各所にある機器と配管を表すP&ID図はプラントなどで重要な役割を持つ図の一つです。したがって、そのような設備に関わるエンジニアには、P&ID図の読み方や書き方を正確に理解できることが求められます。
本記事では、作図ソフトEdrawMaxを用いたP&ID図の作成手順を解説します。P&ID図の理解と実際の作図に是非お役立てください。
- 目次 -
Part 1: P&ID図とは何?
P&IDというのは、Piping & Instrumentation Diagramの略で、日本語では配管計装図ともいいます。設備、機械、計器、バルブなどを記号で表し、それらを配管の線で結んだ図で、プロセスの可視化にとても役立ちます。
機械にしてもバルブにしても多種多様ありますので、記号の種類も多岐にわたります。これらを一つずつ図示してゆくのは大変ですので、P&ID図の作成には専用のソフトを利用することが多いです。
本記事でご紹介するEdrawMaxもP&ID図を書くのに適したソフトで、各種記号もライブラリーの中に揃っています。
次の章ではEdrawMaxを用いて実際のP&ID図の作成方法をご紹介します。
Part 2: EdrawMaxでP&ID図を書く手順
本記事では以下のP&ID図を例に記号の意味と書き方をご説明します。
2.1 P&ID記号の意味
P&ID図に用いられる記号は多数ありますが、ここで使用されているものを中心に代表的な記号について少し説明を加えます。
・弁・バルブの記号
仕切弁の記号です。ゲートバルブとも呼ばれます。
一般的な仕切弁は左図のような白い記号です。
仕切弁は、水門のように弁を閉め切って流体を遮断するか、開けて流体を流すかの目的で使用されます。
ちなみに、常時閉めの仕切弁の記号は右側の図のように黒く塗られます。
また、仕切弁のうち上のハンドルのような記号がついたものは手動の仕切弁になります。
玉形弁の記号です。ボディ部分が球形になっている弁です。流体の流量を調整するのに優れた弁です。
身近な例として、ひねる量によって量を調整できる水道の蛇口などもこの玉形弁です。本例には使用されていません。
例図上部にあるこの記号は通気弁の記号です。
・文字記号
今回の例ではさほど使われていませんが、計器が多く使われているP&ID図には、よく図のようなアルファベットや数字が使用されていることがあります。
2文字のアルファベットのうち、1文字目は「変量表示」といい、「何を計測するのか?」を表します。代表的なものだと、図中にある「L」なら「レベル」、他に「F」は「流量」、「P」は「圧力」、「T」は「温度」などさまざまな記号が決まっています。
一方、2文字目は「機能表示」といい、どのような機能を持つかを表します。
図中の「T」であれば「伝送」、他に「C」は「調節」、「E」は「検出」、「R」は「記録」などがあります。
・その他使用されている記号
その他の例図中に使用されている記号を簡単にご説明します。
モーターの記号です。
タービンポンプの記号です。
交換器の記号です。
特製品の計器の記号です。
→関連記事:超詳しい!P&ID 記号一覧 | 工業標準のP&ID 記号
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2.2 矢印の意味
ここまで述べたような記号で表された機器を配管の線で結ぶことで、どの機器がどこにつながっているか、どのように出力されるか等がわかります。通常のプロセスの連結は下図のような矢印を用います。
2.3 P&ID図の書き方
ここからは実際のP&ID図の書き方です。
EdrawMaxのソフトを立ち上げ、「新規作成」から「エンジニアリング」→「工業自動化」→「配管計装図」を選んでください。
図のように方眼紙のような画面が現れます
左側の「ライブラリー」から必要な記号を見つけ出してダブルクリックして配置してやります。記号がたくさんあり、希望する記号を見つけるのも少し苦労するかもしれませんが、「バルブ」、「計器」など小分けもされていますので、うまく活用してください。
例えば通気弁をダブルクリックすると、図のように方眼紙に現れます。デフォルトのバルブのサイズは少し小さいので拡大しましょう。
同様の作業を繰り返し、手動の仕切弁以外をまず配置しましょう。
文字で表現する要素も書き込んでやりましょう。
要素の上の辺をマウスで触れると赤く点灯します。
その段階でクリックしてやると、「ライブラリー」からコネクタを選ばなくても線を結ぶことができます。
同様に全ての要素を線でつなげましょう。線の種類は後で「線のスタイル」から変えることもできます。
最後に手動の仕切弁を所定の位置に配置すれば完成です。
EdrawMaxにはこのような基本的な記号素材の他にも、よりビジュアル化された素材なども多く用意されています。わかりやすさを重視したいときなどにはそのような素材の活用も有効です。
→関連記事:配線計装図をすばやくわかる- P&IDの読み方
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Part 3: まとめ
P&ID図はプラントなどで設備や機械と配管の様子を可視化するのに非常に役に立つツールです。特にその分野のエンジニアはP&ID図の作成スキルも求められる一方、特殊な作図記号も多く、通常の作図ソフトやCADでも作図困難な場合があります。
したがって、いわば専用のソフトウェアが必要なP&ID図の作図ですが、EdrawMaxという作図ソフトは、多岐にわたる記号も豊富に備わっていて、より直観的に配管作図もできます。
現場でP&ID図の作成に苦労されているエンジニアの方は是非とも使用をご検討ください。