レポートや論文を書くのは苦手だという人も多いと思います。あるテーマに沿ってさまざまな情報を取りまとめ、最終的にひとつの文章に仕上げるのには、それなりの構成力や文章力が必要になりますよね。特に構成はしっかりしたものでなければ、何を伝えたいのかわからない論文になってしまうため、論文を書く上で情報整理をして構成を練ることは必須の作業です。
本記事では、論文を書く上での情報整理を、マインドマップを活用して行う方法をご紹介します。
Part 1: 論文執筆でぶち当たる壁
筆者はかつて工学系の研究室に所属していましたが、論文を書く上でも毎日さまざまな実験を根気強く行っていました。失敗も何度も経験しますが、そのとき失敗と思った実験が後に大きく役に立つこともよくあることなので、データを取り、実験ノートをつける毎日でした。それだけに、何か論文を書くに値しそうなデータが得られたり、その道筋が見えたりしたときは、格別の喜びがあるものです。いざ論文を書くという段階で、それまでに記録していたデータや実験ノートはとても役に立ちます。
しかし、論文という一本のストーリーとなるものに対して、まだそれらの記録は雑多に整理されていない状態のことも少なくありません。そのときそのときの実験では丁寧に情報を整理したつもりでも、論文という段になって再び情報の扱い方に悩むという例もとても多いです。いかにして論文を構成し、それに合わせた情報をまとめてゆくかは、論文執筆の上で最も重要な作業となるのです。
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Part 2: 論文作成の難しさに対する解決方法
このような論文作成の難しさに対しては、情報整理を上手に行う必要があります。
一つの方法としては、最初に論文全体の骨子案を作ることです。話のスタートとゴールもはっきりして内容が発散することを防いでくれますし、あらためてどのデータを活用すれば論理的な構成になるかなど、情報の使い方のヒントにもなります。
骨子案で大まかな全体像を作り、文章は後回しにして、その中に使用するデータを入れ込んでみると、より具体的な内容も浮かんできたりします。この際、実験の内容などは行った日時の順番にこだわるのではなく、あくまで内容の論理性の整合にこだわることが重要です。そういったことも、骨子案などであらかじめ全体像を示しておくことで、よい順番の付け方に辿り着けるようになるのです。
例えば、ある結論に向かっていくつか実験を行った論文の骨子としては、以下のような形になります。
1.背景
2.目的
3.実験
3-1.実験結果①
3-2.実験結果②
3-3.実験結果③
4.考察
5.結論
6.参考文献
上図:EdrawMindで作成したアウトライナー
Part 3: 論文を書くためのマインドマップの作り方
マインドマップとは、自分の発想や考えを「見える化」した図のことです。いきなり文章を作成する前にこのような作業を行っておくと、ご自身の脳内も整理され、より整理された文章につながります。作り方はそれほど難しくありません。ソフトを使えば、クリックと最小限のキーボード操作であっという間に頭の中の情報を整理することができます。
本記事では、マインドマップを作成するソフトとして、EdrawMindを用います。このソフトは直観的にマインドマップの作成を行うことができるだけでなく、そのマインドマップに見合ったアウトラインも同時に構成されてゆきます。
ステップ1: EdrawMindのはじまり
まず、EdarawMindを立ち上げたら「新規作成」で新しいスペースを作りましょう。
本記事では、「右型マップ」を用いますが、ここはお好みに応じて「ツリー型」や「放射状」でも大丈夫です。
ステップ2: 論文タイトルにトピックの付け方
図のような初期画面が現れますので、「中心トピック」には論文タイトル(候補でも結構です)を、「メイントピック」には大まかな構成を入れてやりましょう。
「メイントピック」が足りない場合は、「ホーム」の「トピック」によって追加することができます。
「メイントピック」が足りない場合は、「ホーム」の「トピック」によって追加することができます。
それぞれのトピックに沿って、「サブトピック」を作ります。メイントピックを選択しておいて、「ホーム」の「サブトピック」をクリックすると、そのトピックの後ろに作成されます。
ステップ3: 論文の構成を築く
実はここからが重要です。
ここで自分の論文で書きたい実験の結果や実験ノートの内容を書くことにもなりますが、この作業によって、その論文が論理的に構成されるかがより明確になります。
またカラーやブランチのスタイルを配置します。これで完成です。
ちなみに、「ホーム」から「アウトライナー」を選択すると、そのマインドマップに合った構成案も示されます。
Part 4: まとめ
論文の作成は一見とても複雑で、面倒な作業も多いですが、どのように構成を考えるかが重要です。
EdrawMindを利用したマインドマップの活用は、論文執筆者の情報の整理にとても役立ち、より論理的な内容で論文を作成することもできます。
また、このような作業を癖付けることで、より効果的な実験や研究を進めることの手助けにもなるのではないでしょうか。