多機能な伏図作成ツールEdrawMaxぜひ一度使用してみてください。下のボタンから無料ダウンロードしましょう。
5.FAQ:屋根伏図と天井伏図の違い
数ある建築図面の中では、似たような名前で意味を混同しやすい図面があります。その中で「屋根伏図」と「天井伏図」の違いについて解説していきます。
屋根伏図 | 天井伏図 | |
定義 | 屋根伏図は建物を屋根の真上から見下ろした状態を表した図面です。 | 天井伏図は建物内部から各階の天井を見上げた状態を表した図面です。 |
記載する内容 | 屋根の形状や屋根の勾配などの情報を表示していきます。最近では太陽光を設置する建物も多いため、太陽光の設置枚数や形状なども表記します。 | 天井面に設置する設備機器などの設置状況を把握するために必要な図面となっています。その他にも天井仕上げ材の割付や配置などの情報も表記していきます。 |
役割 |
屋根面の情報を施工者に把握してもらうために必要な図面といえます。 さらに屋根の形状や屋根勾配を表記することで、見た目の間違いなどを防ぐことにもつながってきます。 |
天井面の見栄えをよくするために活用される図面であり、設備機器の設置のバランスを確認するためにも用いられます。 このように屋根伏図は、屋根の情報を表した図面で、天井伏図は天井の情報を表した図面であり、適切な場面での利用が求められます。 |
まとめ
今回の記事では、天井伏図について詳しく解説していきました。天井面の情報を表した天井伏図は、内装の印象にも影響を与える重要な図面です。基礎伏図や床伏図とは違い、仕上げ段階での利用が多い天井伏図は、記号や符号を正しく使用し、わかりやすい図面の作成が求められます。
天井伏図の役割を正しく理解して、正確な図面の作成を行っていきましょう。