QC7つ道具である「特性要因図」とは、結果に対して原因を探っていくためのフィッシュボーン図のこと。近年ではさまざまな分野から注目されるようになり、特性要因図を取り入れようとする企業が増えています。
しかしいざ取り入れようと思っても、どのようにして問題解決に役立てればよいのかわからないものです。
そこでこの記事では、特性要因図の書き方から事例までをインプットできるよう情報をまとめました。
- ①:特性要因図とは何なのか?
- ②:特性要因図を使用するメリット
- ③:特性要因図の書き方
- ④:特性要因図を作成するポイント
- ⑤:特性要因図の事例とテンプレート
- ⑥:特性要因図作成の無料ソフト
特性要因図を使いこなすには、基本をはじめ書き方やフィッシュボーン図を作成できるソフトを把握することが重要です。
記事内では特性要因図を実際に作成しながら解説していきます。これからフィッシュボーン図を取り入れようと思っている方は、ぜひ参考にしてください。
Part 1: 特性要因図とは
まずは特性要因図における以下の基本情報をインプットしましょう。
- 特性要因図の意味
- 特性要因図の要素
- 特性要因図の目的
- 特性要因図の種類
- 特性要因図と4M・5M
それでは詳しく解説していきます。
特性要因図の意味
特性要因図とは、製品やプロセスの特性に影響を与える要因を分析し、その関係性をグラフ化した図のこと。巷ではその図が魚の骨のような形になることから、フィッシュボーン図と言われています。
特性要因図の特徴は次のとおりです。
- ① 製品やプロセスの欠陥や問題を特定するために使用される
- ② 要因と結果の関係を明確にすることで、問題の根本原因を特定できる
- ③ 要因は人、マシン、方法、素材の4つのカテゴリに分類する
- ④ 品質管理やプロセス改善に役立つ
- ⑤ 特性の改善または問題解決に向けたアクションプランの策定に役立つ
このように特性要因図は、様々な問題と改善を見つけることができます。
1.2 特性要因図の要素
特性要因図の要素は主に次の3つから成り立ちます。
- 結果を示す「特性」
- 結果に影響する要素の「要因」
- 「なぜなぜ分析」で得た小さな要因
それでは詳しく解説していきます。
1.2.1 結果を指す「特性」
結果を指す「特性」とは、一般的に製品やプロセスが満たすべき「仕様」や「要件」などの特定のものを指します。
具体的なものは次のとおりです。
- 機能的な特性
- 物理的な特性
- 安全性
- 耐久性
- 信頼性
- 維持管理性
- 利便性
- 環境への影響
各特性は、製品やプロセスの目的や要件に応じて重要度が異なり、開発者や生産者が適切に評価する必要があります。特性の適正な評価を行うことで、製品やプロセスの品質向上や、生産性向上などを図ることができます。
1.2.2 結果に影響する要素の「要因」
「要因」とは、製品やプロセスの特性はもちろん結果に影響を与えるもの。一般的に次の4つに分類されます。
- ①:人
- ②:マシン
- ③:方法
- ④:素材
これらの要因を分析することで、問題の原因を特定できます。
要因の分析にはいくつかの特性要因図が有効です。それぞれの図については後述しますが、なかでもフィッシュボーン図は要因の特定がしやすいためもっとも選ばれる特性要因図となっています。
また要因を分析することで、製品やプロセスの品質を向上させることが可能です。
1.2.3 「なぜなぜ分析」で得た小さな要因
「なぜなぜ分析」とは、特性要因図で問題の原因を特定するために使用される方法。この方法は問題を解決するために非常に効果的で、多くの企業が採用しています。
手順としては、なぜその問題が発生したのかをリストアップ。それらの問題をくりかえし探っていくことで、根本原因を追求することができます。
なぜなぜ分析は問題の根本原因を特定するだけでなく、将来同様の問題が発生しないように予防策を講じるためにも効果的な方法です。
1.3 特性要因図の目的
特性要因図は以下のような目的で使用されます。
- 製品やプロセスの欠陥や問題の特定
- 要因と結果の関係を明確にすることで、問題の根本原因を特定するため
- 品質管理やプロセス改善のための要因分析
- 特性の改善または問題解決に向けたアクションプランの策定
特性要因図を用いることで、様々な問題を追及し改善することができます。
1.4 特性要因図の種類
特性要因図には、使用する分析手法によっていくつかの種類があります。
簡易特性要因図
カテゴリなどを事前定義しない、もっともベーシックな特性要因図です。
4M特性要因図
4M特性要因図は4カテゴリに分別するタイプ。要因は人、マシン、素材、方法を設定します。どの業界でも使用されるオーソドックスな手法です。
8P特性要因図
8P特性要因図は8カテゴリに分別するタイプ。4P特性要因図の要素にくわえて、方針、現場、価格、プロモーションなどを設定します。
5M1E特性要因図
5M1E特性要因図は6カテゴリに分別するタイプ。人、素材、マシン、方法、測定、環境が設定されるケースがほとんどですが、場合によってはお金とメンテナンスも追加されます。
1.5 特性要因図と4M・5M
4M・5Mとは、製品やプロセスの問題の原因を分析するために使用される手法の一つです。
4Mは以下の4つの要因に着目します。
- 人
- マシン
- 素材
- 方法
一方で5Mは以下の5つの要因に着目します。
- 人
- マシン
- 素材
- 方法
- 環境
これらの要因を分析することで、問題の原因を特定することが可能です。
4M・5Mと特性要因図の違いについては、着目する要因の数と分類方法にあります。
手法 | 特徴 |
---|---|
4M・5M | 要因を4つまたは5つのカテゴリに分類します。 |
特性要因図 | 4つのカテゴリに分類し、要因と特性の関係をグラフ化。これにより、問題の原因を視覚的に把握することができます。 |
このように両者は似ていますが、視覚的に把握できるかどうかの決定的な違いがあります。
Part 2: 特性要因図を使用するメリット
特性要因図を使用するメリットは次のとおりです。
- 製品やプロセスの欠陥や問題の特定が容易になる
- 要因と結果の関係を明確にすることで、問題の根本原因を特定できる
- 品質管理やプロセス改善のための要因分析が行える
- 特性の改善または問題解決に向けたアクションプランの策定が容易になる
このように特性要因図は、問題の解決と現状を改善することができます。
Part 3: 特性要因図の書き方
特性要因図の書き方で重要になるステップは次の3つです。
STEP1 大骨を書く(すぐに思いつく要因)
まずはすぐに思いつく要因である「大骨(大きな●)」から書いていきます。なお、大骨の書き出しは4M が基準です。
STEP2 小骨を書く(大骨を構成している要因)
次に大骨を構成している要因である「小骨」を書いていきます。
STEP3 孫骨を書く(小骨を構成している要因)
最後に小骨を構成している要因の「孫骨」を書いていきます。孫骨を書き出す際のポイントとしては、小骨をさらに細分化⇒ミクロの視点で考察⇒浮かび上がったものを記入します。
特性要因図は上記3つの骨を意識して書き出しましょう。
Part 4: 特性要因図を作成するポイント
特性要因図を作成するときのポイントは次のとおりです。
特性要因図を作成するときは、要因を正確に特定することが重要です。要因が誤って特定された場合は、問題の根本原因を見つけることができません。さらに問題が再発する可能性があります。
特性要因図を作成するときは、特性と要因の関係を明確にしましょう。特性と要因の関係が不明確な状態で作成すると、問題の根本原因を特定することができません。したがって、一向に問題が解決されないので注意しましょう。
特性要因図を作成するときに注目すべきポイントは、要因の影響度を評価することです。要因の影響度が高い場合は、その要因に対する改善策を講じることが必要になります。逆に影響度が低い場合は、その要因に対しては改善策を講じる必要がない場合があるので時間をかけて評価しましょう。
特性要因図を作成するときは、上記3つを確実にクリアしてください。
Part 5: 特性要因図の事例とテンプレート
特性要因図は事例とテンプレートを確認することで、作成がスムーズになります。ここでは3つの事例とテンプレートを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
事例①:製品の売り上げにおける特性要因図
ベーシックな特性要因図テンプレートを使用すれば、テーマの問題点と課題をかんたんに視覚化できます。たとえば製品の売り上げが低迷している場合は、その要因を図にすることで改善に役立てることが可能です。
事例②:成績における記入式特性要因図
記入式特性要因図は、問題を箇条書きスタイルで記入していくだけのシンプルかつ作成しやすいタイプです。たとえば成績が伸びないなどを視覚化することで、問題と改善点をかんたんに発見できます。
事例③:炊飯器で炊いた白米が美味しくない原因をさぐる特性要因図
製品における特定の問題が発生している場合も特性要因図が有効です。たとえば炊飯器で炊いた白米が美味しくない場合は、問題点(クレームなど)をカテゴリ別で書き出すことで改善策を見出すことが可能です。
Part 6: 特性要因図(フィッシュボーン図)作成の無料ツール
特性要因図(フィッシュボーン図)をかんたんに作成したい場合は、無料の専用ツール「EdrawMax」がおすすめです。
ここではEdrawMaxの特徴と、特性要因図の作り方について詳しく解説します。
6.1 EdrawMaxの特徴
EdrawMaxの特徴は次のとおりです。
EdrawMaxは編集可能なテンプレートが豊富です。一から作成する必要がないので、スピーディーに特性要因図を作成できます(もちろん一から作成することもできます)。
EdrawMaxはシンプルなユーザーインターフェイスと操作性なので、初心者でも安心して利用できます。
EdrawMaxはツールが豊富なうえに、ドラッグ&ドロップで直感的に特性要因図を作成できます。
作成したファイルはワンクリックでOffice ファイルをはじめ、PDF、グラフィックファイルなどの形式でエクスポートできます。
作成したファイルはすべて暗号化されます。したがって、セキュリティの心配はもちろん、データを失う心配をする必要がありません。
6.2 EdrawMaxでの特性要因図作成方法
ここではEdrawMaxを使用した特性要因図の作り方を解説します。
以上で完了です。
EdrawMaxはこのように特性要因図がかんたんに作成できます。いますぐ使ってみたい方は、以下のボタンから無料でダウンロードしてください。
まとめ
特性要因図はさまざまな分野で利用できる万能な図。特性に対する要因を特定し、掘り下げていくことで問題をあぶりだすことができます。
問題の改善や予防につながるので、ぜひ有効活用しましょう。
図の作成はテンプレートを使用すれば簡単に作成できます。 ぜひチャレンジしてみてください。