ビジネスプロセスの検討、システム開発などフローチャート図を書く機会は数多くあります。フローチャート図は作業や処理の流れを理解するうえで重要な役割を果たす図のひとつです。しかし、いざパワポでフローチャート図を書こうとしても手間がかかり、大変な思いをした人も多いのではないでしょうか。
この記事ではパワポでおしゃれなフローチャート図を作成する方法やテンプレート、よくある質問をご紹介します。そして、豊富なフローチャートテンプレートを備えたツールで、PowerPoint形式での出力方法も併せてご紹介します。 ぜひ最後まで読んでいただければと思います。
方法1.「Smart Art」と「図形」を使ったフローチャートの作成法
パワーポイントでフローチャート図を作成する1つ目の方法は、パワーポイント付属の「SmartArt」と「図形」を使う方法です。
メリット:
- パワーポイント付属機能のため誰でもフローチャート図を作成できる
- パワーポイントと同じ操作のため使い慣れていれば扱いやすい
デメリット:
- 図形の配置、コネクタ線の操作が面倒
- プロセス数が多い、複雑な構造のフローチャート図作成が困難
操作方法:
Step 1. Smart Artグラフィックの選択
「挿入」タブの「Smart Art」をクリックして「手順」の中の「改行型蛇行ステップ」を選択します。
💡 「SmartArt」の「手順」にあるテンプレートはどれもフロー図の作成に役立ちますが、本記事ではパワポで標準的なフローチャートを作成する方法を紹介するため、「蛇行ステップ」を基に説明します。
Step 2. 記号の追加(必要な場合)
フローチャートで必要とされる記号が6つ以上ある場合、記号を追加します。(Smart Artはデフォルトで5つの記号しか作成されません)追加は左側の「<」をクリックしてアウトラインから追加すると簡単です。
Step 3. サイズの調節
図形を整列させてサイズを調節します。オブジェクトを右クリックして「図形の書式設定」を選択すると右側にメニューバーが表示されます。「サイズ」で高さと幅を調整しましょう。
Step 4. 分岐の追加
分岐先のステップはSmart Artで自動的に作成できないため、分岐記号(ひし形)を追加します。「図形」の中にある「フローチャート」から「分岐」を選択します。
Step 5. テキストの記入
分岐先の記号を配置してから、テキストを記入します。
Step 6. 記号を線で結ぶ
プロセス名を記入後、分岐先の処理記号と条件記号を線で結びます。線を引くときには、さきほどご紹介した「図形」の中にある「線」のコネクタ(カギ線矢印)を使用してください。
Step 7. 記号を変更する
フローチャートの記号を変えたい場合は、該当するプロセスを右クリックして「図形の変更」を選択すると切り替えられます。開始と終了は角丸の長方形、データの部分は平行四辺形、処理の部分は長方形、判断の部分は菱形を使用します。
Step 8. 関連線に文字を挿入する
記号の変更後、分岐に「Yes」「No」を記入します。文字を入力するときには、さきほどご紹介した「挿入」から「基本図形」にある「テキストボックス」を選択して入力します。
Smart Artを使用するとフローチャート図を簡単に作成できます。しかし、オブジェクトサイズが自動で切り替わり配置がずれてしまう、分岐を表現するには手作業で記号を挿入しなければならないなど意外と不便な点もあります。次は補足として、図形の位置や接続線の操作を考える必要のない別の方法をご紹介します。
方法2.Excelのテンプレートで作成してからパワポに貼り付け
二つ目の方法はExcelのテンプレートを使用してフローチャート図を作成する方法です。フローチャートの作成について、パワポよりエクセルのほうは書きやすいかもしれません。なぜなら、Excelではフローチャートのテンプレートが実装されていますから。
Excelのテンプレートを使用する場合、オブジェクトの作成や線の描写は自動で行われます。ただし、事前に各プロセスの内容や依存関係を理解しておかなければなりません。
メリット:
- 図形の配置、コネクタ線を引くための操作が不要
- 表形式でまとめられているため整理しやすい
- Office付属のテンプレートのため無料で使用できる
デメリット:
- フロー図を抽象化して理解する必要がある
- 微調整をしたい場合Visio(有料)が必要
- フローチャート図をエクスポートできない(画像ファイルのみ可能)
操作方法:
Step 1. テンプレートの選択
「ファイル」タブの「新規」から「フローチャート」を検索します。
Step 2. 作成するフローチャートの選択
Data Visualizerが起動します。「基本フローチャート」の「縦方向」を選択して「作成」をクリックします。
Step 3. プロセス情報の入力
縦方向のフローチャート図が表示されます。プロセスごとにIDを振り、処理内容や図の種類などを入力します。処理をプロセスごとに分解して、どの処理と依存関係にあるのか、前提処理と後続処理の依存関係など理解したうえで入力することがポイントです。入力後、「更新」をクリックします。
Step 4. フローチャート図のコピー
フローチャート図が作成されます。フローチャート図を「Ctrl + C」でコピーします。うまくいかないときは、「ホーム」の「コピー」アイコンをクリックしてコピーしてください。
Step 5. パワーポイントへの貼り付け
パワーポイントに貼り付けます。
エクセルのテンプレートを使用すると、きれいなフローチャート図を作成できます。ただし、各プロセスの依存関係を把握してから表を作成する必要があり、その場で視覚的に確認しながら修正できない点が不便です。さらにプロセスを追加する際には、プロセスIDのふり直しや後続プロセスの項目をすべて修正しなければなりません。
そもそも表を作成する前にプロセスを抽象化してイメージできるだけのスキルを求められます。さらに編集を行うためには有料版のVisioをサブスクリプションしなければなりません。このようにエクセルでフローチャート図を作成するのも案外手間がかかります。
方法3.フロー図作成ソフトEdrawMaxで作ってパワポとして出力
PPTだけで作業を済ませたい方も多いですが、それだと効率よくキレイな図を作れるチャンスを逃しちゃうかも…!
EdrawMaxなら、豊富なテンプレートやAI機能を使ってサクッと見やすいフローチャートが作成でき、すべてを編集可能なPPTファイルとして出力することも、一部だけ画像としてPPTに差し込むことも可能。最終納品がPPT形式でも安心です!
筆者は普段からフローチャートをよく作成していますが、素材の豊富さや編集のしやすさから、初心者にもプロにもEdrawMaxをおすすめしています。フローチャート作成のレベルが一段上がる、その差はこの1本で決まります!
特徴:
- 豊富なテンプレートを利用してきれいなフローチャート図を作成できる
- ドラッグアンドドロップするだけで簡単にフローチャート図を作成できる
- AIがフローチャート図を自動生成してくれる
- 手書き風やフローアニメーションなどの機能でかわいいフロー図を作成できる
ここからEdrawMaxでフローチャート図を作成する方法をご紹介しますので、ぜひダウンロードしてフローチャート図作成にチャレンジしてみてください。
操作方法:
Step 1. EdrawMaxの起動
EdrawMaxのホーム画面から「基本フローチャート」を選択します。
Step 2. 記号の配置
すでにベースとなるフローチャート図が用意されています。ここに各プロセスを追加します。もちろん一から作成することも可能です。
フローチャート図の記号は、左側のライブラリにあるオブジェクトをドラッグアンドドロップすることで配置できます。ドロップした記号は自動的に位置が調整され線も結ばれるため、わざわざ操作する必要がありません。
Step 3. テキストの入力
すべての記号を配置したのちに、各記号にテキストを入力します。
Step 4. 記号の整列
記号を整列します。整列させたい記号を全選択して「配置」にある「垂直方向等間隔に分布」をクリックすると縦方向に等間隔で整列できます。垂直方向のほかにも水平方向にも整列できるので、見栄えのよいフローチャート図を作成したいときには必要に応じて調整しましょう。
Step 5. 整列した記号を線で結ぶ
記入が終わったのちに、まだ線が引かれていない記号を結びます。線を結ぶときは、記号に表示される丸印をクリックすると線が引けます。
Step 6. デザインと書式設定
図形に色を塗ったり、関連線のスタイルを調整したりして、フローチャートを自分好みにデザインできます。視覚的にわかりやすく、伝わる資料に仕上げましょう。
または、手書き風のスタイルに設定することで、親しみやすく柔らかな印象のフローチャートに仕上げることもできます。
Step 7.フローチャート図をパワポとしてエクスポート
完成したフローチャート図をパワーポイントに出力します。もちろんPDF\PNGなどとしても出力可能です。ホーム画面にある「エクスポートと送信」を選択して、出力先のディレクトリやファイル名など設定してください。設定後、「エクスポート」ボタンをクリックします。
パワーポイントにエクスポートしたフローチャート図がこちらです。
このフローチャート図を作成するのにかかった時間はわずか6分程度でした。ドラッグアンドドロップでオブジェクトの配置と修正がすぐにできるのがEdrawMaxの強みで、パワポにはない大きな特徴です。
オフィスに付属されているSmart Artを使用すれば、エクセルやパワーポイントでフローチャート図を作成できます。しかし、制約事項が多く大変手間がかかり、修正やメンテナンスにも多くの時間と労力を要してしまうことは否めません。
あらゆる製図があっという間に完成してしまうEdrawMax、ぜひダウンロードしてビジネスや生活の中に取り入れてみてください!
4.分かりやすいフローチャートを作成するには?
前述では、フローチャート作成の基本的な操作手順をご紹介しましたが、ここではPPTなどのツールで、よりわかりやすいフローチャートを作成するための8つのコツをまとめました。
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プロセスリストの作成
複雑なフローは段階的に分割し、全体像を明確にしましょう。文章で補足することも効果的です。 -
情報の詰め込みすぎに注意
図には重要なステップのみを絞って表示し、情報過多を避けましょう。 -
標準記号の活用(例:BPMN)
国際的に共通する記号を使用することで、誰にとっても分かりやすく、専門性も高まります。 -
適切な配色
強調したいポイントを色で区別すると効果的ですが、色の種類は4色以内に抑えるのが理想です。多すぎると逆にわかりにくくなります。 -
接続線の交差を避ける
接続線が交差するとフローの順序が不明瞭になります。やむを得ない場合は「飛躍線」などで工夫をしてください。 -
記号配置の基本ルール
読みやすさの観点から、上から下、左から右の順に並べましょう。 -
スイムレーン(Swimlane)の使用
部署や担当ごとの業務分担がある場合は、スイムレーンを使うと責任範囲が明確になり、全体構造が見やすくなります。 -
アニメーションの活用
流れの変化や進行を視覚的に伝えるために、スライドアニメーションを適度に加えるのも有効です。