BCGマトリックスとは、ボストン・コンサルティング・グループの頭文字をとったもので、マーケティング担当者が利益を最大化するために、どこにお金をかけるべきかを判断するためのツールです。すべてのビジネスにはマーケティングプランが必要です。マーケティングをきちんと計画しているビジネスは、その計画が高い確率で成功しますが、もし、計画がなければ、お金を浪費し、機会を逃し、どうでもいいようなことで人々を混乱させることに繋がってしまいます。計画を立てる中で、市場にどれだけの競合が存在し、参入価格がどの程度かを理解する必要がありますが、BCGマトリックスは、自社の競争優位性、自社が他の誰よりもユニークで優れている点、そして、その目標を達成するためにどれだけの資金を費やせるかを判断するのに役立ちます。今回は、Pepsi社のBCGマトリックスについてご説明します。
Pepsi社の背景
Pepsi-Colaは1876年にCaleb D. Bradhamによって設立されました。Coca-Cola社の成功に追随しようと、Bradhamはコーラ風味の炭酸清涼飲料水をPepsi-Colaと名付けました。この飲料が人気を博し、1902年にBradhamはPepsi-Cola Companyを設立しました。1920年代には、何度も組織変更と再法人化を繰り返しました。
PepsiCo社の目標は、安価な炭酸飲料を作ることでした。消費者は自分が好きなブランドが出す製品は全て気に入ると思っていたため、成功するためには自分たちのブランドが唯一無二でなければならないと考えていました。しかし、消費者調査を行うと、多くの消費者が自分の好みとは関係なく、アスリートに関連する商品を好んで選んでいたことが分かったのです。
PepsiのBCGマトリックス
もしあなたがこれまでにPepsi製品を販売しているお店を訪れたことがあるなら、見慣れたロゴがいくつもあることに気づいたのではないでしょうか。最もよく知られているのは、Lay'sポテトチップス、ドリトス、チートス、ゲータレード、ペプシコーラ、マウンテンデュー、クエーカーオーツなどでしょう。これらの親しまれているブランドは、何百万人もの人々を幸せにしてきただけでなく、さまざまな食品や飲料を販売・流通する数十億ドル規模の企業であるPepsiCo社の売上を押し上げることにも貢献してきました。同社の主な収益源は、主に様々な食品、飲料、スナック、ヘルスケア製品の製造と販売です。
市場成長率
PepsiCo社の2022年第2四半期の市場成長率は5.25%でした。2020年、同社は約193億米ドルの投資を計画していました。年間ベースでは、約6.7%投資を増やすと予想されます。
相対的な市場シェア
PepsiCo社が発表した2022年第2四半期の純利益は56億ドルで、事前予想の58億ドルを下回りました。減益の主な原因は、売上高が3.7%減の156億ドルとなったことです。PepsiCo社は、収益の低迷について、第2四半期の飲料の需要が予想を下回り、同社にとって厳しい市場環境となったためとしています。株当り利益では、前年同期の1.65ドルに対し、当四半期は1.61ドルとなりました。いくつかの一時的な要因が収益にマイナスの影響を与えたようです。
米国の炭酸飲料におけるPepsiCo社の市場シェアは、2022年には25.9%でした。
PepsiCo社のBCGマトリックスは4つの要素で構成されています。
- キャッシュ・カウ(金のなる木)
- クエスチョンマーク(問題児)
- ドッグ(負け犬)
- スター(花形)
キャッシュ・カウ(金のなる木)
同社にとって、フリトレーがキャッシュカウであることは間違いありません。これに次ぐのがケロッグで7%のシェアを持ち、モンデリーズが5.6%のシェアを持っています。チップス分野ではフリトレーが72.4%と圧倒的なシェアを誇っていますが、主な競合はドリトス7%、トスティートス8.7%になります。新製品を出しても売上が大きく変動しないため、シェアを維持するための投資が少なくてすむ製品でもあるのです。
クエスチョンマーク(問題児)
「ダイエットソーダ」という言葉からPepsiCo社を連想する人はあまりいません。同社は、Coca-Cola社に奪われた市場シェアを取り戻すため、また、消費者の注目を集めるためにDiet Pepsiを発売しました。発売当初は、Diet Pepsiは何とか5%のシェアを獲得しましたが、ほどなくしてCoca-Cola社のダイエットバージョンのコーラにシェアを奪われました。
7-UP Nimboozも大きな成功を収めたとは言えませんでした。7-UP Nimboozは2009年にインド市場で発売されたが、Sprite、Thums Up、Kool-Aidなどとの厳しい競争により、大きな市場シェアを獲得することはできませんでした。
ドッグ(負け犬)
これは、低成長あるいは低シェアの製品を指します。そのため、投資家はこのような企業に投資するかどうか、慎重に判断しなければなりません。
これらのビジネスに投資するには、その戦略と見通しを十分に理解する必要がありますが、おそらく、投資額に対して大きなリターンは得られません。
世の中のトレンドとして、低カロリーでヘルシーな飲料やスナックへの需要が高まっていることから、ペプシコーラのセグメントシェアは10.3%から8.4%に低下しています。このような現在と将来のトレンドから、ペプシコーラはスター(花形)からドッグ(負け犬)の象限に移行することが予想されます。
スター(花形)
組織におけるスターとは、高成長産業で高い市場シェアを持つ製品またはビジネスユニットのことを指します。とすると、今やペプシコーラはBCGマトリックスのドッグ象限に該当すると言えるでしょう。コカコーラの年間広告予算は、ペプシコーラのほぼ2倍です。ペプシコーラは何とか市場シェアを維持したいので、マーケティングと広告に何百万ドルも費やしています。ですが、人々は砂糖入り飲料やカロリーたっぷりの飲料からますます遠ざかる一方です。厳しい競争と消費者の嗜好の変化に対応するため、コカコーラもスター象限からドッグ象限へのシフトを考えています。Aquafinaもスター象限に位置づけられるブランドです。Aquafinaはボトルウォーター市場の15%のシェアを持ち、36%のシェアを持つBisleriに次ぐ存在です。消費者が砂糖たっぷりの炭酸飲料から離れるにつれ、炭酸飲料のトレンドは大きく減少しています。スポーツドリンク分野では、ゲータレードが1年前の63%から77%のシェアを獲得し、市場をリードしています。パワーエイドも20%のシェアを占めています。健康志向の高まりと新興国市場を背景に、より健康的な食品や飲料に巨額の資金を投入し、清涼飲料水のカテゴリーに大きな食い込みを見せているのです。
オンラインでPepsi社のBCGマトリックスを作成するには?
EdrawMaxは、グラフィックファイルを作成し、それらを文書として保存することができるグラフィックスアプリです。このツールは、図形テンプレートやグラフ、ビジネスチャートなどを作成する時に役立つアプリです。このチュートリアルでは、EdrawMaxを使用してBCGマトリックスを作成する方法を説明します。
BCGマトリックスを作成するには、まずはアウトライン化から始めます。
最後に
Pepsi社は炭酸飲料におけるリーダー企業として知られています。長年にわたり、同社はイノベーションに注力することでトップの座を維持してきました。しかし、市場は変化していく中で、同社のやり方はあまりにも固執的でした。本来であればPepsi社はより大胆なイノベーションを起こし、世の中に適応する必要がありましたが、もうすでに選択の余地はほとんどありませんでした。
Pepsi社のBCGマトリックスは、同社のブランド価値と市場におけるポジショニング、そしてライバル企業に対する同社のパフォーマンスを示しています。EdrawMaxはプロフェッショナルなグラフィックツールであり、BCGマトリックスを描くのに適したソフトウェアなので、ユーザーは時間と費用を節約することができるのです。また、EdrawMaxは、単なるダイアグラムツールではありません。フローチャート、ネットワーク、マトリックス、ドローイングマップ、ガントチャート、タイムライン、スケジュール管理など、他の機能も使用することができます。