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Part 1: ワークフロー図とは
皆さん の業務がどのように機能しているのか理解する際、視覚化は欠かせません。ワークフロー図により皆さんの業務プロセスが明白になれば、ワークフローを簡単に理解し、分析することができます。この記事では、ワークフロー図を利用すると、どのように業務ワークフローが簡単かつ効果的にできるのか理解していきます。
では、ワークフロー図とはどのようなものでしょうか。ワークフローは、仕事を完了するまでの方法、プロセス、予定時間内に仕事を完了するために用いられる技法のことを指します。ワークフロー図は、以下のように定義できます。
「ワークフロー図は、上で説明したワークフローやキャンペーン全体における仕事のプロセスとアクティビティ(データの動きや移動、文書、タスク)を視覚的に表したもので、フローチャートを利用して図式化しています。」
1.1 ワークフロー図の評価
ワークフローという言葉は、1921年に鉄道エンジニアリングの雑誌で登場しましたが、昨今で使われている ワークフロー図 の起源は、1880年代にまで遡ります。フレデリック・ウィンスロー・テイラー氏とヘンリー・ガント氏が製造業の一連の組織の労働を研究したのが始まりです。
1.2 ワークフローが重要とされる理由
ワークフローは、繰り返される業務アクティビティを整理したり、オートメーション化(自動化)したりする際に役立ちます。プロセスの中でお発生するエラーを最小限にし、ビジネスモデル全体における効率を向上させます。また、以下のような利点が多数あります。
- うまく作成されたワークフローを利用すると、ビジネスプロセスの洞察を一層的確に行うことができる。
- ワークフローを使うと、さまざまな遅れや不必要なタスクを検知し、排除することが可能になるので、ビジネスの効率化につながる。
- うまく作成されたワークフローにより、従業員やスタッフが各自、何を行う必要があるのかを理解しやすくなり、退職の主な理由として挙げられることの多い「マイクロマネジメント」を減らしていくことができる。
- アクティビティと責任を視覚化することで、良いワークフローにすることができ、職場でのコミュニケーションの改善につながる。
- 最終的には、より良いワークフローを利用すれば、人的エラーを排除してより良い顧客サービスを提供できるようになるため、製品やサービス品質を大幅に向上させることができる。
Part 2: ワークフロー図の種類
1. ANSIフローチャート
ワークフロー初期の基本は、米国国家規格協会(American National Standards Institute)が起源で、ANSIフローチャートと呼ばれていました。この種のワークフローチャートは、関連するさまざまなアクティビティ(または手順の段階)を表す共通言語でした。
2. UMLアクティビティ
ワークフロー図の次の種類は、 統一モデル言語(UML)を用いたものです。この図は、全体のビジネスプロセスに関連するさまざまな手順の段階を図に表し、制御の流れを定義したものです。
3. BPMN
BPMNは、ビジネスプロセスモデルと表記法(Business Process Modeling Notation)の略で、UMLアクティビティのフローチャートに類似したフローチャートを利用していますが、 BPMNには技術要員とビジネス業務要員の両者が使う共通言語の役割があります。アウトプットに着目するというよりは、主に異なる内部プロセスと情報に着目します。
4. スイムレーン
このワークフローチャートでは組織内の各ユニットが独立していて、ユニット同士の相互関係に着目します。グループ内部や全体のプロセスにおける非効率と思われる部分をすべて視覚化します。
5.SIPOC
SIPOC (サイポック)は、Supplier(サプライヤ)-Input(インプット)-Process(プロセス)-Output(アウトプット)-Customer(顧客)の頭文字をとった名称です。誰がデータを作成し、誰がデータを受け取るのかを明白に記述し、極めて簡潔で正確な方法で全体のプロセスの概要を描きます。つまり、SIPOCは、関連する上位のプロセスのすべて効率的に大まかに表します。
Part 3: ワークフロー図の利点
ワークフロー図は、オペレーションを視覚的に表すために多くの業務で使われています。 また、プロセスを効果的に実行する目的で、ワークフロー図には以下のような多くの利点があります。
★ コミュニケーションを向上する
プロセスについてワークフロー図を完成して実施すれば、関係者に向け、適切なコミュニケーションチャンネルが用意されることになります。ワークフロー図により、いつ、何日、何時に何が実行されるべきかを知ることが可能になります。 このように、すべての関係者の生産性が向上し、コミュニケーションが良くなります。
★ 問題箇所を特定する
ワークフロー図は、プロセスの非効率な部分を排除します。 従業員はすべて、それぞれの日々のアクティビティやプロセスにおける責務について理解すれば、プロセスを正しく、タイミング良く実行することができます。従業員は、すぐに問題箇所や無駄を特定し、改善するべき部分に着目することができます。
★ オートメーション化する機会を特定する
ワークフロー図は、企業が手動で行っていたプロセスをオートメーション化に移行させる際に役立ちます。オートメーション化すれば、効率の向上、時間の節約、業務の縮小、従業員の有効性を増すことが見込めます。オートメーション化されたワークフローではエラーが起こりにくく、安定したアプトプットを生むので、結果、成功を収められます。
★ 利益が増加する
ワークフローのプロセスが標準化すれば、まず弱点が特定されて減少し、オペレーションが円滑に実施され、非効率性がほぼなくなります。このため、短い時間で生産性が上がり、コスト削減につながります。リソース(資源)は効率的に使われ、企業は少ないリソースで生産性を増すことができるので、その企業の利益が増加します。
★ 品質保証
現場にワークフロー図が用意されていれば、従業員は、正しい手順を正しいタイミングで実行し、一貫した品質を維持できると確認します。業務におけるプロセス向上にこのツールが用いられ、遅れている手順や不要な手順を特定することができます。これらの問題が削除されれば、プロセスの効率性が向上します。ワークフロー図により、組織はプロセスを整理し、成長し続ける市場における競争力を維持することができます
Part 4: ワークフロー図の必須コンポーネント
ワークフローでは、関連する各要素やコンポーネントで各ステップ間における業務の流れを図に示すことができます。よく設計されたワークフローは、3つの主なパラメータで構成されています。
- インプット:各ステージを完了するために必要なリソースや材料を指します。例には、労働、資本、機器・装置、必須情報などがあります。
- 変換:変換は、もたらされた変更をアウトプット獲得のためのインプットに導く特定のルールのまとまりに関係します。これらの変更は、場所や物理的な性質、さらに所有権に及ぶ変更に関わります。
- アウトプット:提供されたインプットの変換の結果です。ほとんどの場合、最終手順以外において、生産が次の手順のためのインプットでです。
これらのパラメータは、以下の4つの主なワークフローの主なコンポーネントを誘導します。
- アクタ:手順を完了するために必要な人と機械です。
- アクティビティ:全体のプロセスが結果となるように、アクタによって行われるタスクです。アクタはアクティビティに関連付けられているので、タスクになります。
- 結果(リザルト):各手順で求められた結果です。このように、アウトプットは結果によって異なります。
- 状況(ステート):ワークフローにより方向づけられた2つのプロセス間にあるプロジェクトの状況です
Part 5: ワークフロー図のユースケースと例
例 1:コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングは時に煩わしくもありますが、詳しく作成されたワークフローチャートがあれば手間がかかりません。
- ライターが予定したコンテンツの下書きを作成し、エディター(編集者)に送る。
- エディターは、送られてきた内容を承認してデザイナーへ渡すか、ライターに差し戻してコンテンツの修正点を直すように指示する。
- また、エディターがライターの指示のとおり、正しい視覚的リソースを作成し、マーケターに送る。
- そして、マーケターは選択したCMS上(例:WordPress)に最終原稿をアップロードし、検索エンジン用に最適化し、インフルエンサーの間で共有するなどして全体のプロセスを完了する。
例 2: ITセキュリティの脅威
ワークフロー図は、サイバー攻撃を回避する目的で利用することができます。サイバー攻撃が発生する前にも有効です。
- サイバーセキュリティチームあるいは従業員から個別インシデント(事象)が報告される。
- 次に危険性が評価され、誤報であればワークフローは終了となります。しかし、現実的な問題であれば、サイバーセキュリティの責任者に緊急メールがが送信される。
- 緊急対応ミーティングが予定され、関連職員が集まる。
- 提案された解決策を状況に敵意用する。
- 解決策が作用すれば、攻撃に対する処理が完了し、ワークフローは終了となる。 解決しない場合、ワークフローは新しい解決策の評価を必要とし、緊急対応会議に戻る。
例 3: アプリ開発者
この例では、経由のログイン、電子メール経由のログインにするかを選択できるログインオプション、新規ユーザーの登録オプションが可能な「Welcome」(ウェルカム)ページで始まります。 正常にログインできたら、検索、フィルタ、ブックマークタブが利用できるメインページに進みます。 メインページでは、写真、説明、所在地、連絡先番号、その他の情報を追加することができます。
例 4: Eコマース
この例は、顧客とアプリケーションを実行している総務との相互関係を表しています。注文時、顧客は注文を確定し、クレジットカード情報をアプリケーションに入力します。顧客が入力したクレジットカード情報が正しければ、システムで顧客の住所を追跡します。カードが承認されなかった場合は、顧客に再度連絡します。請求書とラベルが印刷され、注文品の準備ができたら、注文品にタイトルを添付して梱包します。
例 5: 教育
この図の例では、仮想学級を構成する方法を表しています。総務、SISシステム、講師、 生徒がプロセスに関わっています。ユーザーが正常にシステムにログインすると、仮想学級のインターフェイスが画面に表示されます。SISシステムと総務が生徒を出席させ、学級のその日の授業に関するコンテンツがアップロードされます。講師はコースのスケジューリングを任されており、生徒の出席を記録したり、重要なお知らせを告知したりします。一方、生徒は授業への出席、教材学習を進めたり、重要なお知らせを見て確認しておくことが求められています。
例 6: 医療
このワークフロー図は、医療サービスのワークフローを理解できる理想的な例です。ここでは、プロセスに医師、患者、受付、看護師の4者が関わっています。患者が到着した際、まず看護師が患者に付き添って患者の健康状態を確認します。その後、受付で病院のシステムに患者情報を入力します。医師の対応が必要とされる状態であれば、患者は医師の元に通されます。医師は、患者に投薬処方し、再来院が必要な場合は、予約が手配されます。
例 7: 財務
プロセスは文書作成から始まり、コピーが部長に転送されます。提案が承認されると更新のための電子メールが送られます。提案が却下されると、チームが提案を再度検討し、必要な変更を加えます。HODで提案が採用されると、最終承認のため財務部に転送されます。 提案が却下されると、同じ手順が繰り返されます。承認された場合は、確認のためのメールが送られます。
例 8: 新入社員の手続き
この例では、従業員、マネージャ、人事(HR)が同じ期日のプロセスで業務を実施しています。新入社員が書類に記入し、評価、確認に進みます。書類は承認されると、承認のため管理課に送られます。書類に不備があれば、新入社員に修正を依頼します。管理課で書類の承認が済んだら、人事部は、新入社員が働く部署の準備を行います。新入社員が部署に配属されれば、入社手続きのプロセスは終了です。
Part 6: ワークフロー図を作成する方法
6.1 基本的なワークフロー図の記号
ワークフロー図では、基本の5つの形と記号を使って、さまざまな手順やプロセスを図に表して説明します。これらの記号には、決まった適用方法があります。
名称 | 図形 | 定義 |
---|---|---|
開始/終了 | プロセスの開始点と終了点を表します | |
処理 | 長方形の符号は管理者によって実行された指示とアクションを示します | |
判断 | 決定が行われる命令を示します。またワークフローはそれぞれ異なる結論を導くために2つのパスで進行します | |
スタート | 2つのセクション間のコネクタとして機能し、ある部分から別の部分への飛躍中に使用されます | |
コネクタ | 各ステップを次のステップに接続するために使用されます |
6.2 ワークフロー図を作成する手順
ここまで、ワークフロー図の使用例とさまざまな業種でそれぞれのプロセスの整理の方法を確認してきました。ここからは、ワークフロー図の作成方法について学習します。
①テンプレートを選ぶ
最初に、どのプロセスを文書化するのか確認し、手順の特性と種類を特定しておくと、図の選択に役立ちます。
②起点と終点を特定する
プロセスは外部エンティティのインプットから始まり、別のエンティティやデータベースへのデータアプトプットで終わります。システムのインプットとアウトプットを特定することでプロセスの全体的な概要を得ることができます。
③情報を収集する
効果的なワークフロー図を作成するには、ブレインストーミングしたり、さまざまな関係者やチームメンバーに話しかけたりするのに必要なデータをすべて集める必要があります。プロセスに関連しているアクティビティと、どの部署と個人に責任があるのかを大まかに特定します。
プロセスのタイムライン、バリエーション、考えられる滞り、潜在的な変更を記録するのに役立ちます。
④非効率を失くす
ここでは、タスクに最も重要から最も重要でないものへと優先順位を付けます。皆さんのプロセスをすっきりと整理して仕事を割り当てられるようになります。これを行う際は、プロセスの目標を常に念頭に置けば、非効率、重複するタスク、遅延を減少させることができます。
⑤ワークフローを構築する
情報、データ、作業の必要性の有無を集めたら、視覚的に表します。作図ツールを使って見栄えのいい理想の図を作成しましょう。
⑥図を改善する
図でテストを数回行い、エラーがどこで発生するか確認しましょう。これは、チームメンバーと一緒に行い、非効率な部分とそれに対処するために必要な手順を特定します。
6.3 良いワークフロー図を作成するためのヒント
- 標準的なデザイン要素(形、記号)を使うようにしましょう。見慣れない要素は、それが必要されるときのみ使用しましょう。
- すべての項目を1ページに収めるようにして、解釈する際に混乱を招かないようにしましょう。
- データフローは、通常通り、常に左から右へ流れるようにしましょう。
- 図の中で意思決定の分岐を表すときは、場所を示す記号を使いましょう。従来のルールでは、この場合、菱(ダイヤモンド)型を使います。この記号の意味を知っている人は多くありません。
- 該当する場合は常に、戻ってくる線を置くことを忘れないようにしましょう。
Part 7: ワークフロー図作成ツール
ワークフロー図により、従業員はプロセスにおける手順を辿ることができます。何を、いつ、誰が完了しなければならないか、従業員に周知することができる視覚的な図を利用することで、累積する遅延が発生しにくくなります。
EdrawMaxは、皆さんのワークフロー図の作成を開始する際に使える優れたツールです。シンプルなwebツールでさまざまなプラットフォームで使用して、プロセスの便利なDFDを作成することができます。皆さんの組織の日常業務を上から下まで確認するのに便利です。潜在的な滞り、非効率、改善が可能な部分を特定することができます。
EdrawMaxを利用すれば、あらかじめ用意されている数千のテンプレートから280種を超える図を構築してプロセスの文書化に採用することができます。EdrawMaxは各種ブラウザで使うことができる無料のクロスプラットフォームツールです。ワクワクするような機能が備わっています。あらかじめ知識がない方でもワークフロー図を簡単に編集することができ、作ったチャートは専門家が作ったような見栄えになります。