水道図面に使われる記号は、配管の設置や設備管理を効率よく行うために欠かせないツールです。しかし、種類が多く初めての方には分かりにくい面があります。
この記事では、水道図面記号の基本的な種類とそれぞれの用途を一覧で整理し、初心者でも実務ですぐに活用できるよう、具体的な使い方を詳しく解説します。
無料で使える素材も提供していますので、ぜひお役立てください。
1.水道図面記号の種類とその記号
1.1 水道設備の基本記号(給水設備記号・排水設備記号)
水道設備の基本記号は、給水設備と排水設備の2つに分類され、それぞれの設備や配管経路を明確にするために図面上で用いられます。給水設備記号は主に建物内へ水を供給する設備を示し、排水設備記号は建物から水を排出する設備を示します。
給水設備記号の一覧
記号 | 名称 | 用途 | 用途例 |
---|---|---|---|
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給水管 | 水道水を各所に供給する配管 | 一般住宅 マンション オフィス |
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給水塔 | 貯水・水圧調整用の水槽設備 | 高層ビル 商業施設 |
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給水ポンプ | 水圧を調整し、水を送る設備 | マンションの 給水加圧設備 |
給水設備記号は、設備の設置位置、配管ルート、水の流れなどを明確に示し、施工やメンテナンス作業時に役立ちます。
排水設備記号の一覧
記号 | 名称 | 用途 | 用途例 |
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排水管 | 排水を下水道へ導く配管 | トイレ キッチン 浴室 |
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排水口 | 排水の出口部分 | 洗面所 キッチンのシンク |
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逆止弁 | 配管内の水の逆流を防ぐ装置 | 排水ポンプ 給水配管 |
排水設備記号の一覧排水設備記号を利用することで、排水経路の管理や設備の効率的な保守・管理が可能になります。
1.2 配管・継手記号
配管・継手記号は、図面上で配管の種類や接続方法を明確に伝えるために使用される記号で、工事や保守作業を効率よく進めるのに重要な役割を果たします。以下では、代表的な配管と継手の記号を一覧で示し、その用途や具体的な使用例について解説します。
配管記号の一覧
記号 | 名称 | 用途 | 用途例 |
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PE | ポリエチレン管 | 給水や排水を行う一般的な 配管ルート |
給排水管の経路表示 |
VLP | 塩ビ管 | ポリ塩化ビニル製配管を表す | 家庭用給排水管 |
CP | 鋼管 | 鉄製の配管を表す | 建物の高圧給水管 |
これらの記号は、配管材料を明確に区別するために使用されます。
継手記号の一覧
記号 | 名称 | 用途 | 用途例 |
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エルボ | 配管の角度を変える接続部品 | 壁面や天井での配管曲げ |
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ティー | 配管を分岐するための継手 | 複数箇所への給水分岐 |
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ユニオン | 配管を取り外し可能にする接続部 | メンテナンスや交換が必要な箇所 |
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ソケット | 配管同士を直線的に接続する | 配管の延長や修理 |
配管と継手記号を適切に活用することで、配管経路や接続箇所の理解が容易になり、施工精度の向上や維持管理の効率化につながります。
1.3 バルブ・蛇口などの制御機器記号
バルブや蛇口などの制御機器記号は、水道設備の運転管理やメンテナンスを円滑に進めるために重要です。バルブは主に水流を制御したり、止めたりする機器であり、蛇口は利用者が直接水を利用するポイントを示します。これらの記号を正確に理解することで、安全で効率的な設備管理が可能になります。
各種バルブの記号一覧
記号 | 名称 | 用途 | 用途例 |
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閉止弁 ゲートバルブ |
配管の水流を完全に遮断する | メンテナンス時の給水停止 |
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止水弁 | 水流を制御し、一時的に止める | 給水系統の部分停止 |
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逆止弁 | 配管内の水の逆流を防止する | 排水ポンプ設備 |
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減圧弁 | 配管内の水圧を調整する | 高圧給水地域の建物 |
バルブ記号は配管系統の運転状況を把握し、効率的に水流を管理するために不可欠です。
蛇口・水栓の記号一覧
記号 | 名称 | 用途 | 用途例 |
---|---|---|---|
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一般蛇口 (水栓) |
水を取水する場所を示す | 洗面所 キッチン |
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散水栓 | 屋外などで散水用に使われる水栓 | 庭園 公園 屋外設備 |
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ホース接続用蛇口 | ホースを接続して利用する水栓 | 洗車場 清掃場所 |
蛇口の記号は、実際の利用箇所を明確に示すことで、利用者や作業者にとって分かりやすい図面作成に役立ちます。これらの記号を適切に使い分けることで、スムーズな設備の運用が可能となります。
1.4 計装・測定機器の記号
計装・測定機器の記号は、水道設備内の水量や圧力を正確に測定・管理するための装置を示すものです。適切な計測・監視を行うことで設備の効率的な運用とトラブル防止に役立ちます。以下では、主な計装・測定機器の記号について一覧で解説します。
計装・測定機器記号一覧
記号 | 名称 | 用途 | 用途例 |
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水道メーター | 使用水量を測定し管理する | 家庭や商業施設の使用水量計測 |
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流量計 | 配管内を流れる水の量を 計測する |
工場や設備での流量管理 |
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圧力計 | 配管内の水圧を測定 監視する |
給水設備、ポンプ施設の圧力管理 |
これらの測定機器の記号は、水道設備の運転状態を監視し、適切な維持管理や異常時に迅速な対応ができます。水道図面に正しく表記されることで、現場作業者によるメンテナンス作業の効率化にもつながります。
1.5 その他の補助記号
水道図面では、設備の配置や配管ルート以外にも、細かな情報を分かりやすく伝えるために様々な補助記号が用いられます。これらの補助記号を活用することで、施工や管理作業の正確性を向上させることができます。以下に代表的な補助記号の一覧と用途を紹介します。
補助記号一覧
記号 | 名称 | 用途 | 用途例 |
---|---|---|---|
→ | 流れ方向矢印 | 配管内の水流の方向を示す | 配管の水流方向明示 |
φ | 配管径注記 | 配管のサイズ(内径)を示す | 配管サイズの明示(φ25、φ50など) |
SUS PVC |
材質注記 | 配管や継手の材質を示す | ステンレス製(SUS) 塩ビ製(PVC) |
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消火栓 | 消火用水設備の位置を示す | 防火設備や消防点検 |
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点検口 | 配管や設備点検用の開口部位置 | メンテナンスや点検作業 |
これら補助記号を適切に使用することで、図面を通じてより具体的で詳細な指示や情報伝達ができます。施工現場や設備管理の現場での意思疎通がスムーズになり、施工ミスの防止や保守作業の効率化につながります。
2.水道図面記号の使い方
水道図面記号を正しく使うことで、配管図や設計図を効率的に作成できます。ここでは初心者でも簡単に使用できるEdrawMaxを使った水道図面記号の使い方を解説します。
①素材をダウンロードする
参考例として水道図面記号の素材をダウンロードします。
ここからダウンロード:「水道図面記号テンプレート.eddx」
②素材をEdrawMaxで開く
EdrawMaxの「ファイル」メニューから「開く」を選択し、ダウンロードした素材を開きます。また、EdrawMaxはDXFやDWGなどのCADファイルのインポートにも対応しています。
③記号を配置する
水道図面記号の素材は、図面にコピー&ペーストし、ドラッグ&ドロップで簡単に配置できます。記号をクリックしてサイズ変更や色変更も簡単に行えます。また、EdrawMax内にあるライブラリから記号を配置することも容易にできます。
④記号を接続する
配置した水道図面記号を配管ラインや他の記号と線で結びます。配管ラインと記号の接続が容易で、正確な図面作成が可能です。
⑤特定の記号を作成しライブラリに保存
よく使用する水道図面記号やカスタマイズした記号をドラッグ&ドロップでマイライブラリに保存
・DXF/DWGファイルの活用
既存のDXFやDWG形式の図面をEdrawMaxにインポートし、既存設計データを活用できます。新規設計と既存設計を組み合わせて効率的な図面作成が行えます。
・AI機能の利用
EdrawMaxにはAIによる画像生成機能があり、水道設備の実物写真に近い画像を自動生成し、図面にリアルなイメージを追加できます。この機能は設計内容の視覚的な理解を助けます。
EdrawMaxを活用することで、水道図面記号を使った配管図や設計図の作成・編集が簡単に行えます。この柔軟性と多機能性は初心者からプロフェッショナルまで幅広く活用可能です。
3.よくある質問
3.1 継手・接続部の記号について、接合方法や配管の連結状態はどのように表現しますか?
継手や接続部の記号は、配管の連結方法や接合部の特性を明確にします。一般的にはエルボやティーのような標準的な継手記号を使い、直線、曲線、分岐など配管の形状や状態を表現します。また、接続方法はソケットやユニオンの記号を使用し、接合が分解可能かどうかも示します。接続方法を注記する際には、図面上に「ねじ込み式」、「溶接」、「フランジ式」など具体的な接続方法を文字で記載することもあります。
3.2 上水道用・下水道用の水栓記号の違いは?
上水道用と下水道用の水栓記号には明確な違いがあり、図面上で区別されます。一般的に、上水道用の水栓は衛生的な水の供給を示す記号を使用し、下水道用の水栓は排水用途であることを示す記号を使用します。記号に併記される注記で用途をさらに明確にし、図面を見るだけで用途が簡単に識別できるようにします。
3.3 図面で配管の径や材質を注記する方法は?
配管の径や材質の注記は、記号に付随する形で図面上に記載されます。配管径はφ記号を使い、「φ25」などのように内径サイズを示します。材質は一般的な略称を使い、「SUS」(ステンレス製)や「PVC」(塩ビ製)のように記載します。これにより、施工や修理の際に必要な情報が即座に把握できるため、作業効率が向上します。
まとめ
本記事では、水道図面記号の種類やその具体的な使い方を初心者にも分かりやすく解説しました。
給排水設備記号から継手、バルブ、計測機器、補助記号まで幅広く紹介し、実際の設計や施工現場ですぐに役立つように工夫しています。さらに、EdrawMaxを活用した効率的な図面作成方法も提示し、実務で即活用できる内容となっています。
これらを参考にして、正確かつ効率的な水道設備管理を無料で使用できるEdrawMaxで実践してみてください。