論理回路シミュレータとは、デジタル回路の動作をコンピュータ上で模擬するツールです。設計した回路を実際に作製する前に動作確認したり、問題を発見したりすることができます。ANDやOR及びNOTなどの基本的な論理ゲートを使って構成された回路の動作をシミュレートし、回路の入力に対して出力がどのように変化するかを演算します。回路設計の初期段階で使用されることが多いです。
この記事では、おススメの論理回路シミュレータについて、それぞれの特徴や基本情報をまとめました。
1.論理回路シミュレータ5選
論理回路シミュレータは多くの企業で作成、販売しています。以下はそれらの論理回路シミュレータのうち、5つの代表製品を紹介します。
1.1 SimcirJS
引用元:SimcirJS
SimcirJSはHTML5とJavaScriptを使用して開発された、ブラウザ上で動作する論理回路シミュレータです。
長所:①インストール不要ですぐに使用することが可能 ②自由に利用・改良が可能 ③多様な部品を搭載し、簡単な論理回路作成に役立つ
短所:①複雑な回路に対応しにくく、詳細な解析機能が不足している
おすすめの人:簡単な回路作成や教育現場で利用したい方、工業向けの高度な機能が求められる場合には物足りない
公式URL | https://kazuhikoarase.github.io/simcirjs/ |
対応デバイス | ウェブブラウザ上で動作(PC、スマートフォンなど) |
対応言語 | 主に英語 |
対応ファイル種類 | JSON形式でのデータ保存と読み込みが可能 |
価格 | 無料 |
ガイドブック | https://lecture.ecc.u-tokyo.ac.jp/JOHZU/joho/Y2017/LogicSimulator/LogicSimulator/01.html |
その他の重要情報 | MITライセンスのため、自由に利用・改良が可能 |
1.2 EdrawMax Online
EdrawMax Onlineはオンラインで利用可能な多機能な作図ツールです。論理回路シミュレータとしても活用可能です。
長所:①論理回路図だけでなくフローチャートやネットワーク構成図及び間取り図など、280種類以上の図面を作成可能 ②多様なテンプレートと50,000以上の記号が用意されており、直感的なドラッグ&ドロップ操作で簡単に図面を作成可能 ③インターネット接続があればどのデバイスからでもアクセスでき、作業の柔軟性が高い
短所:①無料版ではエクスポート画像に透かしあり
おすすめの人:論理回路の基本を学ぶ学生や初心者、プレゼンテーション作成者、プロジェクトマネージャー
公式URL | https://www.edrawsoft.com/jp/circuit-diagram/ |
対応デバイス | ウェブブラウザ上で動作(PC、スマートフォンなど) |
対応言語 | 日本語を含む多言語 |
対応ファイル種類 | PDF、Word、Excel、PowerPoint、画像ファイル(JPEG、PNG、SVGなど)など、多様な形式でのエクスポートとインポートが可能 |
価格 | 無料体験/1年間プラン9800円 |
無料版・有料版の差 | 無料版は使用可能なテンプレート数に制限がある、クラウドストレージ容量が100MBに制限される |
ガイドブック | 公式サイトを参照 |
その他 | デスクトップ版とWEB版を併用可能。 |
1.3 iCircuit
引用元:iCircuit
iCircuitは、iOSデバイス向けの電子回路シミュレータです。
長所:①多様な部品に対応しており、トランジスタやダイオードを含む300以上の部品を使用可能 ②回路を構築すると即座に動作を確認でき、電圧や電流の測定も可能 ③信号の波形を視覚化し、回路の詳細な解析を行うことが可能 ④タッチスクリーンを活用した直感的なインターフェースで、初心者でも簡単に使用可能
短所:①PC向けの高度な回路シミュレータと比較すると、複雑な回路や詳細な解析機能が不足している
おすすめの人:学生や初心者がアナログおよびデジタル回路の基本を学ぶ場合、Arduinoプログラミングに興味がある場合
公式URL | https://apps.apple.com/jp/app/icircuit/id383359044 |
対応デバイス | iPhone、iPad、iPod touch |
対応言語 | 日本語、英語、ドイツ語、フランス語、中国語など |
対応ファイル種類 | iCloudを通じて、他のデバイスとのデータ共有が可能 |
価格 | 永久ライセンスで2,000円 ただし、プロ向けは2,500円/年を追加課金 |
ガイドブック | https://www.appbank.net/2010/08/11/iphone-application/154272.php |
その他重要情報 | 最新のバージョンでは、ArduinoのSPIライブラリやNeoPixelライブラリなど、多数の新機能が追加されています。 |
1.4 Circuitverse.org
引用元:Circuitverse.org
Circuitverse.orgは、オンラインで利用可能なデジタル論理回路シミュレータです。
長所:①インストール不要で、インターネット接続さえあればどのデバイスからでもアクセス可能 ②ドラッグ&ドロップ操作で部品を配置し、簡単に回路を組み立てることが可能 ③基本的な論理ゲートからフリップフロップやデコーダなど、多様なデバイスがプリセット ④真理値表データに基づいて自動的に回路を生成する機能有
短所:①商用の高機能なシミュレータと比較すると、複雑な回路や詳細な解析機能が不足している場合有
おすすめの人:簡単な回路の設計や、アイデアの検証を迅速に行いたい場合に
公式URL | https://circuitverse.org |
対応デバイス | ウェブブラウザが動作するデバイス全般 |
対応言語 | 主に英語 |
対応ファイル種類 | SVG形式でのエクスポートが可能 |
価格 | 無料 |
ガイドブック | https://learn.circuitverse.org/docs/logic-design/functional-description.html |
その他 | オープンソースプロジェクトであり、GitHub上でソースコードが公開されています。 |
1.5 logic.ly
引用元:logic.ly
logic.lyは、WindowsおよびmacOSのどちらにも対応した論理回路シミュレータです。
長所:①ドラッグ&ドロップ操作で、ゲートやフリップフロップなどの部品を簡単に配置可能 ②シミュレーションを一時停止し、信号の伝播をステップごとに確認可能 ③インストール不要で、ブラウザ上で直接使用できるオンライン版有 ④直感的で操作性が高い短所:①無料で利用できる同様の機能を持つツールもある
おすすめの人:エンジニアや学校教育などで使用することが可能
公式URL | https://logic.ly |
対応デバイス | WindowsおよびmacOS |
対応言語 | 英語 |
対応ファイル種類 | エクスポートはPNG形式、インポートはLogicly形式 |
価格 | 59ドル 20ライセンスで599ドル 人数無制限ライセンスで1,299ドル |
ガイドブック | https://logic.ly/help/design/ |
その他 | オンライン版も提供されており、インストール不要でブラウザ上で直接使用できます。 |
2.論理回路図の書き方
上記にて論理回路シミュレータを複数紹介しましたが、その中でも様々な点で優位性のあるEdrawMax onlineを使用した論理回路図の作成方法を説明します。
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まず、EdrawMax onlineで新しい描画図面を開きます。様々な図面作成に対応しており、フローチャートや間取り、ガントチャートなども作成すること可能です。UIも分かりやすく、作成した図面を簡単に選ぶことができます。論理回路図を製作する際は、エンジニアリングなどを選択することでテンプレートを開くことが可能です。
テンプレートを開くことで、基本回路図がすでに記載された図面を参考にすることができます。また、新たな記号や部品を配置したい場合、図形の名前から検索することで簡単に基本図形を配置することができます。基本図形内部には通し番号などを書くことができる記号も多いです。
論理回路図は部品を配線で接続して記載する必要があります。各部品に対してコネクタを使用することで簡単に座標を合わせて接続することができます。他のCADソフト等と異なり、直感的に線を綺麗に繋げることができる点も特徴の一つです。必要に応じて線の太さや色なども変更できます。
ネット環境の影響を受けていないデスクトップ版のEdrawMaxもありますので、論理回路シミュレータとしてぜひご活用ください!
3.論理回路シミュレータを選ぶ方法
論理回路シミュレータを選ぶ際には、目的に応じた機能性や使いやすさ、対応するプラットフォームなどを考慮することが重要です。下記のような観点で選定します。
3.1機能性
・フリップフロップやシフトレジスタなど、複雑なデジタル回路もシミュレートできることを確認する
・シミュレーションの精度も重要であり入力信号に対して正確に動作を反映できることを確認する
3.2インターフェイス
・操作が直感的であり、ドラッグ&ドロップなどで簡単に部品を配置できるインターフェースであることを確認する
・リアルタイムでのシミュレーション結果表示や、信号の波形表示があることを確認する
3.3プラットフォーム
・オンラインかオフラインか、またはクロスプラットフォーム対応かを確認する
・動作するデバイスやサポートOSを確認する
4.論理回路作成に関するよくある質問
4.1論理回路シミュレータとは何?
論理回路シミュレータとは、デジタル回路の動作をコンピュータ上で模擬するためのソフトウェアです。実際の回路を製作する前に動作を確認し、必要に応じて修正することができます。
AND、OR、NOTなどの基本的な論理ゲートを使用して回路を構築し、入力信号に対する出力をシミュレーションします。回路設計の段階で問題を早期に発見し、実際の回路を作成する前に設計の精度を高めることができます。
4.2 正しい論理回路を作成するためにチェックすべきところは?
まず、回路内で使用する論理ゲートが正しく接続されていることを確認します。誤接続があると、回路全体が期待通りに動作しなくなります。また、各入力信号が正しいタイミングで論理ゲートに供給され、出力が意図した通りに変化することを検証する必要もあります。特にクロック信号やリセット信号など、タイミングに依存する要素がある場合は、その動作に注意が必要です。