業務で問題が発生しても、原因究明は難しいと思っていませんか。なぜなぜ分析は、問題の真の原因を深掘りし、解決策を見つける強力な手法です。
問題があっても、表面的な解決策では本当の解決にはなりません。この記事では、なぜなぜ分析を解説し、実際の活用例を紹介します。さらに、EdrawMaxのようなツールの使用により、分析を視覚的にし、よりクリアに理解できる方法も紹介します。
再発を防ぎ効率的な改善を実現するために、なぜなぜ分析を学びましょう。興味をお持ちの方は、この分析法を深掘りし、問題解決のスキルを高めてみませんか。
1.なぜなぜ分析とは?そのメリットは?
なぜなぜ分析について、何となく聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。ここでは、なぜなぜ分析について詳しく解説し、メリットを紹介します。
1.1 なぜなぜ分析とは問題の根本にある原因を解明する手法
なぜなぜ分析は、トヨタ自動車によって開発された問題解決手法です。問題の表面的な原因に対して「なぜ?」と繰り返し問いかけることで、根本原因を明らかにします。
通常5回の「なぜ」で深層の原因に迫り、問題の再発防止につながる解決策を導き出します。製造業をはじめさまざまな業界で採用されており、問題の根本的な解決と予防策の策定に役立つ手法です。
1.2 なぜなぜ分析のメリット
なぜなぜ分析には、以下の3つのメリットがあります。
- 根本原因の特定
- 再発防止
- 効率的な問題解決
問題の深層にある根本原因を明らかにし、それに基づいて具体的な解決策を立案できます。根本的な原因が明らかになることにより、一度解決した問題が再び起こることを効果的に防ぐことが可能です。さらに組織内の隠れたギャップを明確にし、問題解決に必要な時間とリソースを最適化することで、より効率的に問題を解決できます。
1.3 なぜなぜ分析の活用シーン
なぜなぜ分析は、製造現場でのミスや労働災害の防止、生産性の向上といった課題解決に広く用いられる手法です。IT業界をはじめとする多種多様な業界でもその効果が認められており、広範囲にわたって活用されています。この手法の発祥であるトヨタ自動車では、製品品質の向上やさまざまな問題の解決に役立てられていることで知られています。
2.なぜなぜ分析のやり方
なぜなぜ分析をどのようにすればよいのか、分析を失敗しないように注意すべきポイントを解説します。
2.1 なぜなぜ分析の手順とテンプレート
なぜなぜ分析をするには、原因を追及しなくてはいけません。原因追及で大事なことは2つあります。
- 「広く」考える
- 「深く」考える
今回は、ロジックツリーのフレームワークで思考の進め方を紹介します。上記の2つのコツを使って、Edrawmaxで原因追及するテンプレートで考えます。
問題について「広く」考え、原因1と原因2と複数の原因を考えます。次にその原因について「深く」考え、原因の原因(原因1-1、原因1-1-1)を書き出します。
ロジックツリーを使ったなぜなぜ分析は、以下の手順で進めます。
1.課題の具体的な定義
2.「なぜ?」と問いかけて原因の根本を探る
3.原因を特定し、解決策を導き出す
この手順で、「新商品の市場投入後、期待した成績が出なかった」を例題としてなぜなぜ分析してみましょう。
2.1.1.課題の具体的な定義
問題を明確にするために、発生状況を「いつ・どこで・なにを・どのように」といった詳細を書き出します。問題の状況を詳細にまとめ、具体的に定義します。
例題の「新商品の市場投入後、期待した成績が出なかった」を以下のように具体的に定義します。
いつ | 2023年の第1四半期 |
どこで | 関東地方 |
なにを | 革新的な健康志向の飲料 |
どのように | 広範なオンラインマーケティングキャンペーンと大手小売店でのプロモーションを通じて |
状況設定により、市場投入後の成績不振の原因分析がより具体的かつターゲットを絞ったものとなり、効果的な改善策を導き出しやすくなります。
2.1.2.「なぜ?」と問いかけて原因の根本を探る
定義した問題に対して「なぜ?」と繰り返し問いかけ、要因をリストアップします。複数の要因や要素が出た場合、それぞれを追求し枝分かれして各原因を深掘りします。
原因追究は、事実に基づいて具体的に述べ、思い込みや推測を避けましょう。根本的な原因にたどり着くためには、5回以上の「なぜ?」を繰り返します。
1. なぜ期待した成績が出なかったのか?
→市場調査が不十分だったから。
2. なぜ市場調査が不十分だったのか?
→ターゲット顧客のニーズを正確に把握していなかったから。
3. なぜターゲット顧客のニーズを把握していなかったのか?
→調査手法が不適切だったから。
4. なぜ調査手法が不適切だったのか?
→市場動向の変化に対するアップデートがなされていなかったから。
5. なぜ市場動向の変化に対するアップデートがなされていなかったのか?
→市場分析チームとの連携が取れていなかったから。
EdrawMaxでの作成例
コツ:EdrawMax AIに同じ問題点を聞いてみると、いいアイデアをもらうかもしれません。
2.1.3.原因を特定し、解決策を導き出す
分析によって特定された根本原因から、発生を防ぐための対策を策定します。解決策は具体的で実践可能な内容であることを確認し、実際に解決策を実施してその効果を評価します。
解決策を実行後、問題が解決しているかを定期的に評価し、必要に応じて再分析を行いましょう。
なぜなぜ分析により、事象の改善につながる原因の発見を目指し、論理的かつ体系的にアプローチすることで問題の根本原因を明らかにします。
Edrawmaxなどのツールを利用することで、問題の分析が明確になり、視覚的に原因と解決策を理解しやすくなります。
2.2 なぜなぜ分析を失敗しないためのポイント
なぜなぜ分析は、単純に「なぜ」を繰り返すだけではいけません。ここでは、分析を失敗しないように注意すべきポイントを解説します。
A.問題を明確に定義する
問題を具体的かつ詳細に定義することが重要です。あいまいな定義では分析も曖昧になりがちです。例えば、「プロジェクトの進捗が遅れている」という問題を、「特定の工程で必要な検証作業が期限内に完了していない」といった具体的な状況に言い換えて捉えます。
B.個人より組織の問題点を追求する
なぜなぜ分析は、個人の非難や責任追及を避け、組織全体のシステムやプロセスに潜む問題点を探り改善することを目的としましょう。なぜなぜ分析は、個人をつるし上げるための手段ではなく、組織全体としての成長と改善を促進するためのものです。そのため、個人への攻撃や責任の追及を控え、組織としての解決策を見いだすことが重要です。
C.客観的に行い、思い込みや勘違いを避ける
分析は客観的な事実に基づいて行います。個人の感情や偏見を排除し、具体的なデータや事実を元に分析を進めます。
D.事実確認
分析の各段階で事実を確認し、思い込みや不正確な情報に基づいて分析を進めないようにします。
E.言い訳を書かない
なぜなぜ分析では、問題解決につながらない言い訳や自己正当化を避けます。言い訳は問題の原因の一つとして挙げられますが、解決につながりません。避けるべき言い訳としては、以下のものが考えられます。
- 判断ミス
- スキル不足
- リソース不足
- 意識不足
- 認識不足
これらの言い訳に注目するのではなく、組織全体としてどのように改善できるかに焦点を当てましょう。原因として言い訳が出てきたら、その原因を深掘りすることを止めて言い訳は削除しましょう。
F.時間の流れを把握する
時間を意識すると、問題が発生した背景や状況を正確に理解することが重要です。何が起きたのかだけでなく、なぜその時に起きたのかを把握することで、より深い理解に基づいた解決策を導き出せます。
例えば「市場調査が不十分だった」の原因として「顧客ニーズを把握していなかった」がある場合、この間に他にも原因があるが考えます。時間の流れを意識すると「顧客目線の調査が不足していた」が考えつきます。同様に他の原因も時間の流れを意識すると、具体的な解決策に結びつく原因が見えてきます。
これらのポイントを意識することで、なぜなぜ分析を効果的に行い、根本原因に基づいた実行可能な解決策を見つけ出すことができます。
3.FAQ:なぜなぜ分析は必ず五回の「なぜ」を繰り返しさなければいけないの?
なぜなぜ分析では、「なぜ」を5回繰り返すのは一つの目安に過ぎません。この分析の本質は、問題の深層にある根本原因を明らかにし再発を防ぐことです。
実際には問題の複雑さにより、5回以上の「なぜ」が必要な場合もあります。大切なのは、回数に固執することなく真の原因に到達し、それを解決することです。
4.トラブルシューティング手法の比較:なぜなぜ分析、特性要因図、FTA
なぜなぜ分析、特性要因図、FTAは問題解析と予防策の策定に役立つ手法です。それぞれ異なるアプローチを持ちつつ、問題の根本原因を明らかにし、その解決と再発防止に役立ちます。問題を体系的に分析し解決策を導き出すための強力なツールであり、それぞれを比較すると以下の違いがあります。
対象者 | 知識レベル | 問題解決 | |
なぜなぜ分析 | 問題解決に取り組む全ての人 | 初心者でも実施可能 | 単一の問題に対する根本原因を特定 |
特性要因図 | 管理職や品質管理担当者 | 専門的な知識がある程度必要 | 広範な問題やプロセスの要因を体系的に分析 |
FTA | リスク管理や安全性分析を担当する専門家 | 専門的な知識と論理的思考が必要 | 複雑なシステムの故障や事故の原因とその影響を論理的に分析 |
4.1 特性要因図とは?
特性要因図は、なぜなぜ分析と異なり、問題の多面的な要因を体系的に整理し、その関連性を視覚化します。これにより、問題の根本原因を効率的に特定し、全体像を捉えながら対策を策定できます。
一方、なぜなぜ分析は特定の問題に焦点を当て、その直接的な原因を逐一追求していく方法です。両者は問題解決におけるアプローチが異なり、使用する状況によって選択されます。
4.2 FTAとは
FTA (故障ツリー分析) は、複雑なシステムにおける故障や事故の原因を体系的に分析する手法です。なぜなぜ分析が直接的な問題の原因を掘り下げるのに対し、FTAは可能な故障経路を論理的に構築し、事故の発生確率や影響を評価します。これにより、リスクを管理し、システムの信頼性を向上させることができます。
5.なぜなぜ分析に役立つツールEdrawMax
Edrawmaxは、なぜなぜ分析する際に問題を明確にし視覚的に理解することに役立つツールです。Edrawmaxには、以下の特徴があります。
特徴1:原因究明につながるさまざまなテンプレート
特徴2:web版で共同作業は可能
特徴3:AIに意見を聞いて原因究明に役立つ
Edrawmaxの豊富なテンプレート
直感的なテンプレートとWeb上での共同作業機能により、チーム全体での問題解決が容易です。また、AI機能により分析の原因究明をより深いものにします。使いやすいインターフェースでなぜなぜ分析を可能にするEdrawMaxは無料で体験できます。
6.まとめ
なぜなぜ分析は問題解決における重要なアプローチ手法です。この手法では、問題の表面的な原因に「なぜ?」と繰り返し問いかけ、根本原因を明らかにし、効果的な解決策を導きます。
再発防止や効率的な問題解決が実現し、製造現場からIT業界まで幅広く活用されています。この記事では、この分析を利用した具体的な事例解析や、成功を確実にするための重要なポイントを解説しました。EdrawMaxなどのツールを使用することで、分析を支援し問題解決のプロセスを明確かつ視覚的に役立ちます。なぜなぜ分析する際の参考にしてみてください。