「系統図法」は品質管理や問題解決のための7つの技法をまとめた「新QC七つ道具」の一つです。
本記事では複雑な問題を体系的に整理し目的達成に役立つ系統図法について、概要と活用のメリット、具体的な作成手順について紹介します。
1.系統図法とは?
系統図法は、新QC七つ道具の一つです。新QC七つ道具とは、1980年代に提唱された品質管理や問題解決のための7つの手法で、主に言語データを扱い複雑な問題の構造化や創造的思考の支援に用いられます。
系統図法は、目的達成のための手段を体系的に図示し、最適な方策を探索するための手法です。
系統図法では、大きな構成要素から小さな要素へと段階的に枝分かれさせて展開し、目的と手段の関係を視覚的に整理します。系統図には主に二種類あり、課題解決に特化した「方策展開型」と、改善に特化した「構成要素展開型」があります。本記事では「方策展開型」を中心に解説します。
系統図の長所と短所は以下のとおりです。
系統図の長所と短所 | 内容 |
---|---|
長所 |
①目的と手段を階層的に図示するため、複雑な問題でも目的と手段の関連性を一目で把握できる。 ②階層的に表現することで論理的な思考が促進され、効果的な対策案・解決策が立案できる。 ③系統的に要素が展開するためさまざまな角度から分析でき、重要な要素の抜け漏れを防げる。 ④系統図を用いることで、議論すべきポイントが明確になり、効率的な話し合いが可能になる。 |
短所 |
①詳細な分析と整理を必要とするため、作成に時間がかかりやすい。 ②階層で示すため、構成要素が多い複雑な問題では図が大きくなりすぎる。 ③要素が作成者の知識や経験、視点に依存しやすい。 |
2.系統図法が使われる目的
系統図法は主に以下の3つの目的で使用されます。
- 方策の追求:一次手段、二次手段と階層構造で掘り進めることで、問題の具体的な対応策を導き出す
- 方策の分類・整理:階層に分けて網羅的に整理することで、新たな解決手段を発見する
- 情報の共有:図式化して情報資産として残すことで、第三者との情報共有に活用する
3.系統図法を活用する事例
系統図法は以下のような分野で活用されています。
- 製造業:生産性向上や品質改善の方策の検討
- ビジネス:経営戦略や組織改革の計画の立案
- 教育:カリキュラム設計や学習計画の立案
- プロジェクト管理:プロジェクトの目標達成のための具体的な手段の整理
系統図法を活用することで、複雑な問題を体系的に整理し、効果的な解決策を見出せます。さまざまな分野で応用可能なこの手法を問題解決や改善活動に積極的に取り入れることで、より効率的な目標達成が可能です。
4.系統図を書く手順
系統図法の概要と特徴を理解したところで、実際に系統図を作成する手順に移りましょう。適切なツールを使用すると系統図を効率的に作成できます。ここでは、チーム作業にも適したドローイングソフト「EdrawMax」を使用して系統図を作成する方法を説明します。
EdrawMaxはインターフェースと豊富なテンプレートを備えており、系統図のような複雑な図表も効率的に作成できます。
4.1 作図画面の表示
「ホーム」画面の「マインドマップ」カテゴリから「空白の画面」を選択し、作図画面を表示します。
4.2.メインテーマ(目的)の設定
あらかじめ基本のテンプレートが表示されるので、中央の四角形(メイントピック)をダブルクリックし、分析したいメインテーマを入力します。
4.3.一次階層(手段)の追加
図形をクリックすると表示される「フローティングツールバー」の「サブトピック」ボタンをクリックし、下位項目を追加します。EdrawMaxでは、入力したテキストの長さに合わせて自動で図形サイズが調整されるので便利です。
また同じ階層のトピックは、図形をクリックしEnterキーを押すだけでも下に簡単に追加できます。
4.4.二次階層(手段)以降の追加
各一次手段に対して「サブトピック」を追加し、二次手段を作成します。必要に応じて三次、四次と手段を追加していきましょう。EdrawMaxでは、子トピックは図形横をポイントすると現れる+マークからも簡単に追加可能です。
4.5.図の形状・スタイルの調整
各階層の要素が全て追加できたら、全体のデザインを必要に応じて変更しましょう。
EdrawMaxでは背景の色や画像だけでなく個別の図形の色やフォント、線を細かくカスタマイズできます。そのため、「思考の整理手段として手軽に作りたい」「会社資料として高いクオリティで作りたい」どちらのニーズにも最適です。
4.6. 完成した系統図の保存
系統図が完成したら、ファイルを保存しましょう。EdrawMaxの標準ファイル形式である.eddx形式での保存以外にも、Officeソフト形式やPDF、各種画像ファイルへのエクスポートも簡単なため、さまざまな用途に応じて活用できます。
5.系統図を作成するツールEdrawMax
世界中で利用されている「EdrawMax」は、系統図作成を含む品質管理(QC)手法の実践にも役立つ最適なツールです。
前述した系統図の短所とされる以下の3点も、EdrawMaxの機能によって効果的にカバーできます。
5.1.作成を効率化する直感的なインターフェースと充実した作図支援機能
EdrawMaxは、系統図作成の効率を大幅に向上させる直感的なインターフェースと充実した作図支援機能を提供します。ベースとなるテンプレートを活用することで、系統図の基本構造を素早く構築でき、ワンクリックで要素を追加可能です。
これらの機能により、要素が多い複雑な系統図でも作成に要する時間を大幅に削減し、より多くの時間を問題分析や解決策の検討に充てられます。
5.2.スマートレイアウト機能による容易で柔軟な編集
複雑な系統図の図が大きくなりすぎる問題も、EdrawMaxのデジタル環境ならば簡単に解決できます。要素の配置や整列が自動的に最適化される「スマートレイアウト機能」により、追加した要素はサイズや位置が自動的に調整され、移動も簡単です。
また、ズームイン・アウトやトピック折りたたみ機能により、全体像と詳細の両方を効率的に把握できます。
5.3.共有機能によるチーム運用支援
系統図が主観的になりがちという課題に対しては、EdrawMaxのクラウド同期機能が強力なソリューションとなります。EdrawMaxには共有機能があり、同時編集やコメントの追加、関連ファイルの添付が可能なため多様な視点を取り入れた客観的な系統図を作成できます。
5.4.系統図以外のQC手法図にも対応
さらに、EdrawMaxは系統図以外のQC手法にも対応しています。パレート図、特性要因図、ヒストグラムなど、他のQC七つ道具もEdrawMaxひとつで作成可能です。
これにより品質管理プロセス全体を一元化し、効率的に管理できます。
まとめ
系統図法は、目的達成のための手段を体系的に図示し最適な方策を探索する効果的な手法であり、問題解決や品質管理において重要な役割を果たします。系統図作成にともなう課題を解決するEdrawMaxのダウンロードで、系統図の効果を最大限に引き出し品質管理全体のワークフローの最適化につなげましょう。