建物や機械の設計図などで使用されるさまざまな図面には、それぞれ目的と伝えるべき情報があります。
その一つである断面図は立体物を平面上に投影した図であり、物体の内部構造や形状を分かりやすく示すための図面です。
この記事では、断面図の概要と建築における 断面図の基本的な書き方について分かりやすく解説します。断面図の目的と書き方を知り業務に役立てましょう。
1. 断面図はなぜ必要なのか?
断面図とは、対象物を切断したように表す製図方法です。まずは断面図が必要となる場面と内容、ほかの図との違いを解説します。
1.1 断面図はどの場面で使われる?
断面図は、建築や機械工学、地学などさまざまな分野で広く使用されます。
建築では、建物の内部構造や配管、配線などを示す際に断面図が活用されます。また機械設計では、機械の内部メカニズムや部品配置を明確にするために断面図が必要です。地学では地層の構造や地下資源の分布を示すのにも利用され、医学や生物学などの分野では身体の断面図が解剖学的な研究や理解を助けるのに役立ちます。
1.2 断面図に記載する内容
断面図には、対象物の内部構造や形状を明確に示す情報が含まれます。断面図には以下のようにいくつか種類がありますが、一般的に「断面図」というときは全面断面図を指します。
種類 | 説明 |
全面断面図 |
対象物を一平面の切断面で全体的に書く断面図
|
片面断面図 |
対称部分の対称となる中心から片側の断面を示す
|
部分断面図 |
特定の箇所を切断面として境界を破線で示して表現する断面図 (引用:島根大学 総合理工学部) |
回転図示断面図 |
回転する部品の形状を示す際に使用される断面図 (引用:島根大学 総合理工学部) |
中心線断面 |
曲がっているなど複雑な形状の部品で使用される、中心線に沿って書いた断面図 |
また作成する断面図は1種類とは限らず、対象物が複雑な形状の場合には必要に応じて複数の断面図を使用します。
断面図に記載される主な内容は以下のとおりです。
- 切断面の位置と方向
- 寸法と寸法線
- 材料と仕上げ
- 内部構造
- 断面記号
また、建築物の場合壁の厚さやドアや窓の位置、柱や梁の配置など、機械設計では、部品の配置や組み立て方、動作原理などが断面図に示されます。地学や地質学の分野では、地層の厚さや岩石の層構造などが記載されます。
視覚的に分かりやすい断面図は対象物の構造の理解を深めるために重要であり、設計者やエンジニアが対象物の構造や機能を理解し、製造や組み立ての指示を出すために重要なツールです。
1.3 断面図と立面図の違い
建築図面の場合、断面図に似たものに 立面図があります。立面図と断面図の違いは、立面図が建物の外観やデザインを示すために作成されるのに対し断面図は建物の内部構造や形状を表現するために作成されます。
(立面図の例:EdrawMaxで作成)
<立面図で示されるもの>
- 壁や窓、ドアの配置
- 屋根の形状や装飾
- 建物の高さや比率
(断面図の例:EdrawMaxで作成)
<断面図で示されるもの>
- 柱や梁のサイズや配置
- 収まりや階段の位置
- 屋根・天井の形状や高さ
2.断面図を書く時のポイント
断面図を書く際には、以下のポイントをおさえておきましょう。
項目 | 内容 |
切断面の選定 | 主な構造や内部の特徴を考慮して立体物を最も良く表す切断面を選定する 建築の場合には窓や出入り口、庇など建物の特徴や構成要素が分かる位置を選択する |
尺度の設定 | 対象物の規模や図面用紙のサイズに応じて適切な尺度を選択する 建築では一般的に1/100の縮尺を使用 |
主要部の強調 | 設計上主要な部分や構造を強調して描写する |
線の使い分け | 基準線や断面線、寸法線などを使い分け図面を分かりやすくする |
寸法の記載 | 機械なら部品の厚さや高さ、建物なら天井高や階高、部屋の寸法など、寸法やサイズの情報を正確に記載する |
分かりやすく、シンプルに | 情報をわかりやすく伝えるため、不要な詳細を省き必要な情報に焦点を絞った簡潔なものにする |
規範や標準の遵守 | 各分野の規範や標準に従い、正確な図面を作成する |
これらの項目を考慮して断面図を作成することで、正確で分かりやすい図面が完成します。
3.断面図の書き方
ここでは実際に、建築断面図の書き方についてドローイングソフト「EdrawMax」を使用して解説します。
①通り芯・補助線を書く
GL(地盤面)・1F床面・2F床面・軒高などの通り芯(壁の中心線)や補助線を引いていきます。
②寸法線を書く
次に、寸法線を書いていきます。EdrawMaxなら寸法線もコマンドなしに簡単にドラッグで配置・調節可能です。
③床・天井を書く
続いて、補助線に合わせて床や天井を書いていきましょう。
④梁・柱を書く
通り芯・補助線に合わせて柱や梁を書いていきます。
⑤壁を書く
柱や梁が書き終わったら壁を書きまましょう。窓の部分は一本線で表します。
⑥部屋名を書く
最後に部屋名を入れて完成です。
(※図面は大阪市「モデル住宅の立面図及び断面図」を参照)
4.断面図作成・管理ソフト-EdrawMax
断面図だけでなく、さまざまな業界での作図に役立つのがフローチャートやガントチャートから住宅図面・機械製図など、280種類以上の専門的な図面を簡単操作で描画できる「EdrawMax」です。
(EdrawMax:テンプレートと作図の一例)
4.1 EdrawMaxの特徴①:簡単な操作と作図に便利な機能
EdrawMaxは直感的に分かるマニュアル要らずの操作とドローイングソフトならではの作図をサポートするさまざまな機能で、効率的な作図が可能です。
(操作画面の一例)
通常の図形描画以外にもパスを使用した描画や図形編集も可能で、CADソフトやデザインソフトに近い作図を専門知識不要でおこなえます。
(パス編集画面の一例)
4.2 EdrawMaxの特徴②:豊富なテンプレートとライブラリ
EdrawMaxの作図をサポートする便利な機能のひとつが、豊富なテンプレートと素材です。
(「建築設計」テンプレートの一例)
テンプレートは公式のもののほかに、ユーザーが作成したファイルを公開しているギャラリーもあり、自分のイメージに近いテンプレートを使用してより効率的に作成することも可能です。
(テンプレートギャラリーの一例)
テンプレートだけでなくライブラリには豊富な素材があり、ドラッグ&ドロップするだけで簡単に作図できます。
(ライブラリの一例:間取り)
4.3 EdrawMaxの特徴③:テンプレート・素材のカスタマイズが可能
EdrawMaxでは既存のものだけでなく、作成したファイルや素材を登録して繰り返し使うことも可能です。
(ライブラリ登録の例)
(テンプレート登録の例)
似た図面を多く作成する際に使用したり、よく使う図面枠や幅の通り芯、補助線など書いた状態でテンプレートとして保存したりしておくとより効率的に作図できます。また、既存のライブラリを編集してオリジナルのパーツを作って保存する方法も便利です。
まとめ
断面図は立体物を平面上に投影した図であり、物体の内部構造や形状を分かりやすく示すための図面で建築や機械設計などの分野では欠かせません。
断面図をはじめとするさまざまな作図に幅広く使えるソフトウェアとしておすすめなのが、世界中で利用されているドローイングソフト「EdrawMax」です。豊富な素材と機能、直感的な操作性を備えており、効率的な作図をサポートします。ぜひ一度無料ダウンロードしてお試しください。