電気配線の設計や施工に欠かせない「分電盤図」。分電盤図がなぜ重要なのか、そしてどのようにして読み解き、作成するのかを詳しく解説します。正確な電気容量の計算や安全な配線を行うために不可欠な分電盤図を理解することで、電気設備の設置や改修がより効率的かつ安全に行えます。電気工事に関わる方や、これから学ぼうとする方にとって必見の内容です。
1. 分電盤図とは
分電盤図は、電気配線の設計と施工のために重要な図面です。電気の容量計算やバランスを考慮し、過負荷や停電のリスクを防ぐために不可欠です。ここでは、分電盤図について解説します。
1.1 分電盤の役割
分電盤は、電力を各負荷に安全に供給するための中間装置です。高圧電線から配電盤、分電盤、制御盤を経て機器に電力が供給されます。
配電盤は、各階へ電気を配る盤で、変圧器や電圧計などが取り付けられています。分電盤は、配電盤から受けた電気を各負荷へ送る中間にある盤で、電灯分電盤と動力分電盤があります。
電灯分電盤は、単相100V・200Vの分電盤です。照明や小さな機器、コンセントに電力を供給します。動力分電盤は、三相200Vの分電盤です。機械を動かすため電気容量の大きい負荷(業務用エアコン、ポンプ、ファンなど)に電力を供給します。
1.2 分電盤図が使われる場面
分電盤結線図は電気設備の施工者だけでなく工事業者間の情報共有であったり、安全や品質の点検であったり、設計から完工・メンテナンスまでさまざまな場面で使用されます。分電盤の接続方法や配線に関する情報を平面図で記載したものです。
分電盤結線図には、受電点、電力計、漏電遮断器、主幹ブレーカー、各回路(ブレーカー)の配置が記載されます。また、各回路の配線経路や使用するケーブルの種類なども含まれます。接続状況や各機器をわかりやすく表現するために、記号や略語などを使って表示します。
1.3 電気施工図の一種
電気工事の施工図はさまざまな種類の図面が存在します。主に、以下の図面があります。
- 単線接続図
- 複線接続図
- 内部接続図
- 屋内配線図
- 展開接続図
名称は作成する会社によって多少の違いがあります。分電盤図は、この中で単線接続図の1つです。複数ある電気施工図は互いの内容がリンクしており、たとえば配線図で分電盤の位置や電力・電圧を確認し、分電盤図では分電盤の内部の詳細な配線を確認することが可能です。分電盤図は、各部屋やフロアへどの回路が使われているかを把握できます。
電気施工図は、建物の電気系統の全体の設計図であり、その中の1つの図面として分電盤図があります。
2. 分電盤図の読み方:符号、凡例と専門用語
分電盤図を正確に読み解くためには、図面に用いられる符号や記号、専門用語を理解しなくてはいけません。ここでは、分電盤図で頻繁に使用される記号と用語について解説します。
2.1 よく使われる記号
分電盤図では、IECの規格に準拠した日本産業規格JIS C0617に書かれた記号を用います。主に使われる記号は、以下のとおりです。
分電盤の製造メーカーにより、図面の書き方が異なる場合があります。しかし、使われる記号は共通しており、主に使われる記号を覚えておけば分電盤図を理解できます。
2.2 分電盤図で使われる用語
分電盤図で主に使われる用語を、以下に例示します。
- SB:サービスブレーカー
- EB、ELB:漏電ブレーカー
- B:安全ブレーカー
分電盤は電気を各所に分配する箱で、住宅や工場などで使用されます。分電盤には過電流を遮断するブレーカーや漏電遮断器が内蔵されていて、略称として上記の用語が使用されます。
2.3 分電盤の記号
配線図などで使用される分電盤を表す記号は、以下のとおりです。
似ている記号として、配電盤や制御盤があります。ビルや工場などでは、外部から高圧の電気を受ける必要があり、配電盤が設置されています。住宅では高圧が必要ないので、配電盤がないことが一般的です。制御盤は機械を制御する盤なので、ビルや工場で設置されます。
3. 分電盤結線図の書き方:記法
分電盤結線図を正確に描くためには、必要な情報を詳細に把握し、適切に反映させることが重要です。ここでは、正確な分電盤図を作成する流れを解説します。
3.1 設計書や仕様書を確認する
分電盤結線図を描く前に、設計書や仕様書を詳細に確認することが重要です。これには、電気回路の全体構造、必要な機器、電流容量などの情報が含まれます。正確な図面を作成するための基本的なデータを取得し、仕様に従って作業を進めます。
3.2 機器を配置する
設計書や仕様書に基づいて、分電盤内に設置する各機器の配置を決定します。
スペースの効率的な利用と、配線の容易さを考慮して行います。機器の適切な配置は、後の結線作業をスムーズに進めるための重要です。
3.3 機器を結線する
機器の配置が決まったら、それぞれの機器を正確に結線します。
結線図には、各機器間の配線経路と使用するケーブルの種類、電圧や電流の情報を明確に記載します。正確な結線は、電気設備の安全性と効率性を確保するために不可欠です。
最後に回路番号や機器名称、デバイス名など接続先や配線図とリンクする情報を記載します。
分電盤図は一般的なものを想定して、簡潔に作成しました。図面作成ソフトウェアによっては、分電盤図を作成しやすいものがあります。使い勝手を考慮して、好みのソフトウェアを探してみましょう。ここでは、無料で使えるEdrawMaxで作成したので、興味があればダウンロードしてみてください。
4. おススメの分電盤図作成ソフトEdrawMax(PC向け・スマホ向け)
EdrawMaxは、多機能で直感的な操作が可能で、多くのユーザーに支持されています。ここでは、EdrawMaxの主な特徴やおすすめする理由を解説します。
4.1 EdrawMaxの特徴
EdrawMaxは、分電盤図作成にも対応した多機能な図面作成ソフトウェアです。主な特徴は、以下のとおりです。
- 豊富なテンプレート
- 多様なプラットフォーム対応
- クラウドストレージ
直感的なインターフェースで、図面作成に慣れていない方でも簡単に操作できます。分電盤図を含む多数のテンプレートが用意されており、迅速に図面を作成可能です。
WindowsやMaxOSだけでなく、Google Chromeを使用したオンラインでも利用できるため、場所を選ばず作業が行えます。複数人での同時編集が可能で、チームでの作業が効率化されます。作成した図面をクラウドに保存し、いつでもアクセス可能です。
4.2 分電盤図作成のおすすめソフトである理由
EdrawMaxは、分電盤図作成において以下の点で優れています。
- カスタマイズ性
- 自動レイアウト機能
- データインポート/エクスポート
豊富なシンボルライブラリから必要なパーツを選び、自由にカスタマイズできるため、正確な分電盤図をすばやく描くことが可能です。複雑な配線や回路も自動で整列させる機能があり、作業効率を大幅に向上させます。他のCADソフトやExcelからデータをインポートし、完成した図面をさまざまな形式でエクスポートが可能です。
これらの特徴により、EdrawMaxは分電盤図作成において非常に有用なツールとなっています。
5. まとめ
分電盤図は、電気配線の設計と施工において不可欠な図面であり、安全で効率的な電力供給を実現します。使用される記号や用語を理解し、分電盤図を読み取るスキルが必要です。正確な分電盤結線図を作成するためには、設計書や仕様書の確認、機器の配置、そして結線の正確な描写が求められます。
分電盤図の作成には、EdrawMaxのような多機能で使いやすいソフトウェアが非常に有効です。豊富なテンプレートや自動レイアウト機能があり、効率的かつ正確に図面を作成できます。EdrawMaxを活用して、分電盤図の作成をより簡単に効率的に進めましょう。