リーンキャンバスはスタートアップやビジネスプラン作成において革新的なものです。ペルソナやり方を組み合わせ、成功に導く手法を紹介いたします。
1. リーンキャンバスとは?
スタートアップ企業や新規事業開発等において、ビジネスモデルを考える際に活用できるフレームワークはいくつかありますが、その一つである「リーンキャンバス」について、概要や使用するメリット、作成する手順、注意点等について以下に説明します。
リーンキャンバスは、マネージメント手法として注目を浴びている起業家のアッシュ・マウリャ氏が提唱したフレームワークで、テンプレートをもとにビジネスモデルを9つの要素に分けて可視化するツールです。9つの要素は以下のとおりです。
ダウンロード>>>「リーンキャンバスのテンプレート」
①顧客のセグメント:自社サービスや商品を利用する顧客像
②顧客の課題:顧客が抱えている課題
③独自の価値(UVP):自社ならではの強みや価値
④ソリューション:顧客の課題に対する解決方法
⑤チャネル:顧客にサービスや商品の価値を届けるための販路
⑥収益の流れ:自社サービスや製品が「誰から」「どのように」利益を生み出すか
⑦主要な指標:事業の最終目標を達成するために必要な定量的指標(KPI)
⑧コスト構造:実際に製品を市場に出すまでにかかる費用
⑨圧倒的な優位性:他社と比較して突出している強み
リーンキャンバスを使うことによって、新規事業のアイデアを素早くまとめて、重要な論点や不足している論点に絞って議論することが可能になりす。リーンキャンバスを使うメリットとしては以下が挙げられます。
①要点を簡潔に伝えられる:A4サイズ1枚にビジネスモデルの要点をまとめることで、上司や社内関係者にサービスの本質的価値を簡潔に伝えられます。
②短時間で作成できる:1ページにビジネスモデルの要点をまとめるフレームワークなので、短時間で作成できるうえ、必要に応じて簡単に修正できます。
③スピーディに共有できる:企画内容や課題をひと目で確認できるので、素早く情報を共有できます。A4サイズ1枚に収まるので、持ち運びも簡単ですし、スマホのカメラで撮影でき、またスキャンしたデータでも共有しやすいです。
④作成コストがかからない:ドキュメントファイルや紙1枚にビジネスモデルをまとめるだけなので作成コストがかかりません。
⑥仮説の検証から素早いアップデートにつなげられる:企画の仮説やアイデアを構成する情報をまとめればすぐに検証を始められ、検証後もリーンキャンバスにまとめた情報を活用して修正が可能です。仮説の検証から更新するプロセスがリーンキャンバスの中で完結するので、素早く検証サイクルを回すことができます。
ビジネスモデルキャンバスとの違い
ビジネスモデルを可視化するためのフレームワークに「ビジネスモデルキャンバス」というツールもあります。ビジネスモデルキャンバスもまた9つの要素を持つフレームワークで、アレックス・オスターワルダーとイヴ・ピニュールによって開発されました。リーンキャンバスとビジネスモデルキャンバスは、図は似ているものの、検討要素は同じものと、異なるものがあります。9つの要素は以下のとおりです。
①顧客のセグメント:自社サービスや商品を利用する顧客像
②価値提案:顧客にどんな価値を届けているのか、顧客の抱えるどのような問題を解決しているか
③収益の流れ:自社サービスや製品が「誰から」「どのように」利益を生み出すか
④チャネル:顧客にサービスや商品の価値を届けるための販路
⑤顧客との関係:顧客が確立・維持することを期待している関係性
⑥主要活動:今回の分析対象となる事業における主要な活動
⑦リソース:事業を運営するうえで必要なリソース
⑧パートナー:事業を維持・拡大するうえで役に立つステークホルダー
⑨コスト構造:実際に製品を市場に出すまでにかかる費用
リーンキャンバスと共通な要素は、顧客のセグメント、収益の流れ、コスト構造、チャネルの4要素で、他は異なります。これらを比較すると、リーンキャンバスは課題と自社の優位性から独自の付加価値を提供する方法を検討する構造になっています。現状の課題や自社の強みを元に、新たな付加価値を生み出す新規事業の検討をすることができます。
それに対してビジネスモデルキャンバスは、既に確立されたパートナーや顧客との関係、主要活動から付加価値を高める方法を検討できます。ある程度ビジネスが軌道に乗った段階で分析するツールす。
2.リーンキャンバスの作り方
リーンキャンバスは、後述の順番に沿って項目を埋めていくと作成しやすいと言われていますが、埋めやすいパートから記入しても問題はありません。以下では、それぞれの項目の書き方やポイントについて説明していきます。
2.1 リーンキャンバス作成のポイント
①顧客のセグメント
・誰に価値を提供するかを明確にします。
・ターゲット市場や顧客セグメントを特定し、彼らのニーズや要求を理解します。
・「アーリーアダプター層」とよばれる、新しい製品を早期から利用してくれる層を特定することが大切です。
②顧客の課題
・企業がとらえている、市場における課題について整理します。
・通常はターゲット顧客が抱えていて、既存の製品では充足できない課題などがあてはまります。
・ここで洗い出された課題を解決することが、新たな事業プランの付加価値の源泉となります。
③独自の価値(UVP)
・現状課題と顧客セグメントに対して、いままでにない付加価値を提供する方法を整理することが目的です。
・新規事業において、どのような新たな付加価値を提供するのが収益性などの観点から望ましいのか整理します。
④ソリューション
・課題をどのように解決するかを整理します。
・新規事業はこのソリューションを提供するための取り組みです。
・ソリューションを実現することが、新規事業の付加価値となります。
⑤チャネル
・顧客との接点やコミュニケーション方法を定義します。
・実店舗はもちろん、マスコミやWeb、SNSなどの情報媒体もこの軸の分析スコープに含まれます。
・ターゲット市場に効果的にアクセスする方法を検討しましょう
⑥収益の流れ
・収益モデルを明示化し、どのように収益を得るかを示します。
・価格設定戦略や収益源を具体化します。
⑦主要な指標
・事業運営に必要な主要な活動やプロセスを列挙します。
・どの活動が戦略的に重要かを考えます。
⑧コスト構造
・顧客に付加価値を届けるまでの事業運営に必要なコストを整理します。
・固定費、変動費、初期投資などを考慮しましょう。
・新規事業の場合はまだ実績がないため、正確なコストを見積もるのは容易ではありませんので、他の軸と並行して分析しながら徐々に精緻化させていきます。
⑨圧倒的な優位性
・顧客に提供可能な優位性です。
・何を「圧倒的」とすべきか明確な基準はありませんが、単に自社ビジネスを進めるうえで強みとなるだけでなく、新規事業者の参入阻止など、市場競争における優位性維持につながるポイントを整理します。
・競合サービスが簡単には真似できない優位性を考える必要があります。
2.2リーンキャンバス作成の手順
初めての人が、何もないところからリーンキャンバスを作成するのはやはり大変です。そこでここでは、オールインワン・ドローイングソフトWondershare EdrawMaxのAI機能を活用してリーンキャンバスを設定する方法を紹介します。
①以上のボタンから無料ダウンロードしたEdrawMaxを起動し、新規作成、空白の図面を選択します。
②AIタブ→その他→リーンキャンバスを選択します。
③AIが起動し、リーンキャンバス描画モードに切り替わります。
④リーンキャンバスのテーマ、例えば「新規ソフトの開発」と入力します。
⑤そのテーマに対する基本的なリーンキャンバスが生成されるので、それに加筆、修正するだけで、簡単にリーンキャンバスを作成することができます。
3.リーンキャンバスの事例とテンプレート
Wondershare EdrawMaxを使って、同様にAIに質問すると、様々な事例を引き出すことが可能です。図は「アニメ作成の事例はある?」と尋ねた結果です。
一方で、EdrawMaxにはテンプレートも用意されています。起動画面で「分析キャンパス」タブのビジネス分析の中の「リーンキャンバス」を選択すると表示されます。
また、テンプレートが無料でダウンロードできるWebページも用意されています。現段階ではまだリーンキャンバスのテンプレートはアップロードされていませんが、皆さんが作成したものを是非アップロードしてください。
まとめ
ここではリーンキャンバスとは何か、その要素とメリット、似たような手法のビジネスモデルキャンバスとの相違点、リーンキャンバス作成の手順などについてご紹介しました。
リーンキャンバスを初めて作成する場合など、何もないところからいきなりの各要素を作り込むのは、やはり大変です。そういう時にはここで紹介したEdrawMax等のAI機能やテンプレートを是非ご活用ください。