機械加工や板金加工の現場でよく使われる「ザグリ」があります。初心者にとっては理解しづらい専門用語の一つですが、正しく知っておくことで作業効率や製品の品質が向上します。
本記事では、ザグリの基本的な意味、図面の読み方や描き方を具体例を交えて初心者でも分かりやすく丁寧に解説していきます。ぜひ実務に役立ててください。
1.図面でザグリとは?
ザグリとは、図面上でねじやボルトの頭を収めるために、穴の入り口を円筒状に広げる加工を指します。
機械加工や板金加工において特に重要で、ねじ頭が部品表面から突出しないようにすることを目的としています。これにより製品の外観がフラットで整った仕上がりとなり、安全性や組み立て精度が向上します。
ザグリ加工は、特に板金図面では必要となり、板金加工は比較的薄い金属板を扱うため、ねじやボルトの頭が突き出ていると、製品同士の干渉や外観の劣化を引き起こします。そこでザグリ加工によって表面を平らに仕上げ、滑らかな接合面を実現します。
ザグリには主に「ザグリ」と「皿ザグリ」の2種類があります。一般的な「ザグリ」は、ねじ頭を円筒状に収める加工で、ねじ頭が平面に対して垂直に収まります。一方「皿ザグリ」は、穴の入り口を円錐状に広げ、皿ねじが表面と完全に一体化するように加工する方法です。皿ザグリはねじ頭が表面に一切突出しないため、特に表面の平滑さや美観が求められる場合に使用されます。
具体的な例としては、機械装置の保護カバーやパネルの固定部分があります。ねじ止めした際にねじ頭が出ていると操作時に引っかかりの原因となるため、製造現場に「⌀8ザグリ深さ3」といった指示をします。また、家具や家電製品のパネル取り付けには皿ザグリを使用し、美観や安全性を確保することも多いです。
2.ザグリ図面の読み方
ザグリ図面を正しく読むためには、寸法表記や記号、専門用語について理解する必要があります。ここでは初心者にも分かりやすく、具体例を交えて解説します。
まず、ザグリ図面で最も重要な寸法表記は「直径」と「深さ」です。一般的に図面上では「⌀(直径)」と深さがセットで記載されます。例えば「5キリザグリ⌀10深さ5」とあれば、⌀5mmの貫通穴に穴の直径が10mmで、ザグリ加工する深さが5mmであることを示します。これは、実際の作業者に対して明確な加工指示となります。
次に「皿ザグリ」の場合は、一般的に「5キリ皿ザグリ⌀10」と表記される場合、⌀5mmの貫通穴に穴の直径は⌀10mm皿状に削り込みであることを意味します。基本的に皿状の角度は90度ですが、皿ねじの種類によっては皿状部と一致させるため、角度を記載することもあります。
※実際の図面ではザグリ記号と深さ記号で描かれています。
また、図面に示される凡例や記号にも注目が必要です。ザグリの記号は穴の断面図で円筒状または円錐状の形状が記号で示されます。通常のザグリは矩形に近い円筒状で表現され、皿ザグリは円錐状に描かれます。これらの記号を正しく識別することが、加工ミスを防ぐためにも重要です。
専門用語として「有効ねじ深さ」という言葉も頻繁に使われます。有効ねじ深さとは実際にねじやボルトが機能的に収まる深さのことで、この場合、製造現場では実際のねじの加工深さに対してザグリの穴深さを決定する際に重要な情報となります。
以上の基本知識を押さえておけば、初心者でもザグリ図面を適切に読み取ることができるでしょう。
3.ザグリ図面の描き方
ザグリ図面を作成する際には、作図ソフトを活用することで効率的に正確な図面を描くことができます。ここではEdrawMaxを用いたザグリ図面作成の具体的な手順を初心者でも分かりやすく解説します。
①基準線の作成
ザグリ図面を描く際には、最初に基準となるX軸・Y軸を設定します。これらの基準線は作図の基礎となるため、正確に設定しましょう。EdrawMaxのガイド機能やグリッド線を利用すると、軸の位置決めや角度の調整が容易に行えます。特にザグリ穴の中心位置を正確に配置するために、基準線の交点を明確にしておくことが重要です。
②ザグリ形状の描画
基準線が完成したら、実際にザグリ穴の形状を描きます。通常のザグリ穴は円筒状、皿ザグリの場合は円錐状に描き分ける必要があります。EdrawMaxの図形ツールを使い、指定した直径や深さを正確に設定します。ザグリの深さは部品同士の干渉を避けるためにも正確に描く必要があります。
③寸法表記の追加
ザグリ図面では、寸法を明確に表記することが非常に重要です。EdrawMaxの「寸法ツール」を活用して、ザグリ穴の直径や深さを具体的に明記します。例えば「5キリ皿ザグリ⌀10」などと記載し、皿ザグリの場合にはさらに「90°」といった角度も併記することもあります。これにより作業現場での加工ミスを防ぐことができます。
④仕上げとエクスポート
最後に、作成した図面を見やすく整理します。不要な補助線を削除し、寸法や記号が見やすくなるよう調整しましょう。また、完成した図面をPDF形式やJPEG形式でエクスポートし、チーム内での共有や印刷用として利用します。
EdrawMaxを活用することで、初心者でも短時間でプロ品質のザグリ図面を作成することが可能になります。手順を守って丁寧に作図すれば、実務に役立つ図面作成が確実にできるでしょう。
4.よくある質問
4.1 ザグリとキリの違いは?
ザグリとキリはどちらも穴加工の一種ですが、役割が明確に異なります。
キリは単純に材料に貫通穴を開ける加工で、ねじやボルトが通る穴そのものを作ります。一方、ザグリはすでに開けられた穴の入り口部分を円筒状または円錐状に広げ、ねじ頭が収まる空間を作る加工です。
簡単に言うと、キリは穴を開ける作業で、ザグリはその穴の入り口部分を整える作業になります。
4.2 ザグリ図面を書く時の注意事項は?
ザグリ図面を描く際は、寸法の明確さと正確性が特に求められます。
直径、深さ、皿ザグリの場合は角度を記載しましょう。また、板金図面の場合は素材の厚みとの関係でザグリの深さを指定する必要があります。特に薄板では深すぎるザグリが強度不足を引き起こす恐れもあるため注意が必要です。
図面上で明確に指示を記載し、現場での加工トラブルを未然に防ぐようにしましょう。
まとめ
本記事では、ザグリの基本概念、図面の読み方、描き方について解説しました。ザグリは、ねじやボルトの頭を収めるための重要な加工であり、機械加工や板金加工の分野で広く用いられています。
ザグリ図面を正しく理解し、適切に描くことは、製品の品質向上や安全性の確保につながります。特に、寸法や角度の表記を明確にすることで、加工時のミスを防ぐことができます。
また、EdrawMaxのような作図ソフトを活用することで、初心者でも正確な図面を短時間で作成可能です。実務での効率化を図るために、ぜひ学んだ知識を活用してください。