建築デザイン、間取り図 How-Tos

スロープ平面図の書き方を分かりやすく解説

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編集者: Edraw

階段で困難な介護や荷物の運搬などさまざまな場面で活躍するスロープがあります。段差を無くすことで、車輪付きの台車が使用可能となり、車いすの移動や運搬を快適にします。

そんなスロープには、さまざまな基準があり注意点や設計するうえでのミスなどが存在します。今回の記事では、スロープ平面図の書き方について詳しく紹介していきます。

1.スロープとは何か

スロープとは、本来の意味では傾斜面や斜面、勾配のことを指す言葉です。

現在、建築や公共施設などの段差解消の解決方法として用いられる傾斜路のことを指す言葉として使用されています。段差の移動が困難である、車いす使用者やベビーカー使用者などの移動負担を軽減するために設置されます。

そんなスロープですが、適切な勾配でなければ快適なスロープとはならず、急勾配の傾斜路となってしまうため注意が必要です。そのためスロープには、建築基準法やバリアフリー法によって一定の基準が設けられています。

その基準は以下のとおりです。

・建築基準法

建築基準法で定められている勾配は、1/8とされえており角度でいえば7.1度です。

これは8mの長さに対して1mの高さのスロープの勾配を示します。

さらに表面は粗面またはすべりにくい材料で仕上げることと定めています。

建築基準法で定められているものは最低限度の基準となってくるため、実際にはこのスロープでは勾配がキツイと感じるものとなってしまいます。

・バリアフリー法

バリアフリー法は高齢者や障害者の移動等の円滑化の促進に関する法律です。

そんなバリアフリー法では、最低限の基準として1/12以下で、片側にすり、幅120cm以上のスロープと定めています。

さらに望ましいスロープの基準として、屋内は1/12以下、屋外は1/15以下、両側に手すり、幅150cm以上と定めています。

上記のようにスロープは、設置すればよいのではなく、その勾配によって便利なものとなるか不便なものとなるか変わってくるため、注意して設置する必要があります。

2.スロープ平面図の作成手順

ここからは実際にスロープ平面図を作成する際の手順について紹介していきます。

作成手順としては、以下のとおりです。

2.1 スロープの位置検討

まずスロープを設置する位置について検討していきます。

スロープを設置するために必要なスペースが確保されているか、スロープを設置することで、他に不便になる部分がないかなど検討して、設置位置を確定させます。

2.2 スロープの勾配の計算

スロープ作成に重要な部分である勾配の計算を行います。建築基準法やバリアフリー法の基準を満たした勾配を設定してきます。

勾配が決まるとスロープの高さ、長さも確定してくるため、勾配からまず決めていきましょう。

2.3 スロープの形状を平面図に記入

検討、決定してきたスロープの情報をもとに平面図にスロープの形状を書いていきます。

スロープの形状を平面図に記入

平面図であるため、長さや幅に注意して記入していきます。

2.4 スロープの始点、終点の記入

スロープの形状を記入したら、スロープの始点から終点に向かって矢印を記入して表現していきます。

スロープの始点、終点の記入

これにより、どちらが低く、どちらが高い方であるのかを明確にしてきます。

2.5 スロープの表面仕上げ、手すりなどの記入

スロープの表面仕上げ、手すりなどの記入

スロープに設置する手すりを記入していきます。

手すりの設置位置などに注意して平面図に記入していきます。その他にも、スロープの表面の仕上げ材に合ったハッチングなどを記入していきます。

モルタル仕上げやタイル仕上げなど種類に合った表現を行いましょう。

2.6 寸法、注記を記入

寸法、注記を記入

スロープの長さや幅、高さなどの寸法の記入をしていきます。さらにスロープの勾配や、表面の仕上げ材などの情報についても注記していきます。

上記がスロープ平面図の作成手順の一例です。

平面図を見た人がスロープとわかるように表現することが必要であり、わかりやすいスロープ平面図作成を意識していきましょう。

3.注意点とよくあるミス

スロープは適切な設計なのもと設置しなければ、不便なものとなる可能性があります。

そんなスロープを設計する場合にはいくつかの注意点があります。

ここからは、スロープ設置の注意点と、よくあるミスについて解説していきます。

スロープ設置における注意点については以下のとおりです。

・勾配

建築基準法やバリアフリー法で定めたられている適切な勾配で設置することが必要。

スロープの快適性を決定する重要な部分です。

・幅

スロープの幅については、最低でも90㎝以上は確保してことが必要であり、車椅子などの使用を想定した場合には、120㎝以上が望ましいといえます。

・素材

スロープの表面の素材は滑りくい仕上げにする必要があります。

特に雨の日などは、滑りやすい環境となってしまうため、安全性の向上をはかることが重要です。

・手すり

スロープは段差解消の目的で設置されるものであるため、階段などと同様に手すりを設置することが望ましいです。

最低でも片側、出来れば両側に手すりすることが好ましいです。

・設置位置

スロープ設置は、階段に比べ広いスペースが必要となってきます。

適切な勾配を確保した場合は、階段の倍以上のスペースが必要であるため、設置スペースをしっかり検討することが重要です。

上記がスロープ設置における注意点となってきます。

さらにスロープ設置におけるよくあるミスについても紹介します。

・排水計画が不十分

一般的に雨水などは高い所から低い所へ流れていくため、スロープの場合排水計画を軽視する傾向にあります。

しかし表面の素材などの影響によって、排水が上手くできない場合もあるため、排水計画はしっかい行いましょう。

・勾配、幅や長さの設定ミス

法規制に遵守せず、適当にスロープを設置し後から取り返しのつかないことになる場合があります。

設計段階で法規制を確認し、それらを最低限満たしたものを設置するようにしましょう。

・安全対策が不十分

スロープの設置には安全対策として、手すりの設置や踊り場の設置など、使用者を想定した設計が求められます。

危険なスロープとならないように、安全対策は厳密に行っていきましょう。

スロープはただ設置すればいいというものでなく、快適性や安全性の高いものでなければ意味がありません。

注意点やよくあるミスを参考に使用者が使いやすいスロープを設計していきましょう。

4.おススメのスロープ平面図作成ツールEdrawMax

EdrawMaxは多機能な作図ツールであり、スロープ平面図作成にも適したツールです。

ここからは、EdrawMaxの優れた点をいくつか紹介していきます。

EdrawMaxはスロープ平面図作成において、豊富なテンプレートや素材を利用して作図を行うことが可能です。

豊富なテンプレートや素材を利用することで複雑な図面も効率的に作成が可能です。

豊富なテンプレートや素材を利用することで複雑な図面も効率的に作成

スロープ平面図では、勾配の表示やスロープの上がり方向の指示、寸法の表示が重要となっており、それらも豊富な素材から選択して作図が可能となっています。

さらにEdrawMaxは他のツールとの互換性が高く、多くのファイル形式をインポート可能です。

多くのファイル形式をインポート可能

スロープ平面図は、他の敷地図や平面図に追加で作図したりする場合が多いため、他のソフトやツールで作成したデータを利用できるのは非常に便利です。

図面作図ツールで高機能なものは、高額なものが多いですが、EdrawMaxは無料でほぼすべての機能が使用でき、コストパフォーマンスに優れたツールであるといえます。

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