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IE記法とは?IDEF1X記法とは?初心者向けのER図記法まとめ

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編集者: Edraw

IE記法やIDEF1X記法という言葉を聞いたことはありますか?IE記法とは、情報エンジニアリングにおけるデータモデリングで使用される記法であり、エンティティ、属性、関係を表現します。一方、IDEF1X記法は、米国国防総省が開発したデータモデリング記法で、エンティティ、関連、属性、制約を表現します。本記事では、初心者向けのER図記法まとめとして、これらの記法を理解しやすく解説します。

1.IE記法とは?

IE記法

IE記法は情報エンジニアリング記法の略称であり、情報エンジニアリング分野で広く使用されている表現手法で、データベースや情報システムの設計において重要な役割を果たしています。

IE記法の内容は、エンティティ間の関係や属性を示す図式で表現されます。関連図、フローチャート、 ER図、DFDなどの図を作成する際に使用されます。その特徴は、直感的でわかりやすい図式で情報の構造を表現することができる点です。また、普遍的な標準記法として広く利用されています。

使い方としては、エンティティや属性を正確に表現し、関連性を明確に示すことが重要です。データの流れや構造を正確に表現することで、システムの設計や開発を効率化することができます。

IE記法の歴史は、1970年代にデータモデリングの分野で開発され、以来情報システムの設計や開発の現場で広く使用されるようになりました。

以下はIE記法を用いた例です。

IE記法のサンプル

この例では、「顧客」と「注文」の2つのエンティティが定義されています。顧客エンティティには顧客の属性が定義され、注文エンティティには注文の属性が定義されています。また、顧客と注文の間には1対多の関連が示されています。

2.IDEF1X記法とは?

IDEF1X記法

IDEF1X記法は統合データモデリング手法の一つで、情報エンジニアリング記法の一部です。IDEF1XはIntegrated DEFinition for Information Modelingの略称であり、データモデルを作成するための形式化された方法論です。

IDEF1X記法の内容は、実体間の関連や制約条件を表現するための記号や構文が含まれています。関係データベースモデルを作成する際に使用され、エンティティ、属性、関係、識別子などの要素を視覚的に示すことができます。

IDEF1X記法の特徴は、関係データベースの設計や構築において厳密な規則に基づいていることです。この記法を使用することで、データモデルの一貫性と正確性を高めることができます。

その使い方は、エンティティを箱で表し、属性をその中に記述します。関連は線で表現され、関連の種類や強度なども明確に示すことができます。

IDEF1X記法の歴史は、1980年代初頭に米国国防総省のプロジェクトで開発された統合データモデリング手法として始まりました。その後、産業や学術分野にも普及し、データモデリングの標準的な手法として広く利用されてきました。

IDEF1X記法の図例は、エンティティ間の関係や属性の示し方など、具体的なデータモデルを示す図表が含まれます。これにより、データベース設計者や開発者は効果的に情報を表現し、共有することが可能となります。

IDEF1X記法を使用してエンティティと関連を表現する例を示します:

IDEF1Xのサンプル

この例では、"Customer"と"Order"という2つのエンティティが定義されています。それぞれのエンティティには属性が含まれており、それぞれの属性はデータ型と制約を持っています。また、"Order"エンティティには"Customer"エンティティへの外部キー制約が示されています。これにより、注文は特定の顧客に関連付けられます。

3.パーカー記法とは?

パーカー記法は、データモデリングにおいて使用される表記方法の一つです。主にオブジェクト指向のデータモデリングにおいて使用され、クラス図やER図の作成に利用されます。

パーカー記法は、オブジェクト指向の特性を反映したデータモデリングを行う際に使用されます。クラスや属性、関連などを図で表現することができ、システム全体の構造を可視化するのに役立ちます。

パーカー記法の特徴として、直感的にわかりやすい図示が挙げられます。継承や多重度などの情報を視覚的に表現することができ、システムの設計や開発において効果的です。

パーカー記法を使用する際には、クラスや属性、関連などの要素を図に落とし込んでいきます。各要素を適切に配置し、関連性を明確にすることで、システム全体の構造を理解しやすくなります。

パーカー記法は、1980年代にコンピュータ科学者であるマーティン・パーカーによって提唱されました。オブジェクト指向の考え方に基づき、データモデリングの分野で広く使用されています。

パーカー記法を使用してクラス図を表現する例を示します:

パーカー記法

この例では、"Person"と"Address"という2つのクラスが定義されています。それぞれのクラスには属性が含まれており、"Person"クラスには"ID"と"Name"の属性が、"Address"クラスには"ID"、"Street"、"City"の属性が含まれています。また、"Person"クラスと"Address"クラスの間には1対多の関連が示されています。

4.パックマン記法とは?

パックマン記法は、データモデルを図示する際に用いられる記法であり、円形のパックマンのような記号を使用して関連性やデータの流れを表現します。

パックマン記法は、データベースのエンティティやリレーションシップを視覚的に表現するために利用されます。主にデータモデリングやデータベース設計の際に活用されます。パックマン記法は、直感的でわかりやすい視覚表現が特徴です。円形のパックマンがデータの流れや関連性を示すため、データモデルを理解しやすくします。

パックマン記法を使用する際は、関連するデータベースエンティティやリレーションシップを円形のパックマンで表現し、それらを線で結びつけてデータの流れを示します。

パックマン記法は、データモデリング分野で古くから使用されてきました。データモデルの可視化や理解を助ける手法として広く知られています。

パックマン記法を以下に示します。円形のパックマンがエンティティやリレーションシップを視覚的に表現しています。

パックマン記法

この例では、"Employee"と"Department"という2つのデータモデルが定義されています。各データモデルには属性が含まれており、"Employee"データモデルには"EmployeeID"、"Name"、"DepartmentID"の属性が、"Department"データモデルには"DepartmentID"と"Name"の属性が含まれています。また、"Employee"データモデルと"Department"データモデルの間には1対多の関連が示されています。

5.THモデル(椿・穂鷹モデル)とは?

THモデル(椿・穂鷹モデル)は、情報システムの分析や設計において、概念モデルを構築する際に使用されます。特徴として、概念モデルの作成に焦点を当てており、情報を整理・抽象化して表現します。THモデルは、情報システムの要件定義やモデリング時に利用され、概念モデルの作成や情報整理に役立ちます。1980年代に日本の情報工学者である椿博臣氏と穂鷹文世氏によって提案されたTHモデル(椿・穂鷹モデル)は、情報システムの概念モデルやデータモデルを示す際に利用され、情報の構造や関係を視覚化します。

THモデル(椿・穂鷹モデル)の例

THモデル例(日経クロステック記事より引用)

この例では、「業務領域」にはシステムやデータに関する要求が記され、「機能領域」と「データ領域」にはそれぞれシステムの機能とデータ要求が示されています。また、業務領域と機能領域、業務領域とデータ領域の間に関連が示されています。

6.三要素分析法(TEA Method)とは?

三要素分析法(TEA Method)の歴史は古く、情報システムの設計や改善において広く利用されてきた手法です。情報システムの要素を3つに分析し、問題や課題の解決に役立てる手法です。この手法の特徴は、情報システムを構成する「技術」「経済」「人間」という3つの要素を総合的に分析する点にあります。

使い方は、まず情報システムの課題や問題を明確にし、それを3つの要素に分解してそれぞれを詳しく分析することです。

図例を用いて三要素分析法(TEA Method)を理解しやすく説明することができます。図を通じて、技術、経済、人間の3つの要素が関連しあい、どのように影響を及ぼすかを見ることができます。以下が三要素分析法の記載例です。

Tea Method例(ITmediaエンタープライズ記事より引用)

三要素分析法(TEA Method)のサンプル

ER図作成を考えている方におすすめなのが、EdrawMax

ツールの利用はER図の作成を劇的に効率化させてくれます。

世の中にはいくつもの作図ツールが存在しますが、Wondershare EdrawMaxはER図を含め非常に多くの図の作成に対応しています。しかも機能に制限はついていますがソフトウェア自体は無料でダウンロードできるという点も非常に魅力的です。

以下の図に示すように、ER図にも対応しています。以下の図では「ホーム」、「IT」、「データベース」を選択することによりER図を含むデータベース関連図を表示しています。

EdrawMaxのホームからER図のテンプレートを選択

以下の図では「テンプレート」を選択した後で検索窓で「ER図」と入力することによりER図のテンプレートが表示されています。

EdrawMaxのテンプレートギャラリーからER図を検索

EdrawMaxのアピールポイントを以下にまとめます。

  • 高度なAI機能: EdrawMaxは、先進の人工知能(AI)機能を備えています。これにより、ユーザーはより効率的に図やグラフィックスを作成し、デザインを改善できます。
  • 使いやすさ: EdrawMaxは直感的で使いやすいインターフェースを提供しています。初心者からプロまで、誰でも簡単に操作できます。
  • 多様なテンプレート: EdrawMaxには、多彩なテンプレートが用意されており、ビジネス、教育、技術、科学など、さまざまな分野で利用できます。
  • 柔軟性とカスタマイズ性: EdrawMaxを使用すると、ユーザーは図やグラフィックを自由にカスタマイズできます。色や形、サイズなどの要素を調整して、個々のニーズに合わせることができます。
  • クラウドベースのサービス: EdrawMax はクラウドベースのサービスを提供しており、データの保存と共有が容易です。複数のデバイスで同じ作業を継続でき、チームでの共同作業もスムーズに行えます。
  • 多言語対応: EdrawMax は多言語対応しており、世界中のユーザーにとって利便性が高いです。

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まとめ


IE記法はデータモデリングのための記法であり、エンティティや関係を表現します。一方、IDEF1X記法は米国国防総省が開発し、エンティティや関連、属性、制約を表現します。ER図の初心者向け手法では、IE記法やIDEF1X記法を理解しやすく解説し、データベース設計に役立てます。これに加え、パーカー記法やパックマン記法、THモデル、三要素分析法も紹介され、EdrawMaxを活用してER図を簡単に作成できることが示されました。これらの手法を理解し、適切に活用することで、効率的なデータモデリングが可能となります。

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