学校のテストや資格試験、仕事のマニュアルなど「興味のないものでも大量の知識を暗記しないといけない」場面は誰にでもあります。「未来の夢の道具」であるドラえもんのひみつ道具にパンに写した内容を食べたら丸暗記できる「暗記パン」があることも、暗記の必要性と難しさの表れでしょう。しかも人には「忘れる」という機能が備わっているため、「覚える」だけでなく「忘れない」必要があります。
この記事では効果的な暗記のコツについて紹介します。自分に合った効率的な暗記メソッドを手に入れるための参考にしてください。
1.暗記の基本原則
そもそも、人はなぜ「忘れてしまう」のでしょうか。その仕組みから、暗記の基本原則について見ていきましょう。
1.1理解と結びつけ
人間が何かを記憶するときには、既に記憶している事柄と関連付けて覚えています。また、覚える事柄の内容や理由を理解した上で覚えると、全く理解していない事柄をただ覚えるよりも記憶が定着しやすくなります。慣れた仕事で新しい作業が増えてもすぐ覚えられるのに、始めたばかりの仕事は簡単なことでもなかなか覚えられないのは「理解」と「関連付け」がどちらもないためといえます。
1.2体系的な暗記法
理解と関連付けがどちらもないと記憶は定着しにくいということは、逆にいうと内容を理解し、それぞれを関連付けて覚えれば暗記しやすくなります。
(体系的な暗記法の例)
具体的には、ただ書かれた単語や文章を覚えるだけでなくマインドマップのようなツリー状の図で暗記の内容をグルーピングし、お互いを関連付けて暗記する方法が効果的です。
どうしても思い出せないことを人に言われたら「それそれ!」と思い出すことはよくあるでしょう。それは、「記憶の検索失敗」により、「覚えていないのではなく、記憶しているけれどうまく引き出せなかった」ためです。マインドマップを使用して体系的に覚えると、記憶の検索がしやすくなります。
1.3 反復学習
忘れる理由で大きな割合を占めるのが、覚えた事柄が思い出されないことで記憶が薄れる「劣化」です。下の図は有名な「エビングハウスの忘却曲線」ですが、復習をしないままだと1日後には覚えた事柄の約7割は忘れてしまうという結果になっています。
(引用:厚生労働省 教育とヒヤリハット活動)
これを防ぐために効果的なのが「反復学習」です。グラフによると2日後、1週間後、1ヶ月後の3回復習をおこなうと覚えた事柄の8割は記憶として定着するのがわかります。そのためたくさん覚える事柄がある場合、どんどん先に進んで暗記を詰め込むより定期的に反復した方が結果的には多くの事柄を記憶できます。
2.暗記のコツ
暗記の原則をおさえたら、次に具体的なテクニックについて知っておきましょう。ここでは5種類の暗記のコツについて解説します。
2.1 ファインマンテクニック
「ファインマンテクニック」とはノーベル賞を受賞したアメリカの物理学者、リチャード・ファインマン氏が用いていた学習方法です。そのポイントは「勉強した内容をわかりやすい言葉で説明すること」であり、説明の過程で自分の理解度が把握できるために効率的に学べるというものです。ファインマンテクニックでは、実際に説明相手がいなくても「何も知らない人に説明するつもり」で学習内容を書き出してみます。説明がわかりづらい・不足している点は理解が不十分な点として再度確認することで理解を深めます。
2.2 語呂合わせ
特に試験勉強で役立つ王道の暗記法が「語呂合わせ」です。語呂合わせは記憶を呼び起こすとっかかりの部分だけを特徴のあるワードでまとめて覚えられ、しかも忘れにくくなります。語呂合わせ作りのコツは、覚える単語や数字を「ひらがなにしてみる」ことです。まとめて覚える場合には、頭文字を中心に抜き出して単語を作ると覚えやすくなります。調味料の味付けの順番である「さしすせそ」なども同様の方法での語呂合わせですね。
- 「さ」とう
- 「し」お
- 「す」
- 「せ(し)」ょうゆ
- み「そ」
2.3 メモリーパレス
約2,500年前に古代ギリシアで考案され、「世界最古の記憶術」と呼ばれる暗記法が「記憶の宮殿(メモリーパレス)」です。この暗記法は現在でも広く使われており、世界記憶力選手権で8度優勝した「記憶の天才」ドミニク・オブライエン氏が樹立した数々の世界記録の基ともなっています。メモリーパレスでは、「場所」を使って暗記をおこないます。場所といっても現実の場所ではなく、脳内にいつでもすぐ思い出せる想像の空間を用意し、その空間に記憶したいものを配置して空間とセットで覚える方法です。
2.4 時間帯を見つける
AFP通信のニュースによると、ドイツのリューベック大学が研究結果から「睡眠中の方が覚えたての記憶の改変や混乱に対して抵抗力を持つ」と発表したそうです。つまり、「寝る前に暗記して、記憶が影響を受ける前にすぐ寝る」のが暗記には一番よいとされています。
また、記憶は起きている間に受けるほかの情報や膨大な既存の記憶によって覚えたことを忘れてしまう「干渉」という仕組みがあります。そのため暗記してすぐ寝ると干渉も受けにくく記憶が定着しやすくなります。夜は一日の疲れが出るため、朝や日中は問題を解く時間にあてて、夜は復習や暗記で記憶を定着しやすくする勉強スタイルがよいでしょう。
2.5 声に出して暗記する
覚えたいことを声に出して読み、暗記するのも効果的です。「テキストをしっかり読んだのに少し経ったら全然覚えていない」のはよくあることですが、その原因は「読んだつもりになっている」ためです。
声に出すと「目(見る)」と「頭(内容を理解する)」と「体(発声する)」と複数の部分を使用することで脳に印象を与えやすくなり、内容を理解しやすく、覚えやすくなります。
3.暗記に役立つツール
「暗記の原則」「暗記のコツ」について理解した後は、実際にツールを利用して実践しましょう。以下で暗記に役立つツールとマインドマップツール「EdrawMind」をご紹介します。
3.1 マインドマップ
「関連付けて覚える」方法に役立つのが、「メモリーツリー」と呼ばれるマインドマップを使った記憶術です。「ツリー」とあるように、「幹」と「枝」を利用して知識の整理をしながら関連付けて覚えていきます。位置関係ごと記憶できるので「メモリーパレス」にも通じ、「語呂合わせ」などほかのテクニックと並行して用いれば記憶が定着しやすくなります。マインドマップ作りに活躍するのが、マインドマップソフト「EdrawMind」です。マインドマップを利用して、勉強だけでなく思考の整理、目標までの戦略作り、授業や仕事でのプレゼン作成と幅広く活用できます。
(テンプレートの一覧)
手描きやExcelなどで作成するマインドマップと比較してEdrawMindが優れているのは以下の3点です。
- デザイン性の高さ
- 作成の簡単さ
- 変更の手軽さ
豊富なテンプレートから作成したいマインドマップを選択し、必要に応じてサブトピックや吹き出し、矢印を追加/削除すればすぐにオリジナルのマインドマップが作成できます。
(作成例:マインドマップ)
また、EdrawMindにはトピックの図形を追加、削除、移動するとマップが自動的に調整される「スマートレイアウト」機能があります。「完成した後に変更や漏れがあった」「少し手を加えて再利用したい」といった場合でも簡単に修正可能で、作成しながら知識や思考をまとめるのにも役立ちます。
EdrawMindの無料版はこちらからダウンロードできます。一度試しに使ってみてください。
3.2 忘却曲線に基づいて作った復習ノート
せっかく覚えたことを忘れないように、復習するときに役立つのが「復習ノート」の作成です。復習ノートでは、以下のようなポイントをまとめます。
- 日付
- 内容・ポイント
- テキストのページ
- メモ
- まとめ
数学や理科の場合は間違えた問題と答え、解説を同様にまとめておき、解けるようになるまで復習します。また、「エビングハウスの忘却曲線」に基づき、復習を1日後、1週間後、1か月後のタイミングでおこなえるように、復習日をふせんに書いて貼っておくとよいでしょう。
3.3 暗記アプリ
現在は暗記をサポートするアプリがたくさんあります。いつも持ち歩いているスマートフォンを使えば、反復学習がしやすいのも大きなメリットです。「暗記メーカー」はさまざまなタイプの問題が作成できるアプリです。
(引用:Google Play)
- 一問一答問題
- 選択問題(番号択一・〇×)
- 穴埋め問題
- 選択問題(複数回答選択)
- 画像・解説文付き問題
また、忘却曲線に基づいた学習をサポートするアプリが「reminDO」です。
(引用:reminDO)
「復習が効果的」といわれても、効果的な復習のタイミングを覚えているのは難しいでしょう。reminDOを使用すれば、覚えておきたい画像、単語、アイデアについて最適な復習のタイミングでお知らせしてくれるため記憶の定着に効果的です。
3.4 暗記術について、おすすめの本
先ほど紹介した「メモリーパレス」の本が、ドミニク・オブライエン氏が書いた「記憶に自信のなかった私が、世界記憶力選手権で8回優勝した最強のテクニック」です。
(引用:X-knowledge)
この本には記憶トレーニングの方法が紹介されています。使いこなすには時間がかかるかもしれませんが、身に付ければ記憶力を飛躍的に向上させられるかもしれません。また、脳科学に基づき暗記が苦手な人でも覚えられる記憶術について述べているのが、精神科医の樺沢紫苑氏の著書、「覚えない記憶術」です。
(引用:サンマーク出版)
本著では、「記憶力に頼らずに成果を最大化する」として「どこにどのような情報があるのかを早く見つける」方法についていくつか解説しています。
まとめ
今回は暗記の原則、暗記のコツ、暗記に役立つツールについて解説しました。EdrawMindのマインドマップは、暗記だけでなく暗記の前の段階である「学習計画」作成にも役立ちます。
(マインドマップの一例)
さらに、マインドマップだけでなくガントチャートで学習や目標への具体的な計画が立てられます。
(※ガントチャートは有料版限定の機能です)
(ガントチャート機能の一例)
EdrawMindで作成したファイルはPDF、Word、Excel、PowerPoint®、画像にも簡単にエクスポートできるだけでなく、メール・オンライン・Webサイト埋め込みで共有して共同作成もできるため、ビジネス上のプロジェクトにも活用できます。ダウンロードで無料版から試せるEdrawMindを活用して、ぜひ試験や仕事での目標達成ツールとして役立ててください。