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クリティカルパス (CPM)とは?求め方を分かりやすく説明

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編集者: Edraw

プロジェクト管理において、工程の見える化は何より重要です。その中でも「クリティカルパス」は進捗管理において納期遅れを防ぐために特に欠かせない重要な概念です。

本記事では、クリティカルパスの求め方から書き方、おすすめツール、メリットまでを詳しく解説します。記事を読んで、クリティカルパスの導き方やガントチャートなどほかの手法との違いを理解しましょう。

1.クリティカル パスとは

クリティカル パスとは

クリティカルパスとは、プロジェクト全体の所要時間を決定する「最長の経路」を指します。言い換えると、この経路上の作業の遅れはプロジェクト完了の遅れに直結する重要な作業の流れです。クリティカルパス法はCPM(critical path method)とも呼ばれます。

クリティカルパスは1950年代後半に、米国の海軍ならびにデュポン社でプロジェクト管理の新しい手法として開発された手法です。現在ではソフトウェア開発や研究プロジェクトなどの分野にも広く活用されるようになりました。

クリティカルパス分析に適したプロジェクトの特徴は以下の3つです。

  • 終了時にプロジェクトの完了を示す、明確に定義された一連の作業(活動)から構成されている
  • 仕事は特定の順序内でそれぞれの作業が独立している(自動的に一連の作業がおこなわれる活動ではない)
  • 各作業は一定の順序で実施しなければならない関係にある(例:家の壁は基礎の後でないと構築できない)

このような明確な作業工程の集合体であり、各作業が独立しつつ一定の順序関係にあるプロジェクトにクリティカルパス分析は適しています。

2.クリティカルパスの求め方

次に、実際のクリティカルパスの求め方について、料理を例に解説します。

クリティカル パスの求め方

(アローダイアグラムの例:EdrawMax「プロジェクト期間の推定PERT図」テンプレートを利用)

カツカレー作りを例に挙げて解説すると、左端の①が調理スタート、右端の⑨が完成です。矢印が作業の進行方向になります。アローダイアグラムでは矢印の上部に作業内容、下部に所要時間(日数)を記入します。

この場合、カツを揚げるのは肉の用意3分+衣つけ5分+揚げ10分で所要時間の合計は18分ですが、カツカレーはカレーが用意できないと完成しません。カレールーが完成するのは中央の直線ラインの所要時間の合計になるので43分、ご飯が炊けるまでの所要時間は33分です。

カレーをよそうためにはカツ・カレールー・ご飯のすべてがそろう必要があるため、カレールーの完成に一番時間がかかることがわかります。つまりカレールー作りの工程のいずれかが遅れるとその分カレーの完成は遅れます。このように完成までの所要時間(日数)に影響を与える工程をつないだものが「クリティカルパス」(赤矢印)になります。

クリティカルパスの求め方

もう一つ知っておくべき点が「ダミー作業」です。ダミー作業はアローダイアグラム内では点線で示されます。

実際の作業同士に直接の関連性はなくても、作業の開始が別の作業に依存している状態を表したものがダミー作業です。例えば具材を煮終わってからでないとカツが揚げられないと仮定しましょう。その場合、図でいうと⑤は⑦の後にしか作業できないことになります。⑦→⑧は5分ですが、⑤を経由する場合⑦→⑧にかかる所要時間は10分です。

カレーの完成はカツの完成を待つ必要があるためクリティカルパスは変わり、所要時間は48分になります。

クリティカルパスの求め方

またクリティカルパス以外の工程には余裕があるものの、遅れの程度によっては工程に影響を与える可能性があります。作業に遅れを出さないために知っておく必要がある「最早開始時間」と「最遅開始時間」についても簡単に解説します。

上の図の例でいうと、ご飯を炊くのは最短で調理開始から3分で開始可能(最早開始時間)です。逆に完成を遅らせないためには、クリティカルパスの所要時間48分から皿によそう3分を引いた、45分後までには炊けている必要があります。ご飯を炊くのには30分かかるので、開始から15分後までには炊き始めないと完成が遅れてしまいます(最遅開始時間)。

3.クリティカルパスの作成におすすめのツール

プロジェクト管理に欠かせないクリティカルパス分析の作成ツールとして最適なのがEdrawMaxです。

EdrawMaxは、世界中で利用されている作図に特化したドローイングソフトで、ネットワーク図や作業工程図の作成にも優れています。豊富なテンプレートのなかにはアローダイアグラム(PERT図)の無料テンプレートも用意されており、一から作成する必要がありません。

PERT図の無料テンプレート

(EdrawMaxテンプレートの一例:PERT図)

EdrawMaxは操作性に優れており、初心者でも直感的にクリティカルパスを特定するためのアローダイアグラムが描けます。ドラッグ&ドロップでノード(=結合点のこと。図でいうと〇の部分)やアローを簡単に配置でき、さまざまな編集機能を活用可能です。

さらに、EdrawMaxは同じく工程管理に欠かせないガントチャート機能も用意されています。

EdrawMax   ガントチャート機能  簡単に設定

ガントチャートビューから開始日・終了日・作業日を設定すると、ガントチャートに自動で反映されます。さらにEdrawMaxのドローイングソフトならではの機能が、逆にチャート図形を直接操作して期間や進捗率を変更できる点です。

作成したガントチャートはcsvファイルやExcelファイルにもエクスポート

作成したガントチャートはcsvファイルやExcelファイルにもエクスポート可能なため、作業記録の作成などにも便利です。

4.クリティカル パスのメリット

クリティカルパス分析により、以下のようなメリットが得られます。

  • プロジェクト全体の所要時間を正確に算出できる:クリティカルパス上の作業時間の合計=プロジェクト完了に必要な所要時間となり、全体の所要時間を把握できる
  • 重要な作業工程が明確になる:クリティカルパスがわかればプロジェクト全体に影響を与える最重要工程が一目でわかる
  • 工程の余裕度が可視化される:クリティカルパス以外の作業の余裕が把握でき、適切なリソース配分ができる
  • 遅延時の影響を把握できる:ある作業が遅延した場合、クリティカルパスの分析結果からプロジェクト全体に与える影響を予測し対策が立てられる
  • 工程のリスク管理が可能になる:重要工程であるクリティカルパスに注力し優先的にリソースを配分することで、プロジェクト遅延のリスクを最小限に抑えられる

このようにクリティカルパス分析は、プロジェクト全体を俯瞰し適切な進捗管理やリスク管理をおこなう上で非常に有効なツールです。

5.クリティカル パスV.S.PERT図V.S.ガントチャート

工程管理で使用するクリティカルパスと似た言葉に「PERT図」や「ガントチャート」があります。これらの違いについて見てみましょう。

5.1 クリティカルパス

クリティカルパスは手法そのものの名称ではありません。作業と作業の前後関係を矢印(アロー)や結合点(ノード)で表す「アローダイアグラム」と呼ばれる図を用いて可視化されるプロジェクト全体の所要時間を決定する「最長の経路」を指します。

5.2  PERT図

PERT図

(EdrawMaxテンプレートの一例: プロジェクト期間の推定PERT図)

PERT図はProgram Evaluation and Review Techniqueの略称で、アローダイアグラムと同じものです。各作業に最短時間・最長時間や予想される所要時間を割り当てられ、プロジェクトの所要時間の見積りが可能です。

5.3 ガントチャート

ガントチャート

横軸を時間軸、縦軸に作業項目を並べた棒線図で、各作業の期間を棒線の長さで視覚的に表現します。

ガントチャートではクリティカルパス自体は表現されないため作業間の前後関係はわかりづらいものの、全体のスケジュールを把握しやすい点がメリットです。

このように、クリティカルパスやPERT図は作業の前後関係を重視し、ガントチャートは期間を重視する点で特徴が異なります。

プロジェクト管理では、これらのツールを使い分けたり、組み合わせて活用したりすることでより効果的な進捗管理が可能になります。プロジェクトの性質に合わせて最適な手法を選ぶようにしましょう。

まとめ:プロジェクト管理ツールにはEdrawMaxがおすすめ

クリティカルパスはノードとアローで表されるアローダイアグラム(PERT図)から導き出される、プロジェクト遂行上の最重要経路です。

最早結合点と最遅結合点の数字が等しくなる、作業工程に余裕がない日程をつないだものがクリティカルパスであり、その所要時間の合計がプロジェクト全体の期間となります。

クリティカルパスの分析は進捗管理やリスク管理に役立ちます。クリティカルパスの分析におすすめのツールが、豊富なテンプレートからさまざまな工程管理図を簡単に生成できるEdrawMaxです。ぜひEdrawMaxを無料ダウンロードし、作業管理の効率化を体験してください。

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