配管や流体制御に欠かせないバルブは、さまざまな種類が存在し、その記号を理解することは、設計やメンテナンスにおいて重要になります。
本記事では、初心者の方でも理解しやすいよう、基本的なバルブの種類とそれに対応する記号を詳しく解説します。また、すぐに活用できるバルブ記号の素材付きで、設計作業をより効率的な進め方について分かりやすく解説していきます。
1.バルブとは?
バルブは、流体の流れを制御するための機器で、配管システムの中で重要な役割を果たします。開閉や流量の調節、逆流防止など、用途に応じて多様な種類が存在します。
例えば、水道の蛇口では、水の開閉と流量調整を行うため、複数の異なる種類のバルブが組み込まれており、水の安定供給と使用者の快適性を実現しています。
バルブ記号は、設計図面でバルブの種類や機能を示すために使用され、国際規格に基づいた統一された表記がされています。
バルブ記号に関するJIS規格番号:JIS Z 8617-8
2. バルブの種類とその記号
バルブには、それぞれ独自の構造と用途を持つ複数の基本的な種類があります。以下に、主要な6種類のバルブについて、その特徴、構造、および記号を詳しく解説します。
2.1 玉形弁
玉形弁は、球状の内部構造を持ち、流体の制御を効率的に行うことができます。流体の圧力損失が少なく、高圧環境での使用に適しています。「グローブ弁」や「ストップバルブ」とも呼ばれます。また、「ニードルバルブ」も玉形弁の種類のひとつです。
記号 | 外観 | 内部構造 | 用途例 |
---|---|---|---|
|
2.2 仕切弁
仕切弁は、上下に移動する仕切板を用いて流体の流れを遮断します。開閉速度は比較的遅いものの、密閉性に優れた構造が特長です。
「ゲート弁」とも呼ばれます。
記号 | 外観 | 内部構造 | 用途例 |
---|---|---|---|
|
2.3 ボール弁
ボール弁は、内部の球体を回転させることで流体を制御します。操作が簡単で、流量の精密な調整が可能です。
「ボールバルブ」と呼ばれることが多いです。
記号 | 外観 | 内部構造 | 用途例 |
---|---|---|---|
|
2.4 バタフライ弁
バタフライ弁は、円板状のディスクを回転させて流体を制御します。軽量で設置が容易ですが、高圧環境には適していません。
記号 | 外観 | 内部構造 | 用途例 |
---|---|---|---|
|
2.5 逆止弁
逆止弁は、流体の一方向のみの流れを確保し、逆流を防止するように設計されています。「チェックバルブ」や「チャッキ弁」と呼ばれることもあります。
記号 | 外観 | 用途例 |
---|---|---|
|
2.6 ダイヤフラム弁
ダイヤフラム弁は、弾性体を用いて流体を制御します。化学薬品やスラリーの配管に特に適しています。
記号 | 外観 | 用途例 |
---|---|---|
|
2.7 用途別バルブ
種類 | 記号 | 外観 | 用途例 |
電磁弁 |
|
||
制御弁 |
|
||
空気弁 |
|
3. バルブ記号の活用場面
バルブ記号は、配管図や設計図において必要な要素です。
石油化学プラントでは、流体の種類や流れの制御を明確化し、効率的な運用と安全性向上に役立ちます。水道設備や空調システムでは、設計段階からメンテナンスまで幅広く利用され、迅速なトラブルシューティングや改修計画を容易にします。さらに、標準化された記号を使用することで、関係者間の意思疎通がスムーズになり、誤解や作業ミスを減らします。
このように、バルブ記号を活用することで作業効率の向上、コスト削減、システムの信頼性向上といった多くのメリットがあります。
4. バルブ記号の使い方
バルブ記号を正しく使うことで、配管図や設計図を効率的に作成できます。以下では、初心者でも簡単に使用できるEdrawMaxを使ったバルブ記号の使い方を解説します。
①素材をダウンロードする
今回は、こちらから素材をダウンロードして使用します。
ここからダウンロード:「バルブ記号テンプレート.eddx」
②素材をEdrawMaxで開く
EdrawMaxの「ファイル」メニューから「開く」を選択し、ダウンロードした素材を開きます。
また、EdrawMaxはCADのファイル形式のインポートにも対応しています。
③バルブ記号を配置する
バルブ記号の素材は、使用する図面にコピー&ペーストして移動や配置はドラッグ&ドロップで簡単にできます。また、記号をクリックするだけで、サイズ変更や色変更も簡単に行えます。
④バルブ記号を接続する
バルブ記号を配置したら、次は配管ラインやその他の記号を線で結びます。配管ラインと記号を簡単に接続でき、正確な図面が作成できます。
⑤特定の記号を作成しライブラリに保存
似たような別のバルブ記号も存在するため、マイライブラリに保存しておき再利用することで、新たな記号を簡単に作成することも可能です。新たな記号もライブラリに保存して再利用することで、作業効率を大幅に上げることができます。
・DXF/DWGファイルの活用
既存のDXFやDWG形式の図面をEdrawMaxにインポートすることで、既存の設計データを活用できます。この機能により、新規設計と既存設計を組み合わせた効率的な図面作成が可能です。
・AI機能の利用
EdrawMaxには、AIによる画像生成機能が搭載されています。これを活用すれば、バルブの実物写真のような画像を自動生成し、図面にリアルなイメージを追加できます。この機能は、設計の視覚的な理解を深めるのに役立ちます。
EdrawMaxを使えば、バルブ記号を含む配管図や設計図を簡単に作成・編集できます。この柔軟性と多機能性は、幅広いユーザーにとっての大きなメリットになります。
5.バルブ記号に関するよくある質問
5.1 バルブの矢印の意味は?バルブ記号の向きについて
バルブ記号の矢印は、流体が流れる方向を示します。一方向の矢印は、指定された方向にのみ流体が流れる仕組みを意味します。また、逆向きの矢印が描かれている場合は、逆流を防ぐ逆止弁の機能を表します。これにより、配管システムの設計や運用で流れを正確に管理できます。
5.2 バルブ記号の黒塗りの意味
バルブ記号が黒く塗られている場合、それはバルブが「閉じた状態」を示します。この表記は、設計図や運用状態を視覚的に明確にするために使用されます。たとえば、配管システム内でどのバルブが閉じているかを一目で把握できます。
5.3 バルブの記号でNCとNOの意味
用途別バルブ記号の電磁弁に記載されている「NC」は「ノーマルクローズ」、通常閉じた状態を表し、「NO」は「ノーマルオープン」、開いた状態を意味します。操作状況を明確に伝えるため、設計図やメンテナンスマニュアルに用いられることが多いです。
まとめ
バルブ記号は、設計者と製造現場を繋ぐ重要な役割を果たします。
本記事では、基本的なバルブの種類と記号、さらにはその使い方について解説しました。バルブ記号を理解し正しく活用することで、設計効率やメンテナンス精度が向上します。
EdrawMaxを活用して、より効果的な図面作成を行いましょう。
無料体験版をご用意していますので、まずは製品の機能をお試しください。